漫画家・松田未来氏の創作講座『起承転結・承の作り方』

「キャラを立たせるのが「起」だとするならば、「承」はそのキャラが置かれた状況をより読者に納得してもらうパートになります。」 関連 小説家・榊一郎氏、漫画家・松田未来氏の創作講座『読む側の思考の流れ』 http://togetter.com/li/87364 続きを読む
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松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

ちょっと今返事待ちなので、空いた時間でこないだの続きを。起承転結の「承」ですね。前回の「起」についてはこちらをご覧ください。http://togetter.com/li/87364

2011-01-18 14:16:05
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

キャラを立たせるのが「起」だとするならば、「承」はそのキャラが置かれた状況をより読者に納得してもらうパートになります。「起」よりは楽だと書きましたが、もちろん気をつけなければいけないところもあります。ちなみにこれから書くことは、「起」でキャラ立てが出来ているという前提です。

2011-01-18 14:20:41
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

さて、「起」において絵的な説明にとどめていた主人公周りの状況を見せなければなりません。ここで「アストラギウス歴2678年~」とかやってもキャラを読者に納得してもらえていれば結構聞いてもらえます。注意しなければいけないのは、あくまでも主人公達と関連付けた形で語ること。

2011-01-18 14:24:02
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

ここで全然関係ない遠く離れたことをいきなり描いては台無しです。主人公が置かれている立場・苦難・任務・願望に繋げる形でさり気無く語りましょう。できれば、主人公の周囲や敵対する側に語らせるとすんなり入りやすいと思います。

2011-01-18 14:26:45
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

「承」のもう一つの目的に「物語の方向性を決定づける」というものがあります。つまり、キャラを納得してもらった上で「この物語はこういう話です」と納得してもらうのです。それはもちろん「起」の段階から提示することではあるのですが、提示ではまだ弱いので「納得」してもらいます。

2011-01-18 14:29:50
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

「ライバルに試合で打ち勝つ」のか、「行方不明の父を見つける」のか、少なくとも読者に登る山の輪郭は見せないといけません。ここで勘違いしてほしくないのは、あえてミスリードを誘う場合もある、ということ。山を登らせると思わせておいて実は沢登りだった、というパターンも定番なのです。

2011-01-18 14:34:25
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

少なくとも「どんな話なのか」が読者に納得してもらわないと、せっかく「起」で苦労して馴染んでもらったキャラが不憫です。貫くにせよあとで裏切るにせよ、ここはしっかりと方向性を納得してもらいましょう。

2011-01-18 14:37:47
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

もう一つ、「承」には役割があります。簡単だと言っていた割には多いですね(笑) それは、後半に向けた種を蒔くことです。ガオガイガー風に言うと「これが、勝利の鍵だ!@小林清志」ですね。オチを付けるための仕込みをここでしておきます。

2011-01-18 14:41:29
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

少年漫画で言えば、バトルで勝つためのキッカケでもいいし、少女漫画ならクライマックスで鍵となる台詞を言わせるところです。前にも言いましたが、一種の伏線ですからあんまりわかりにくいのは避けましょう。

2011-01-18 14:43:54
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

バレバレになるのが嫌なら、複数そういうものを配置してカモフラージュしたり、一旦それを否定させるのも手です。どちらにせよ読者にあとでページを巻き戻させないようにするのが大事ですね。クライマックスでそれをやらされると冷めちゃうでしょ。

2011-01-18 14:45:38
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

さっき言った「種を蒔く」には、もうひとつ後半に向けた流れを決定づける意味があります。どういう事かというと主人公にもう引き返せない「阻止限界点」を突破させることが必要になるのですね。物語の折り返し点を「承」の最後に持ってくる必要があるのです。

2011-01-18 14:53:10
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

ここを越えたら後は引き返せないよ、と読者に見せる必要があります。物事が大事になるところでもいいし、主人公にとっての大切なモノが失われる(奪われる)でもいいです。それを効果的に見せると、キャラに納得し、状況を把握した読者はもう最後まで読まざるを得ません。ここはとても大事な一瞬です。

2011-01-18 14:57:35
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

ここで大切なのは、心情のカメラを主人公よりにグッと近づけること。「承」は元々客観的になりがちなパートだけに、ここでのカメラの切り替えは効果的になります。なにより感情移入してくれているはずの読者の心情にもシンクロするはずです。ここは恥ずかしがらずに表情を見せつけましょう。

2011-01-18 15:01:51
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

意外とめんどくさいことが多いと再確認の「承」(^^; いやー、前言撤回ですね。次の「転」はホントに方法論としては簡単です。ただし、「起」「承」で仕込みがちゃんと出来ていればの話。もし「転」のあたりでつまずいた人がいたらそのへんに問題があったことになります。

2011-01-18 15:09:18