「コミュニケーション」「遊び」「発達障害」「インクルーシブ教育」について。"心理学のモーツァルト"ヴィゴツキーの著作から

"心理学のモーツァルト"と呼ばれた天才心理学者ヴィゴツキー。「コミュニケーション」「遊び」「発達障害」「インクルーシブ教育」といったテーマについて、彼の著作を引きながら考えていきます
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松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

旧ソ連の心理学者ヴィゴツキーの著作を読んでいるのだが、遊び、特にゲームの教育的効果について恐ろしく明快なことが書いてあるので驚いている。以下は、彼の20代の著作「教育心理学講義」からの引用である。

2015-11-03 13:22:09
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

(遊びについて)"条件付きの競技と呼ばれる第3のグループがあります。これらは純粋の条件的規則から生まれ、それと結びついた行為は、遊びの高等学校のようです。"

2015-11-03 13:25:10
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

"この競技は、行動の工事の形式を組織し、行動のかなり複雑な課題の解決と結びついており、競技者に緊張、起点、機知、さまざまな才能や力を組み合わせた共同の作業を要求します。”

2015-11-03 13:25:12
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

"このような競技は、社会的経験の偉大な学校であることを考慮する必要があります。この競技では、子どもの努力が常に他の競技者の努力の多くによって制限されたり、規制されます。"

2015-11-03 13:27:23
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

" すべての課題競技では、自分の行動を他人の行動と調整し、他人との積極的関係に身を置き、攻撃したり守ったり、邪魔したり助けたり、すべての競技者との全体の中で自分の動きの結果をあらかじめ計算する能力が必須の条件となります。"

2015-11-03 13:27:31
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

"このような競技は、子どもの生きた社会的・集団的経験であり、その意味でこの競技は、社会的習熟や能力を教育する全く代え難い手段です。" アナログゲームの療育的価値について、これ以上明瞭な説明はちょっと思い浮かばない。

2015-11-03 13:28:38
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

また、この文章の直後、発達障害児療育の大テーマの一つである「コミュニケーション能力」についても、重要な言及が見られる。続けて引用しよう。

2015-11-03 13:38:32
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

"社会の教育のもう一つの課題は、特別にデリケートな形式の社会的コミュニケーションの育成と琢磨です。問題は、私たちの時代の社会的関係は、スケールにおいて巨大であるだけでなく、文化と複雑さの程度においても巨大だということにあります。"

2015-11-03 23:24:00
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

"生活の複雑さの増大とともに、人間はますます複雑で多様となる社会関係に参入し、きわめてさまざまな社会組織の一部分となります。それゆえ、現代人の社会関係の多様性は、何らかのあらかじめ準備された習熟や能力で解決することはできません。"

2015-11-03 13:42:43
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

"むしろ教育の目的は、一定量の能力を形成することではなく、すばやくたくみに社会的判断を行う一定の創造的能力を形成することに有ります。"

2015-11-03 13:44:49
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

"市街電車の乗客の間に作られるきわめてくだらない簡単な社会関係から、深い愛情と友情の形態で発生するきわめて複雑な社会関係に至るまで、人間は自分と他人との関係の発見には真の創造的能力を必要とします。遊びは、社会関係のそのような明確化、琢磨、多様性を教えます。"

2015-11-03 13:46:20
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

"子どもを新しい状況に投げ込み、新しい条件に従わせることによって遊びは、子どもに運動の社会的調整を無限に多様化させ、他のどの教育分野もできないような柔軟性、弾力性、創造的能力を教えます"

2015-11-03 13:47:22
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

以上は、まさしくアナログゲームを用いた療育で私が目指さんとするところだ。それにしても90年前のソ連人、それも20代の若者がこれを書いたとは全くもって驚きである。

2015-11-03 13:53:28
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ヴィゴツキーの著作に触れていま私が考えるのは、アナログゲーム療育の目的である「コミュニケーション能力を身につける」ということは、「コミュニケーション」という言葉のニュアンスでは狭すぎる、たとえば「考える力」といったものまで含めて考えていく必要があるのではないかということ。

2015-11-03 13:55:11
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

そう考えるようになったきっかけはヴィゴツキーの前にもう一つあって、それは私が就労移行支援施設に通う成人の精神/発達障害のある人の支援に関わったことである。

2015-11-03 13:59:27
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

所感ベースの話にはなってしまうが、発達障害について子どもと大人で状態像にはかなり差がある気がしている。子どもは、ADHDやASDといった障害特性が顕著に見られるが、大人の場合はそうした問題がないわけではないのだが特性がくっきりと見えずモヤモヤとしてくる。

2015-11-03 14:01:13
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

言い換えれば、子どもの場合はADHDの子はADHDらしく、ASDの子はASDらしくみえるのだが、大人の発達障害の場合、そのあたりの状態像はモヤモヤとして一人の人がADHD的にもASD的にも、さらには、うつ病的にも、躁的にも統合失調症様にも見える。

2015-11-03 14:02:42
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

そして発達障害のある子どもの状態像が非常に多様に見えるのに対し、成人の場合、前述のみんなその「モヤモヤとした」状態像に見えるのである。しかし、最近になってそのモヤモヤにある種の傾向性を見出すことができるようになった。

2015-11-03 14:05:14
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

これらの傾向を直感的に漢字一字の集合として表すと「硬/極/単/偏」の傾向である。参考までにこれと反対の傾向を対置すると「柔/庸/複/寛」とでもなるか。

2015-11-03 14:07:36
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

そうして、こうした傾向は発達障害だけでなくうつ病や躁うつ病などの精神障害を持った人にも同様に見られるのである。こうなってくると、障害の区分があまり意味をもたず、ある種の「社会的不適応な人たち」として括るのが適切な気がしてくる。

2015-11-03 14:11:21
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

こうした人達の特徴として「これがあるからすべてが上手く行かない」または「これさえあれば全て上手くいく」という思考様式に生活が全面的に覆われている、いわば「シングルイシュー病」とでも言うべき傾向がある。

2015-11-03 14:13:43
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「障害(病気)のせいで全てがうまくいかない」「家族のせいで全てうまくいかない」「過去のトラウマのせいで全てうまくいかない」「医者の誤った診察のせいで全てが上手くいかない」という傾向。

2015-11-03 14:18:36
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

反対に「◯◯療法をうければうまくいく」「◯◯なサポートがあればうまくいく」「◯◯さんさえ理解してくれればうまくいく」「◯◯な人が見つかればうまくいく」「◯◯な仕事が見つかればうまくいく」といった傾向。

2015-11-03 14:20:02
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

人によって固着するポイントは様々なだが、ともかく全ての生活上の困難が単独の原因からでていると考え、その解決を四六時中考えて続けて、(客観的にみれば重要と思われるような)他の要素にまったく注意・関心が向かない傾向である。

2015-11-03 14:21:28
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

こうした傾向は、これまで不安感や自己肯定感の低さといった一種「心理的」なものとして捉えられてきたが、ヴィゴツキーを読んで今改めて考えるに、こうした傾向は、本当は複雑な行動様式としての「思考」する力の発達不足であり、その原因は社会的経験の不足ではないのか、ということだ。

2015-11-03 14:27:58
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コメント

dicegeist @dicegeist 2015年11月3日
気力の余裕があるときに読みます
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スイカ羊 @suika_sheep 2015年11月6日
面白かった! ꒰๑ ´ ▽ ` ꒱
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