映像作法はVRで一度ご破算になるかもしれない

VRまつりの発表をYoutube中継で見ていて考えたことなどをまとめてみました。
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Hiroshi Kasai @heron64

風邪で寝込んだ週末の午後、Youtubeの中継でVRまつりを途中から見る。 こういうイベントを布団の中でゴロゴロしながら見られるとは、良い時代になった。 (Appleのキーノートも毎年、日本では深夜なので布団な中でiPadで視聴だが)

2015-11-22 16:29:24
Hiroshi Kasai @heron64

VRまつり、水島精二監督の現役アニメ監督のVRに向けてのビジョンが聞けて面白かった。水島監督と言えば、ハガレン以降の作品が取り上げられる事が多いけど「地球防衛企業ダイガード」を偏愛する自分としては、ノットパニッシャーみたいな「建機必殺技」をVR視点で見てみたい。 #vrfesjp

2015-11-22 16:43:19
Hiroshi Kasai @heron64

今回のVRまつり、「進撃の巨人」や「楽園追放」などアニメとVRの接近を示唆する発表が多くて、そこも興味深かったけど、同時にその両者の融合の難しさも今後どんどん前面に出てくる予感があった。 インタラクティブの究極として視界の自由を獲得したVRにおける、視聴者の興味誘導の問題。

2015-11-22 17:09:28
Hiroshi Kasai @heron64

Henryの芝居をそっちのけで部屋の作り込みを見ていたという水島監督の話は、今でこそ笑い話で済んでいるけど、VRを通して「物語」を語り始めようとすると、きっと根源的問題としてぶち当たるジレンマを孕んでいるはず。 VR世界で起こる事件の進行が、鑑賞者の認知と一致し得るのか問題。

2015-11-22 17:13:45
Hiroshi Kasai @heron64

とても分かりやすい例として、現在ニコ動ランキング一位の「まどマギ」MAD。例えばこの美学とケレン味に満ちた視覚体験をVRで実現できるのか。 まどマギの海外AMVのクオリティが高すぎる件 (2:43) #sm26283665 nico.ms/sm26283665

2015-11-22 17:20:31
Hiroshi Kasai @heron64

まどマギMAD、どのカットを切り出してもカッコいいのだけれど、これは視界を全て強制できるメディア故に実現し得る美学。 カメラ位置、角度、カメラを意識して一番カッコ良く見得を切れるポーズ(シャフ度!)を取ったキャラクター達… これらが全て「フレーム」の中に収まるように構成される。

2015-11-22 17:26:00
Hiroshi Kasai @heron64

アニメーション制作のプロセスは、「レイアウト」と呼ばれるフレームの中での表示物の見え方を設計する作業から始まる。言わば「完成系としての見栄え」=アウトプットから逆算していく形で、必要素材を割り出していく。 遡れば絵コンテ作業におけるカット割りも、フレームの連続性ありきの設計。

2015-11-22 17:31:46
Hiroshi Kasai @heron64

事ほど左様に映像メディア作品というのは、視聴者に強制し得る「フレーム」に立脚して成り立っている。 さらにそれらのフレームがどんなテンポで、どのような順列で提示されるかという「編集」の時間軸における強制力。 視聴者はフレームの中だけ見ていれば、そこに次々と最高の絵が映されて行く。

2015-11-22 17:40:16
Hiroshi Kasai @heron64

格好良い決めポーズも、迫力のアクションも、キレの良いカット運びも、「フレーム」という擬似的な「視界」を前提とする事で、「一番美味しい所」だけ切り出して並べられる強制力によって美学を保障されている。 そして編集やカメラワークなどの「映像作法」も、そのお約束の上で積み重ねられて来た。

2015-11-22 17:51:43
Hiroshi Kasai @heron64

では、VRはどうか? 視聴者の視界は当人の判断次第。一番良い場面で、必ずそちらを見てくれている保証はない。一番良いアングルとか、決めポーズを取る瞬間とか、さらに言えばストーリー進行に必須の「決定的瞬間」ですら、普通に見逃してしまう事があり得るのだ。

2015-11-22 17:57:26
Hiroshi Kasai @heron64

だからVRにおける演出のメリハリとかケレン味と言う物は、既存の映像作品の文法とはまるで違うものになって行かざるを得ないだろう。 「誰が」「どこから」「どういう興味で」見ている風景なのか。それはどういうタイミングで切り替え可能なのか。 「視点」というものにより自覚的になって行く。

2015-11-22 18:03:29
Hiroshi Kasai @heron64

割と映像関係に近い所で仕事をして来て「カメラワークによる心理的効果」やら「イマジナリラインの錯綜」やら「編集テンポによる高揚感の調整」みたいなことに頭を悩まして来た部分が、VRの台頭で一度完全にご破算になるだろうという予感に震え始めて2、3年。最近は一回りして楽しみになって来たw

2015-11-22 18:16:44