『スペース•キャンサー物語』第四章『カルキノス•ヌマチ誕生』編

母親を亡くしたカニ兄弟の末の弟は、思春期がきてグレて家出してしまう。これは、そんなカニの弟の家出をきっかけに始まる、ある旅の、家族の物語である。
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魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

『スペース•キャンサー物語』 第四章『カルキノス•ヌマチ誕生』編 前回のあらすじ ヒドラというドラゴンに手先の器用さをアピールするため、紙切りならねパピルス切りを披露した200番。緊張の中、見事パピルス切りは成功し、その腕を認められてヒドラの手下になりました。

2015-10-29 16:59:16
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

① こんにちは。ワイは200番や、沼であった採用試験に合格したワイはあれからヒドラ先輩が闘う時のサポートの仕事を任された。ヒドラ様が図体デカイ分、ワイは小回りが効くので、それを活かして仕事をしとった。まぁ簡単にいえば…サボタージュ(破壊工作)やな。

2015-10-29 16:59:50
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

② 敵に怪しまれないように、先輩の有利な環境をととのえていく仕事だからあんま大した話やないけど…活躍と言われたら、こないだある天界の要塞を落とした時を話しましょかーーーー ③へ

2015-10-29 17:00:23
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

③ ある日天界のとある防衛基地の司令官が先輩に攻撃を仕掛けてきよった。相手は突破の難しいと云われる軍事基地やった。そこでワイはある作戦を思いついた。使うのは氷と木箱…ワイと先輩の他のお弟子さんとで基地に侵入することにしたんよ。 ④へ

2015-10-29 17:00:55
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

④ 「何だその荷物は?」 「さぁ、何でも東洋からの土産モノのカニらしいのだ。司令官閣下が注文なさったものだと思う」 「そうか…なら通れ」 ワイらはこんな感じで易々30秒ほどで検問を突破していった。 ーーーーー ⑤へ

2015-10-29 17:03:47
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⑤ それからしばらくして… 「大変です!」 「どうした?」 「ヒドラが反撃に来ました!」 「なぁに、大丈夫さ。あの不死身で多頭のヒドラ公でさえ、この要塞の防衛ラインは破られんよ!アリの子一匹入れられんさ」 「そうでしょうか…」

2015-10-29 17:04:09
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

⑥ 「私が唱える安全神話は絶対だ『8大準高神』の私が言うのだぞ!?」 「し、しかし…!」 「しつこいぞ貴様!天使の分際で誰に向かって口を聞いとるか!これ以上私に楯突くならば、軍法会議にかけて営倉(えいそう、軍事基地にあるケイムショのことやね)行きだ!」 ⑦へ続く

2015-10-29 17:04:45
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

⑦ 司令官と手下の天使がモメてる時、コントロールルームのモニターにワイは電源を入れた。イライラする司令官に向けて最後の一言挨拶してみたかったからな。 「すみません、お話の所申し訳ありません…」 「何だ騒々しい!」 ⑧へ続く

2015-10-29 17:06:47
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⑧ 「何だ騒々しい!」 「どうやらアリは見逃せんくても、カニは想定してなかったんちゃいまっか…?」 「…?」 「ほな、サイナラww」 そう言った時、初めて司令官は自分らが今どういう立場に置かれているか気が付いた。 「…!!」 ⑨へ

2015-10-29 17:07:54
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

⑨ 「天使諸君今直ぐ全員退避だ、爆発するぞお!!」 …メインコントロールルームで騒ぎ始めたが既に時は遅く…その頃には要所に仕掛けたモンがつぎつぎさく裂。かくしてコンソールの並ぶ綺麗な自慢の要塞はワイらによって炎メラメラ、阿鼻叫喚のゲヘナへと変えられたんよ。 ⑩へ続く

2015-10-29 17:10:26
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⑩ 「…王手です、先輩」カチッ 「いやはや…見事やな200番!」 「いいえ…ワイは先輩を支えるためにおるモンやから…ホンマにお強いんは先輩です」 「ワイはこうして先輩とチェスを一緒にするのが本業みたいなモンや思いますわ」 ⑪へ続く

2015-10-29 17:11:45
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

⑪ 「囲碁やリバーシの石はお前のその手では持ちにくいからか?」 「まぁ、それもありますなぁ…でも…」 「でも…?」 「思考の張り巡らせ方は…チェスに勝るモンがないんですわ…!」 「お前は敵に回したくないもんやなぁ!」 ⑫へ続く

