2)大阪W選が維新圧勝で幕を閉じた。それも投票率が50%程度で。これはもはやポピュリズムや「ふわっとした民意」などの言葉では説明がつかない。維新圧勝の理由はいろいろ語られている。しかし、私には橋下維新の本質、維新スピリットが語られていない気がする。
2015-11-26 10:06:193)私が理解する橋下維新スピリットはとてもシンプルである。しかし、シンプル過ぎて人々はよく理解できていないのではないかと思われる。自民党から共産党まで共闘し、読売から朝日などほとんどのメディアが橋下手法は、敵を作っては攻撃し、そして注目を集めるポピュリズムだと批判する。
2015-11-26 10:06:384)メディアは、敵を作るな、話し合え、話し合えの大合唱だ。しかし、これを主張すればするほど自己矛盾に陥る。その典型例が読売の社説であり、朝日のへなへな社説である。読売は橋下氏の手法を批判し「意見の異なる人とも議論を尽くせ」と言う。ところが国政となると次のように主張する。
2015-11-26 10:07:135)おおさか維新は「対案を提示し、建設的論戦を挑むことが大切だ。そうした「責任野党」志向こそ、反対一辺倒に陥りがちな民主・共産両党との違いを明確に、存在感の発揮につながろう」と。この読売の社説を読んで「は?」と思わない人はいないだろう。
2015-11-26 10:07:436)読売は言う相手を間違えていないか、と。大阪のW選で「対案を提示し、建設的論戦を挑む」ことを自民党はやったか。自民から共産党まで野合し、「対案」など一つも提示せずとりあえず「橋下維新を倒せ」の大号令で民主主義など何も分かっていないSEALDsまで動員して自共大合唱をやった。
2015-11-26 10:08:287)へなへな朝日は維新勝利に文句は言いたし、されどどう文句をつけていいか分からず、次のような日本文として破綻した文を書いても気づかない。「維新の政治に不安や不満をもつ住民が少なくないことは、選挙選からもうかがえた。そうした声を代弁し、チェック役を果たす責任は重い」と。
2015-11-26 10:08:538)この文の「主語」は誰なのだ。「チェック役を果たす責任は重い」というが誰が「チェック役を果たす」のだ。この一文の前後を読んでもよく分からない。こんな体たらくな社説しか書けない朝日は、次のような馬鹿の一つ覚えのようなテンプレート的結論を書く。
2015-11-26 10:09:309)「貧困、少子高齢化、教育、財政危機など、大阪が抱える問題は数多い。今度こそ力を合わせ、解決策を探るべきだ」と。「大阪が抱える問題は数多い」と、この当たり前の言葉は誰に言うべきか。朝日は柳本氏の定番とも言うべき言い回しを聞いていなかったのであろうか。
2015-11-26 10:10:0910)柳本氏は、口を開けば「もし問題があるとしたならば」と言った。朝日は「問題は数多い」というなら、「問題があるとしたら」などと能天気なことを言っている柳本氏や自民党に問題を解決する策を出せ、というべきではなかったか。維新に代わる「対案」を出せと。
2015-11-26 10:12:2011)結局、朝日も読売も、ということはメディアの左も右も、そして自民党も共産党とも無意識のうちに同じことを叫んでいる。政治家は「談合・寄合」をせよ、と。これが「民主主義」だと。こんな<寄合>民主主義を日本はずっとやってきた。昔々からやってきた。骨の髄に沁み込むほどやってきた。
2015-11-26 10:12:5012)だからこそ、橋下氏のあまりにも単純な「民主主義」が分からない。分からないが「異質」であることは自民党から共産党まで察知した。それが橋下維新は「危険である」という言葉の大合唱となった。橋下氏はその「異質さ」ゆえに「ヒトラー」だの「独裁者」だのと罵詈雑言を浴びせられた。
2015-11-26 10:13:4013)しかし、考えてもみよ。橋下氏ほど選挙の意味を有権者に問うた政治家がいたか。橋下氏は各政党が政策を出せ、それを有権者に力の限り説明せよ、そして最終的に有権者に裁定を委ねよ、と言っただけだ。これは検事と弁護士が裁判官にそれぞれ主張し、最終的に裁判官に裁定を委ねるのと同じである。
