黄昏町(九板)三十三日目

柊 @hiiragi_r_t_d

【三十三日目】 【魂8/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) #hollytk

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[ハンドアウト]気が付くと君は、水溜りの真ん中にいる。小さな子供の濡れた足跡が、水際から三歩進んだところで消えている。《開始地点[町]shindanmaker.com/541547》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541552 #hollytk

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わたしは空を見上げていた。 消えゆく魂の色。血よりも赤く輝く空を見ながら、わたしは一歩を踏み出す。ぱしゃりと水音が鳴り、ローファーが飛沫を散らす。 わたしは、大きな水溜りの中に立っていた。真っ赤な空を映す水面に波が立ち、水溜りの中のわたしを揺らす。 01 #hollytk

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下を見る。水溜りは浅く、このまま歩いても足が濡れることはないだろう。 黒いアスファルトを見せていた澄んだ水面が、赤く染まる。 「おや……？」 顔を上げたわたしの目の前には、大きな角。電柱のように太く、大きな角が小さな背中を貫き、ぶら下げている。 02 #hollytk

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角に貫かれている少年は、指先に鋭く、長い爪を備えていた。 「ごめんなさい、ごめんなさい」 震える声で、角の主が詫びる。角が少年を引き裂き、流れ出る血が路面を赤く染めた。 「ごめんなさい、ごめんなさい」 少年は上下に分断され、自らの血溜りに落ちて息絶えた。 03 #hollytk

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「ごめんなさい、ごめんなさい」 角の主は、大きな体躯をぶるぶると震わせながらわたしに迫る。毛むくじゃらの巨大な両の掌が、わたしを掴んで持ち上げた。 「次はわたし、ですか」 大きな掌の中でわたしは呟く。このバケモノは、どうしてこんなことをしているのだろうか。 04 #hollytk

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食べる為でもなく。生きる為でもない。 「あなたはどうして殺すのですか？」 「ごめんなさい、ごめんなさい」 返答はない。鋭い角が、わたしの胸に突き付けられた。 「……わたしは強くなりたい」 バケモノは何も言わなかった。 「わたしは、本当のバケモノになりたい」 05 #hollytk

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「昔……昔、わたしはバケモノに憧れていました」 何も言わないバケモノに構わず、続ける。 「でも、そんなものになれるわけもなくって……ずっと、忘れていたんです」 この町に迷い込むまでは。 「わたしはもう、諦めない。憧れの中の、あの日夢見たバケモノになるまで」 06 #hollytk

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「……ごめんなさい」 鋭い角がセーラーの胸元を破る。 「ごめんなさい」 「謝る必要はありませんよ。どうせ、最後には貴方の血で汚れていましたから」 バケモノの腕に、赤い線が走る。 わたしが軽く押しのけると、大きな掌はずるりと滑って持ち主の腕を離れた。 07 #hollytk

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手首と肩口をわたしの尾に斬り飛ばされたバケモノは、大きく仰け反る。傷口から噴き出した鮮血が雨のように降り注ぐ中、わたしは血溜りに着地した。 「……やっぱり、すぐに汚れてしまいますね」 戯れに尾を振るう。バケモノの角が半ばで折れ、骨のような内部構造を晒した。 08 #hollytk

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その場から立ち去ろうとしたわたしは、ふと足を止めた。 足元には、少年の死体。必死に抗ったのだろう。爪は折れ、顔は苦悶に歪んでいた。 「あなたもきっとバケモノになれる。頑張ってくださいね」 わたしは死体にねぎらいの言葉をかけた後、目を閉じさせてやった。 09 #hollytk

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──────── 【三十三日目】 【生存】 【魂+1】 【魂9/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) 10 #hollytk

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[町]大きな両手が君を掴んだ。「ごめんなさい、ごめんなさい」震えた声の怪物が、君の体へ鋭い角の先を沈めてゆく。《力3以上で勝利【魂+1】、力2以下で死亡【魂-1/異形『角(力+2)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk