【民博ゼミナール(講演録)】「ことばの遺伝子を探る(2015/10/17)」

国立民族学博物館で歴史言語学を研究されている菊澤律子准教授の講演録です。挑戦中のクラウドファンディング情報はこちら!https://academist-cf.com/projects/?id=19
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

というわけで、10月17日に民博ゼミナールでの講演した「ことばの遺伝子を探る」の内容を公開してみようと思います!

2015-11-21 04:49:30
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

これは、「言語の遺伝子をたどる」ということで、人の先史について知るために、どのようにことばを分析するのか、というお話です。まずその背景ですが、世界では全部でいくつくらいの言語が使われているのか、ご存知でしょうか? pic.twitter.com/3v07jllUi5

2015-11-21 04:52:16
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

世界で使われているのは約7000言語、そのうち300~400言語が手話言語であると言われています。言語の数え方というのはいろいろあって難しいのですが、ひとつの目安にはなると思います。きっと、想像されていたよりうんと多いのではないでしょうか。

2015-11-21 04:52:51
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

これは世界で話されている7000言語のひとつひとつを点で表し、系統関係にもとづき結んでみたものです。語族ごとに色分けしてあります。(民博の展示場に出ている実物は幅が2メートル以上あります。) pic.twitter.com/wPHanDGrnM

2015-11-21 04:54:28
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

「インド・ヨーロッパ語族」という用語は世界史などでおなじみだと思います。図では、○で囲んだ部分にピンクで示されているのが、インド・ヨーロッパ語族に属する言語になります。 pic.twitter.com/v9hLYYDTLh

2015-11-21 04:55:08
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

余談になりますが、地図には載っていない分布もありますので、注意が必要です。たとえば、英語はイギリスということになっていますが、実際には、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなど、他のいろいろな国で話されていますね。

2015-11-21 04:55:39
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

これらのたくさんの言語はどのように発達したのでしょうか?ここでは、その答えを示すことはできません。けれども、それを知るために言語学者はどんな研究をしているのか、言語の何をどう科学的に分析しているのか、についてお話してみます。 pic.twitter.com/16Sld4Yy4x

2015-11-21 04:57:14
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

ここでは私の専門である「オーストロネシア語族」を例にとって、お話ししますが、きっと、聞きなれない方が多いと思います。まずは、いったいどういう言語のグループか、ということから説明してみましょう。

2015-11-21 04:58:04
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

これは、さきほどの「世界の言語」パネルから、オーストロネシア語族だけ取り出したものです。地理的には太平洋と東南アジアの島嶼部、およびマダガスカルで話されています。 pic.twitter.com/bTDPgDj9Wn

2015-11-21 04:59:09
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

マダガスカル?そうなんです。マダガスカルの言語、マラガシ語(もしくはマダガスカル語)は、オーストロネシア語族の中でひとつだけ(といってもその中にたくさん方言がありますが)、とても離れた場所で話されています。

2015-11-21 04:59:34
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

この「オーストロネシア語族」には、いくつくらいの言語があるでしょうか?

2015-11-21 05:01:39
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

だいたい1200言語と言われています。ことばの数え方、というのは実は難しくて、考え方はいろいろあるのですが、目安と考えていただければよいかと思います。

2015-11-21 05:03:43
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

これは民博のオセアニア展示場にあるパネルです。言語名を書き込んでみましたが、全部を書く場所がなかったので、他○○言語、という表示がしてあるものもあります。 pic.twitter.com/111p1q2uyN

2015-11-21 05:05:18
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

その中で、たとえば四角で囲った国、フィジーに焦点を当てみます。 pic.twitter.com/klKDVFTYfB

2015-11-23 13:40:14
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

大きくするとこんな感じ。赤線で囲った部分が、フィジー諸島共和国、全部で400を超える島があり、人が住んでいる島は100以上あります。私はこれまで、赤点で示した五ケ所で言語調査をしました。一番大きな丸い島は四国の半分くらいあります。 pic.twitter.com/yvcENmoQAl

2015-11-23 13:41:32
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

日本同様、フィジーには方言がたくさんあって、発音の仕方や単語だけでなく、文法などもすこしずつ、違っているので、ここは調べ甲斐があります。どんなふうに違っているか、というと…

2015-11-23 13:42:11
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

まず、「これ」という意味を表す単語を比べてみます。左側が言語(方言)名、右側が現地語の単語になります。スライドの右側に、各方言が話されている地域を模式的に示しました。 pic.twitter.com/sMOFG6ObSj

2015-11-23 13:44:01
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

発音を掲載できないのが残念です。以下は発音記号での表記になります。 oqoo [oŋgo:] nei   [nɛɪ] qoi  [ŋgoɪ] kwee [kwɛ:] xaa [xa:] という感じです。字面だけでも、違った表現であるのを見ていただけると思います。

2015-11-23 13:45:23
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

文の例も見ていただくことにしましょう。今度は3言語(方言)のみ、お見せしてみます。

2015-11-23 13:46:00
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

いずれも、同じ意味を表す文ですが、地域によってずいぶん違っているのを見ていただけるかと思います。こちらも発音をお聞かせできないのが残念です。ちなみにフィジー語の c は [θ~ð](英語の th のような音)になります。 pic.twitter.com/w7FklyTkth

2015-11-23 13:46:38
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

フィジーの中だけでもこれくらい違っているのですから、太平洋全体を見るとどんなにたくさんの言語が話されているのか、想像に難くないですね。

2015-11-23 13:46:41
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

こんなにたくさんの言語がどのようにして太平洋で話されるようになったのか、どんな経緯を経てこんなにたくさんできあがったのか知りたい!と、思いませんか?

2015-11-23 13:47:16
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

というわけで、前置きが長くなりましたが、今日は最初に述べたように、言語の何をみれば人の先史についてどんなことがわかるのか、ということをお話します。このあとはスライドにあがっているような順序でお話をすすめたいと思います。 pic.twitter.com/dvAzdj2gQC

2015-11-23 13:48:17
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

まず最初に、ことばの歴史がどうして人の歴史と結びつくのか、ここでは移動誌を例にお話します。 pic.twitter.com/kkLCRWO5k8

2015-11-23 15:03:20
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

さきほど「世界の言語」の地図で、英語はイギリスだけでなく、アメリカでもオーストラリアでもニュージーランドでも話されていますね、と書きました英語はもともとイギリスで話されていた言語です。それがなぜアメリカやオーストラリアやニュージーランドで話されるようになったのかというと…

2015-11-23 15:03:57
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