鶴丸国永の話

Twitterに投げた鶴丸ネタをまとめたもの。(1月31日分まで)
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人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

包まれた手で(料理番が手を汚しちゃ不衛生でしょ?だそうだ)、無造作に少女の髪を掴み上げるが、少女は反応する様子も見せずただ振られるがままに頭を揺らす。「“こんなん”じゃ、碌な情報も持って無いでしょ」「だろうなァ」鶴丸も頷いた。

2016-01-29 14:27:07
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

「だが、情報を持って帰らないことにゃ俺たちも帰れないってもんだろ」室内にあって、革靴を掃いたままの足をふらつかせて、光忠の持つ少女の顎を突く。呆けたように開かれたままの唇から、奥歯のぶつかる音が聞こえてくる。「だから困ってるんじゃないか」光忠が少女の頭から手を離した。「今日は坊が

2016-01-31 21:52:10
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

久し振りに帰ってくるんだよ?言っていいなら宴の準備に早く帰らせて貰いたいね」「――なら、帰るか?」ふと、鶴丸がそう言って。少女を見ていた瞳を持ち上げ、光忠の、金茶の滲む藤黄の瞳に視線を合わせた。安い蛍光灯の灯りを受けて、薄金が仄白く光を散らす。それを受けた光忠は、両手を振って降参

2016-02-01 12:01:55
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

の意を示した。「はいはい、ごめんなさい。我儘言いました。光忠くんはいい子でお仕事します」「ああ。一丁、格好良く頼むぜ若頭補佐さんよ」はぁい。と間延びした返事と共に、光忠は肩を竦めて部屋を出て行った。目的だった男が逃げたことが分かった今、周囲の捜索の手配を済ませに行くのだろう。

2016-02-01 12:24:29
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

未だ意思の欠片も見せぬ少女と二人、部屋に残された鶴丸は、ふむ、とひとつ顎に指を添えて頷いた。「お前さんは、どうしようか」鶴丸たちのお目当て――少女の父親を捕まえにやって来たものの、こちらの動きを察知したのか用意周到か、既に家を出た後だった。鶴丸が家に踏み入った時、部屋にはこの少女

2016-02-01 15:59:26
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

一人が、汚れた皿を前にぽつねんと座っていた。切れかけの蛍光灯が、ぱちぱちと不機嫌そうに瞬いて少女の陰影を印象付けたのを覚えている。挨拶がてらと軽く声をかけてみるも反応は無い。そこまでは鶴丸もよく目にする反応であった。唯一といっていい肉親に見捨てられた絶望に、呆けたように座り込む

2016-02-01 16:07:11
人権ゾンビ@1日1,000字で人権 @ikami68

少女は、今まで鶴丸が見てきた人間たちと何の変りもない。一言目で反応が無かったので、鶴丸は仕方なく乱暴に声を荒げた。家近くの中学の制服を着た年端もいかぬ少女ではあるが、男の行方を知る手掛かりなのも事実。下手な温情を与えるような性格ならば、鶴丸は今地面に足をつけちゃいない。

2016-02-01 16:33:58
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