10周年のSPコンテンツ!

【生殖医療の彼岸と此岸】

2015年7月付のニュースで、いわゆる卵子の老化メカニズムの一端が明らかになりました。今後不妊治療の発展に期待がかかる一方、生殖細胞にどこまで手を加えて良いか? という倫理的課題も浮上するでしょう。そこで、2015年4月に中国で発表された『受精卵にゲノム編集を加えた』論文と、それに続いて起こった議論を概観し、生殖医療、生命倫理についてもう一回考えてみようとまとめを作成いたしました。
社会問題 卵子老化 生殖医療 ゲノム編集 受精卵
22
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸①】 2015年7月付で、理化学研究所らが加齢による卵子の染色体数異常の原因を特定しました。 -染色体分配の誤りを直接観察することにより解明- (プレスリリース)riken.jp/pr/press/2015/…
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸②】 なぜ加齢に伴って染色体分配の誤りが起きやすくなるのかは分かっていなかったため、実験を行い、『コヒーシン』と呼ばれる物質が加齢と共に減少し、いわゆる「卵子の老化」が起こることを明らかにしました。 pic.twitter.com/2qbdgpBDL5
拡大
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸③】 卵母細胞は、2段階から成る減数分裂を経ることで卵子になります。他の細胞分裂と同様に、卵母細胞の減数分裂でも正しい数の染色体が卵子に分配される必要があります。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸④】 もし染色体分配に誤りが起こると、染色体数が異常な卵子が作られます。このような卵子は受精したとしてもほとんどが出産まで至りません。出産に至ったとしてもダウン症などの染色体数異常による先天性疾患を引き起こします。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸⑤】 ということで、これでメカニズムが解明されたのでめでたしめでたし、という訳にはいかないのですね。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸⑥】 論文を読むと、『不妊治療患者に研究の趣旨と内容に同意を得たうえで、治療に用いられずに廃棄される前の卵母細胞を用いて研究しました。減数第一分裂における染色体を観察したところ、比較的高い年齢の患者の卵母細胞において一価染色体が見られました(続く)
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸⑦】 これら一価染色体は微小管によって反対方向に引っ張られていたことから、染色体分配の誤りに至るものであると考えられました。』と、ヒトの卵母細胞を用いて研究を行ったのですね。 ヒトの卵子(卵母細胞)の破壊が生命への冒涜であるかどうかはここでは触れません。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸⑧】 さて、卵子老化を抑制するためには、 1、何らかの方法でコヒーシンの減少を食い止める 2、卵子(卵母細胞)のゲノムを編集して(技術的に可能であるかはともかく)正常な卵子にプログラムし直す。 ことが考えられます。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸⑨】 2、の『生殖細胞へのゲノム編集』が今年5月頃、大きな波乱を呼びました。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸⑩】 中国の研究者らがヒト受精卵(注;但し、精子が偶然2個入ったもので、絶対に出産まで至らない)をゲノム編集技術を用いて赤血球に係わる遺伝子を改変しました。 (論文)link.springer.com/article/10.100…
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸11】 この『ヒト受精卵に対するゲノム編集』は非常に衝撃的で、Nature,Science,といったメジャー誌は論文の掲載を拒否しました。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸12】 海外ではかなりの激論が交わされたようで、「生殖細胞に対するゲノム編集はどのような被害を招くか分からない」「遺伝病等を治療するためには有益な技術である」等々。 (一部引用)blog.practicalethics.ox.ac.uk/2015/04/press-…
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸13】 今回の卵子老化のメカニズム解明により、卵子(生殖細胞)研究は一層進展するでしょう。私の予想では、近い将来卵母細胞にコヒーシンを増加させる遺伝子を組み込む、等の研究技術とモラルジレンマが生じると思います。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸14】 技術的に可能なことと、どこで歯止めをかけるかは、核研究にも似ているように思えます。 ①核研究全てを止める、②非軍事利用のみ研究を行う、③核兵器保有技術の研究、④核実験(使用時の研究)
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸15】 この機会にもう一度、生殖細胞についてのゲノム編集を考えてみることも必要なのでは? と思います。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸16】 先行まとめ ①【波乱】中国がヒト受精卵遺伝子改変→国際幹細胞学会「いやおまえマジちょい待てや」 togetter.com/li/812372@philosophyszk )様
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸16】 ②【中国でヒト受精卵の遺伝子を操作】togetter.com/li/812634  (@karitoshi2011 )様 ③「中国人のチーム、ヒト胚の遺伝子編集を報告」 togetter.com/li/812269
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸16】 ④「中国人の科学者ら、ヒト胚を遺伝学的に改変」togetter.com/li/812273  ③、④とも(@GoodbyeLab )様
新薬たん @ShinHiroi
補遺 ゲノム編集技術について】 CRISPR-Casシステムの構造と機能 jstage.jst.go.jp/article/biophy… CRISPR/Cas システムを用いた遺伝子改変マウスの作製とその応用 seisan.server-shared.com/673/673-37.pdf

# 2015.11.18子宮移植と人工精子について追記

新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸】 米クリーブランド・クリニック、子宮移植手術を実施へ 12日、子宮移植手術の臨床試験を米国で初めて実施すると発表した。 (URL)afpbb.com/articles/-/306…
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸】 2014年にスウェーデンで子宮移植、かつ出産に至った例が報告されております。 (URL)thelancet.com/journals/lance…
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸】 論文を読むと患者さんはRokitansky syndromeと呼ばれる疾患にり患していたそうです。卵巣は問題無く、子宮のみ移植されたようですね。借り腹の例もありますから、妊孕性は保たれたのでしょう (病気)jsog.or.jp/PDF/57/5709-36…
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸】 新薬たんとしては、免疫抑制剤がどの程度胎児に影響するのかが、科学者として興味があり、女性としては心配があります。(tacrolimus, azathioprine, and corticosteroidsを使用。量は記載無しと。
新薬たん @ShinHiroi
【生殖医療の彼岸と此岸】 日本の臓器移植後妊娠・出産ガイドラインによると、プレドニゾロン:15 mg 以下 アザチオプリン:2 mg/kg 以下 Cyclosporin,tacrolimus が治療レベル Mycophenolate mofetil やsirolimus は禁忌
残りを読む(6)

コメント

新薬たん @ShinHiroi 2015年11月14日
まとめを更新しました。
ひろ@猫もふ欠乏症 @hiro_h 2015年11月16日
とはいえ、可能なことはいつか何らかの理由で普及してしまうだろう、世紀単位で見たら。モラルの根拠の普遍性を、しっかり見据えた方がよさそう。
新薬たん @ShinHiroi 2015年11月18日
まとめを更新しました。子宮移植・人工精子について追記。
亜山 雪 @ayamasets 2016年3月9日
遅かれ早かれ、人類はゲノムデザインに踏み込むでしょう。ヒトが死ぬ原因は事故や自殺、犯罪を除けば、悪性腫瘍か自己免疫くらいになりつつあるから。今世紀中に不死を手に入れるかも。
新薬たん @ShinHiroi 2017年1月10日
まとめを更新しました。子宮移植プロジェクトチームを追記しました。
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする