◇黄昏町と私◇その10

『黄昏町の怪物』(http://t.co/f5TaRfDRkz)を用いたテキストカラテめいたなんか。裏町から脱出なるか?
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

[裏町]君の真横で生垣がばっくりと割れ、襲いかかる。《力12以上で勝利【アイテム「実(死亡時消失なし)」入手】、それ以外は死亡【魂-3/異形『葉(力+1、2以上の魂減少から1を引く)』入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/562373

2015-11-08 00:08:16
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ぼんやりと月を見上げながら、私は裏町を往く。今歩いているのは住宅街。とはいえ灯りが漏れる家などないし、そもそも人の気配がしない。とても静か。ひょっとしたら夢の中ではないかと思うくらいだ。……生垣の横を通り過ぎようとしたそのとき、急に生垣が割れた。1 #4215tk

2015-11-08 23:06:35
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「うわっ」私は思わず飛び退く。左右に開いた生垣は、まるで獣のように私へ咬みつこうとした。一部の葉が牙のごとく鋭く尖っている。あれに一撃されたら体を食い千切られかねない。迫り来る緑に、私は鬼腕で抗った。少しだけ葉が突き刺さる。痛い。が、力ではこちらが上。2 #4215tk

2015-11-08 23:09:25
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ふー……!」私は深く息を吐く。それと同時に腕が燃え上がった。火玉放出の応用だ。火はあっというまに生垣に燃え移り、焼き尽くしていく。……植物だからやっぱり火が効くんだな。助かった。「やあ、さすがに強いな」真後ろから聞き覚えのある声。私は振り向く。3 #4215tk

2015-11-08 23:12:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

反対側の生垣に赤い花が咲いている。花の中の顔に、私は見覚えがあった。「こんばんは、タイジュさん。今のはわざとですか?」「こんばんは、お嬢ちゃん。まあそう怒らないでくれ。リハビリにはちょうどいい相手なんだ、君は」にこにこと笑う花の横から、何かが放り投げられる。4 #4215tk

2015-11-08 23:15:15
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

私はそれを受け取り、眉をひそめた。実である。「……タイジュさん、私を実さえあげればなにしてもいい安い女って思ってません?」「おや、いらなかった?」「いりますけど」釈然としないまま、実を腰にぶら下げる。まあ、小鬼に渡せる分が増えたと思えばいいか。5 #4215tk

2015-11-08 23:18:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「悪いけど、今後もきみが罠にかかったら本気で襲わせてもらうよ」にこにこ笑いながら、タイジュが物騒なことを言う。「きみぐらいの実力者じゃないと、安心して異形の訓練ができないから」「……仮に私がそれに負けたらどうするつもりです?」タイジュがやや首を傾げた。6 #4215tk

2015-11-08 23:21:24
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「そのときは、まあ、美味しく頂かせてもらうかな」やっぱり。私はげんなりとした。「そんな顔しないでくれ。この町は所詮弱肉強食だ……特にこの裏町はね」「まあそうなんですけど、自分の弱さを認めなきゃならないみたいで嫌ですね」私は溜息をつき、その場を離れた。7 #4215tk

2015-11-08 23:24:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

百十八日目終了! 大収穫祭。 異形:蛇髪・竜尾・三ツ目・火玉(火耐性)・鬼腕 【魂18/力13/探索4】 【所有:実(8)】 【■怒哀楽】 #4215tk

2015-11-08 23:25:14

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

[裏町]君の腕を巻いた細い蔦は、皮膚を食い破って体内を這う。《力13以上で勝利【アイテム「実(死亡時消失なし)」入手】、それ以外は死亡【魂-3/異形『蔦(力+1、2以上の魂減少から1を引く)』入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/562373

2015-11-09 00:03:29
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

唐突な話だが、私はあまり傷の処置などをしたことがない。もちろん、異形を手に入れてから、という前提条件はあるが。どうやら自然治癒力が高まっているらしく、特に竜尾や鬼腕などは気付いたときには治っていた、ということがままある。が、今回はそれに頼ったのが裏目に出た。8 #4215tk

2015-11-09 20:39:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

行き止まりの路地裏に行き着いた私は、仕方なく目の前の壁を叩き壊して先に進もうとした。なぜそんなことをしたか?そういう気分だったからだ。ともかく新しくできた道を通ろうとしたそのときである。壁の向こう、真横から飛び出してきた蔦が私の腕に巻き付いたのだ。9 #4215tk

2015-11-09 20:42:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

声をあげる時間すら、その蔦は与えてくれなかった。具体的に言うとそいつは私の皮膚を……というか、治りかけの傷口を……突き破り、体内の中を這い始めたのだ。痛みと、それ以上の不快感が私を満たした。「こ、のっ!」私は蔦を掴み、引きずりだそうとして……思いとどまる。10 #4215tk

2015-11-09 20:45:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

もしこの蔦が体内で葉を生やしたらどうなるだろう?竜の口に腕を突っ込んでやった方がマシな体験になるに違いない。ならどうすれば。迷っているうちにも、蔦は腕を這い登り、肩を通って胸の方へと向かおうとする。ひとまずそれを蛇髮で押さえつけ、私は顔をしかめた。11 #4215tk

2015-11-09 21:03:07
@hiiragi_r_t_d

戻ってきたら色っぽい展開になっている #4215tk

2015-11-09 21:04:42
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

さすがにこれ以上入ってこられるのはまずい。「明里ちゃん、蔦を」『任せて!』虚空に生じた明里ちゃんが、その身を腕に巻きつく蔦へ寄せ「ああ、待ってくれ。それは困る。引き抜くから手を離してもらえるかな」聞き覚えのある声に、すんでのところで動きを止めた。12 #4215tk

2015-11-09 21:06:24
@hiiragi_r_t_d

聞き覚え……その程度の攻撃で困るあたり、タイジュではないな #4215tk

2015-11-09 21:07:37
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

私は溜息をつき、抑えていた髪を離す。自由を取り戻した蔦がゆっくりと引き抜かれていく。皮膚から顔を出したそれは、当然のごとく赤く染まっていた。私の血だ。「また引っかかったのか、お嬢ちゃん。もう少し気をつけて歩かなきゃあ」声の響く方向を見上げると、赤い花。13 #4215tk

2015-11-09 21:09:24
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……タイジュさん、町中にどれだけ『罠』を仕掛けてるんです?」「そういう難しい質問はやめてくれ。覚えてないからさ」花の中の顔が困ったように言った。いや、困るのはこっちなんだけど。私は溜息をつき、ずきずきと痛み出した傷口を抑えて先に進もうとする。14 #4215tk

2015-11-09 21:12:06
@hiiragi_r_t_d

これ仕掛けてるのか?勝手に増えてそう #4215tk

2015-11-09 21:14:58
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「待って」が、タイジュの蔦がそれを阻んだ。「なんですか。急いでるんですけど」「その傷で裏町を歩くのはやめな。小鬼どもが寄ってくるぞ」成る程、至極もっともな意見だ。「しばらくここで休んでいくといい。……おれはもう、手出しをしないからさ」私は三ツ目を細める。16 #4215tk

2015-11-09 21:15:14
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