アマルティア・セン『不平等の再検討』読書メモ集

アマルティア・セン『不平等の再検討――潜在能力と自由』(池本幸生+野上裕生+佐藤仁訳、岩波書店、1999)の読書メモをまとめました。Amartya Sen, Inequality Reexamined,1992.
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荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

柏葉武秀「リベラリズムと障害者」。とても面白かった。私はロールズ正義論は障害に対する補償も正当化できるという立場(つまり『再説』)に立っていたが、それだけでは足りない(というか正当化の根拠が違う)というのは有り得る批判だろう。eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstre…

2015-11-15 18:38:48
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

自由と平等は一見対立してるようにみえるけど、例えばリバタリアンのノージックのような人も結局「万人が自由である権利の平等」を主張してるわけだから、平等主義者だよね、とアマルティア・センが言ってる。そのとおり。

2015-11-17 14:28:20
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

@arishima_takeo 「「カテゴリーの過ち」を犯している。それらは二者択一的なものではないからである。自由は平等の応用分野のひとつであり、平等は自由の分布のパターンのひとつである」(『不平等の再検討』29p)

2015-11-17 14:31:42
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

貧困とは、福祉水準が低いということではなく、経済的手段が不足しているために福祉を追求する能力がないということである。byセン『不平等の再検討』

2015-11-19 13:55:53
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

健康は、社会環境、医療サービスの有無、家庭生活のパターン、その他多数の要因と関連しており、純粋に所得に依拠した貧困分析で健康を語るのでは不十分である。byセン『不平等の再検討』

2015-11-19 14:09:36
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「インドの農村に暮らす人であれば、比較的ささやかな衣服でも恥をかくことなく人前に出ることができ、電話やテレビがなくてもコミュニティーで暮らしていくことができる。しかし、標準的に多様で多くの財を用いる国では、一般的機能を満たすのに必要な財の要求水準は高い」(セン)。なるほど。

2015-11-19 14:14:10
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

社会的条件が、ある人から(仮に選ぶことができたなら価値ある選択肢を)選択する勇気を奪っている(あるいは断たれているものを「欲する」ことさえできないかもしれない)としたら、その人に現実に実質的な選択肢があると仮定して倫理的評価をするのは公平ではない。byセン『不平等の再評価』

2015-11-19 15:24:09
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

そう。豊かさとは、選択肢の細かい分節やモチベーションを維持できることでもあるんだよな。

2015-11-19 15:25:13
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

「福祉を議論する際の決定的に重要な問いかけは、「選ぶ自由」には手段としてのみ価値が在るのか、それともそれ自体も内在的な価値を持つのかということである」(セン『不平等の再検討』)。センは後者で、それがケイパビリティアプローチである、と。

2015-11-19 15:28:51
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

セン『不平等の再検討』読了。基本財の分配だけだと人間の多様性に対応できない。たとえ所得が同じでも障害や特殊な病気を抱えた者たちのハンディは克服されない。車椅子や常備医療機器の必要は財を福祉に変換する率を低下させ、不平等は残るからだ。

2015-11-19 15:49:58
荒木優太(新しい本が出たよ) @arishima_takeo

それ故、所得ではなく、「達成するための自由」、即ちケイパビリティの平等を目指すべき。ケイパビリティは機能の集合であり、機能とは人の暮らしぶりの良さを表す様々な状態や行動を指す。所得ではなく、所得や資産で何ができるかという可能性を中心に考えること。

2015-11-19 15:51:56