2015-11-26 10:14:2714)各政党は検事や弁護士ではない。しかし、それぞれが自己の主張の根拠を示し、自己の主張の正当性を必死で訴えることに変わりはない。裁判と政治で異なるのは、主張する相手が裁判官か有権者かの違いだけだ。橋下氏は有権者に説明し、有権者の賛意を得た者が政策を実行する権利があると主張した。
2015-11-26 10:15:4215)これは考えてみれば至極当たり前のことなのだが、談合・寄合に慣れ切った政治家やメディアには一つもピンと来なかった。橋下氏の選挙手法や政治手法の戦術的な面だけを捉え、けしからん、けしからん、と叫んでいただけである。今までの日本の選挙は選挙公約は掲げる。
2015-11-26 10:16:1816)しかし、国民も政治家もそんなものは誰も信じていない。民主党が政権を取った時、多くの国民は、一度は民主党の「マニフェスト」の実現を期待し民主党に投票したのであった。しかし、八ッ場ダムの迷走に始まり、「マニフェスト」は次々と裏切られていった。
2015-11-26 10:16:5517)橋下氏は選挙に強い。確かに強い。選挙戦術は私には想像もつかない凄いものがあるのだろう。しかし、その戦術と一本筋の通った橋下氏の「思想」ははっきりと区別しておくべきであろう。今、永田町で行われている野党のドタバタ劇は国民に訴えるべき政策無き政争である。
2015-11-26 10:17:3518)国政政党が長年やってきた選挙は国民が「政策」を選ぶ選挙ではなく、「政党」を選ぶ選挙であり、その政党に「白紙委任状」を渡すことであった。「白紙委任状」を渡し、後は政治家同士で「寄合」をやってくれ、というものだった。それを政治家も国民も無意識のうちにやってきた。
2015-11-26 10:18:1219)橋下氏が戦い続けてきた敵は政治家・メディア・国民すべてに共通するこの「寄合」メンタリティでもあった。橋下氏は有権者一人一人が政策を選ぶ権利があるということを都構想の「住民投票」で実践して見せた。大阪以外の人間にはこの意味が未だ分かっていないためとぼけたことを言う。
2015-11-26 10:18:5820)しかし、大阪の人間は徐々に橋下氏が本気で有権者に政策を選ばせようとしていることに気がついてきた。各政党が政策を国民に訴える。国民はその政策を聞き、自分の判断で選択する。この当たり前の「民主主義」を橋下氏は頑なに守ってきた。この一線を超えることはなかった。
2015-11-26 10:19:4221)共産党に踊らされているSEALDsのやっていることは所詮、「寄合」の文句垂れの役回りをやっているだけである。かつての社会党と同様、彼らが国民に政策を訴えているなどと思ったら大間違いである。大声で文句を言うと、なだめて飴をなぶらせて貰う子供と一緒である。
2015-11-26 10:20:2222)このような子供たちを一周、二周遅れの山口二郎や内田樹が煽って、さも彼らが「民主主義」を求めているように思わせているだけである。しかし、「安倍倒せ!」だけでは国民が共感するわけがない。こんな若造たちを橋下氏が相手にしないのは当然であった。
2015-11-26 10:21:3123)橋下精神、橋下維新スピリットは単純である。「解決すべき問題は山ほどある。それを解決するための政策を掲げて戦え!有権者に説明し訴えよ!有権者に選択させよ!」私が理解する橋下維新スピリットはこれに尽きる。政策を掲げて戦うためには選挙で勝たねばならない。
2015-11-26 10:22:2524)そこかからは「戦術」である。しかし「思想」なき戦術は大したものではない。橋下氏もタレント政治家として出発した。しかし、かつての東京都や大阪で知事になった青島幸男氏、横山ノック氏などタレント政治家と橋下氏が根本的に違うのは確固たる「思想」を橋下氏は持っているということである。
2015-11-26 10:23:2925)もちろん「思想」を持っていてもそれを実践するには「戦術」、また敵が大きければ大きいほど強靭な体力も強烈な意志もいる。橋下氏はそれらを兼ね備えた稀有な政治家である。しかし、私にとって橋下氏がなによりも日本の政治において画期的であったのは次の点に尽きる。
2015-11-26 10:24:21