2011.1.14. 米中首脳会談に先立つクリントン国務長官の演説

米国のクリントン国務長官は2011.1.14.、1.18~20の中国の胡錦濤国家主席の訪米に先立つ形で米中関係についての演説を行った。特に新規な内容がある訳ではないが、G2や人権問題について注目すべきところもあるので、以下に言及する。
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fj197099 @fj197099

昨夜のクリントン国務長官の演説だが、ビデオ及びトランスクリプトは国務省HPのトップ及びここ(http://bit.ly/fQIhmY)で見られる。日本の新聞の幾つかも取り上げている(朝日http://bit.ly/edG27f)(産経http://bit.ly/eilfPg)。

2011-01-15 11:05:05
fj197099 @fj197099

内容的にはそれほど特筆すべきものがあった訳ではないが、胡錦濤国家主席の訪中直前のタイミングで行われたことでそれなりにメディアの注目を集めはしたようだ。これはガイトナー財務長官、ゲーツ国防長官に続く米国の三重要閣僚による米中関係演説の一環としての位置づけであった。

2011-01-15 11:07:31
fj197099 @fj197099

クリントン長官演説ではまず現在の米中関係が「決定的な岐路に差し掛かった」とした上で、米中関係がゼロ・サム的であることを否定しているが、米国は協力項目として具体的には①アジア太平洋への地域的関与、②中国との信頼構築、③米中間の経済政治安保面での協力拡大の三つに取り組むとしている。

2011-01-15 11:11:19
fj197099 @fj197099

最初の地域的関与というのは米中接近が他の諸国を不安視させることのないようにという再保障の文脈を持つ話である。ここで注目されるのが「G2等というものはない」とはっきり明言していることであろう。これは重要な問題が他の諸国の頭越しに米中二国間で決定される事はないとの意思表示である。

2011-01-15 11:14:15
fj197099 @fj197099

二番目の信頼構築についてはさしたる内容はないが、三番目の協力拡大については具体的な項目が幾つか触れられている。注目すべきは朝鮮半島の問題と人権の問題である。朝鮮半島の問題については引き続き中国との協力が必要としているが中国が制裁に非協力的であることをチクリと刺すような表現もある。

2011-01-15 11:17:12
fj197099 @fj197099

そしてやはり人権の問題である。昨年の劉暁波氏のノーベル平和賞受賞で中国の人権問題における異質性が改めて注目された感があるが、クリントン長官は明確に劉氏を含む政治犯を釈放して人権保護と政治の自由化に乗り出すように中国に要求している。これはおそらく中国が一番聞きたくない話である。

2011-01-15 11:19:20
fj197099 @fj197099

中国が一番聞きたくない話を胡錦濤国家主席の訪米直前に国務長官が改めて明確に語ったと言う事は、米中関係がたとえ改善の方向に向かったとしても米国は人権のような重要な問題について口を噤むつもりはないということを表しており、これはむしろ日本のような地域の同盟国に安心感を与えるものである。

2011-01-15 11:21:17
fj197099 @fj197099

先日のワシントンポスト紙(http://wapo.st/hJE9M3)によるとオバマ大統領も実は中国の人権活動家と秘密裏に会談を持ち、米中首脳会談の席で人権問題をテーマの一つとして取り上げる姿勢を見せたようであるから、これは米中関係強化の一つの歯止めを示すものとして好感が持てる。

2011-01-15 11:26:16
fj197099 @fj197099

結局米国が中国に求めるのはあくまでaccepting a share of the burden of solving problems, abiding by and helping to shape a rule-based international orderなのである。

2011-01-15 11:28:34
fj197099 @fj197099

現在は何となく米中関係が対決の後に協調に向かっているように見えるかもしれないが、米中双方には依然として大きな立場の隔たりがあり、それを埋めるのは容易な事ではない。だからと言って無原則な協力もよくない。故に、米国が人権等の問題を譲らない姿勢を見せた事はまずは好感が持てるのである。

2011-01-15 11:31:25