2015-10-29 17:13:06
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⑫ 「お前はやはり俺が見込んだ通り、見た目は小さいが、中身は俺よりビッグな男やで…!」 「ふふ…とんでもないすわww」 チェスを終え談笑をしている所に部屋のドアを叩く音がそれを中断させた。 「誰だ、入ってまいれ」 ⑬へ

2015-10-29 17:16:25
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⑬ 「我が息子よ」 「父上…!」 「200番も居たのだな…」 「はっお館さま…!」 「丁度良い、お前達に話があるのだ居間に来たまえ」 ⑭へ続く

2015-10-29 17:17:11
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⑭ ヌマチ家ーー 代々このギリシャの地にある大湖に住まい、湖を治める多首龍の一族で、由緒正しい貴族階級。 ヌマチ家は1000年以上、天界、地獄、地上界の所謂(いわゆる)三界に影響力を及ぼしてきた。 ⑮へ

2015-10-29 17:18:38
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

⑮ ヌマチという名前を聴いて知らない者は居ないと云われ、ヌマチの協力を得た者、あるいはヌマチを倒した者こそ、真に三界を制する者とも云われている。 ⑯へ

2015-10-29 17:20:24
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

⑯ だが、その分、龍族である彼らが世界を統べることに対し、天界の中核となるオリンポスの神々など、各界の龍族以外の支配者達は面白くなく、眼の上のタンコブとも視られているのだった。故に刺客を向けられた回数は数知れなかった。 ⑰へ

2015-10-29 17:20:43
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

⑰ その血で血を洗う政治闘争の最中、ヌマチ家の嫡男、ヒドラ•ヌマチは『三界の新星』と呼ばれるほどの、優秀な政治手腕と魔力を持ち、将来を嘱望視されていたーーー ⑱へ続く

2015-10-29 17:23:14
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⑱ 龍族はその強大な力故に気高く、誉れ高く、畏れられねばならぬ…彼らはそれを家訓とし、堅くそれを守ってきた。家訓を守れぬ者は一界を統べることすらままならぬと考えられていたからである。 ⑲へ

2015-10-29 17:23:36
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⑲ 「君達を呼んだのは他でもない」 一族郎党、がん首揃え、大きな居間の周囲にはそのほぼ全員がおった。ものものしい中に、ワイのようなちっぽけなカニ一匹…。 ⑳へ

2015-10-29 17:24:09
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⑳ 「200番も家にきて早3年…彼は我々のため、ひいては我が愚息のために身体が小さいながら、忠義を尽くしてきた…その貢献の意味は大きい…!」 「皆の衆、彼は龍族ではないが、彼の精神の在り方や行動は我々が子々孫々、守ってきた掟…我が家訓を体現しているのは明白ではござらぬか?」 ㉑へ

2015-10-29 17:25:10
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

㉑ 「お館さまの仰せの通り、私ども西のヌマチは支持に値すると存じます」 「では、我々も…」 次々とお館さまに集まる強大な龍族の代表達の支持、これこそヌマチ当主の持つカリスマそのものやった。 ㉒へ

2015-10-29 17:26:07
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

㉒ 「…では、次こそ本題だ」 「ヌマチ総領主の名において、200番君、彼を領主継承者第2位に命ずる…!」 「…!」 「200番!」 「…何ゆえにございますか!?」 内心ビックリしたんでワイは当主に訊いた。 ㉓へ

2015-10-29 17:28:23
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

㉓ 「良き弟が必要だ。兄貴を支え、兄貴は弟に遅れを取らぬよう努力を一層する…そなたらは良き兄弟になろう…」 「父の私が保証する…!」 当主がそう応えると、周囲にいた者達が一斉にそれに応じるように、万歳の声がわき上がった。 ㉔へ

2015-10-29 17:28:47
魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

㉔ 「200番…否、ヒドラの弟よ…そちの元服は?」 「お館さま…恥ずかしながら…」 「ほう、まだ済んでおらんかったかね…!」 「ならば、そちにこの場で元服名を付けるとしようぞ…そちの勇気にピッタリ合うものがよい。響きも良くなければ…」 ㉕へ続く

2015-10-29 17:29:10