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シリカの危険性についてまとめ

フェロニッケルのスラグに入っているシリカの危険性について、だぶ先生の解説
科学
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山猫だぶ @fluor_doublet
フェロニッケルのスラグに入ってるシリカの危険性を説く人がいるので、ちょっと説明しておきましょうか。
山猫だぶ @fluor_doublet
労働安全衛生法においてシリカ微粉末が通知対象物質にかかっているのは、主に粉塵吸引の長期間曝露を念頭に置いてのことです。これは、主に鉱山の坑内の作業従事者が極めて微細な石英粉を長期間吸っていると、重篤な肺疾患(珪肺)が起こることによっています。このときのシリカは、石英です。
山猫だぶ @fluor_doublet
ちなみに、シリカというのはケイ素酸化物という意味ですが、これがまた多彩な構造をもつ物質で、結晶構造が数種あり、非晶質もかなり安定です。一番身の周りに多いのは低温石英(石英、αクオーツ)で、高温相もあります。トリディマイト、クリストバライトのような別の結晶構造もあります。
山猫だぶ @fluor_doublet
非晶質シリカも多いです。一回石英を溶融し、冷やすと石英ガラスになり、結晶構造は戻ってきません。水を多く含んだものはオパールであり、シリカゲルであります。これらのうち、珪肺を強く引き起こすのは石英、もしくはクリストバライトの非常に細かい粉です。
山猫だぶ @fluor_doublet
二酸化ケイ素(シリカ)は非常に安定な物質ですが、結晶構造をきちんと取るとさらに安定になり、微粉末を長期間吸いこんむと、そこに長い間留まり、肺に異物として認識され、悪さをし出すようですね。珪肺は復帰が難しく、鉱業では代表的な労働疾患です。アモルファスのシリカはそうでもありません。
山猫だぶ @fluor_doublet
んで、ではフェロニッケルのスラグはどうか、という話ですが、その前にひとつ、無機化学のおさらいをしておきましょうか。酸化物およびケイ酸塩の相は、通常の酸化数のものであれば、陽イオンのすべては酸素が陰イオンになっています。で
山猫だぶ @fluor_doublet
んで、そういった系の純物質もしくは化合物は、複雑な組成のものでも、純酸化物の組み合わせで表現することが多いです。例えば、頑火輝石という鉱物があります。これはMg2Si2O6という組成を持っていますが、しばしば 2MgO・2SiO2 という表現をします。
山猫だぶ @fluor_doublet
要するに、純酸化物で換算してどのくらい、という表現ですね。これは、実験上、分析上、あるいは考察上、非常にわかりやすい表現なのです。でも、 2MgO・2SiO2 の頑火輝石に、石英が入っているわけではないのです。単なる純シリカ換算なだけで。
山猫だぶ @fluor_doublet
フェロニッケルのスラグもそんな感じで、複雑なケイ酸塩の結晶および非晶質(アモルファス、ガラス)の混じりで、その鉱物組成は原料や製法によってばらつきます。急激に冷やせばガラスになりますし、ゆっくり冷却すれば結晶化しやすいものから分化結晶化します。
山猫だぶ @fluor_doublet
ちなみにフェロニッケルのスラグは、二価の鉄、カルシウム、マグネシウムのケイ酸塩の組成です。ただし複雑な混じりの結晶もしくはガラスなので、構成鉱物種での表現は難しく、FeO ○○%, CaO ○○%, MgO ○○%, SiO2 ○○% といった表現をします。た
山猫だぶ @fluor_doublet
ただし、純シリカ分換算で SiO2 が ○○% 入ってる、という表現になってても、それが石英なわけではありません。そのほとんどはケイ酸マグネシウムやケイ酸カルシウムのケイ酸分です。ケイ酸の量が多ければ、スラグだとクリストバライトが結晶化することがありますが、ごく少量です。
山猫だぶ @fluor_doublet
なので、フェロニッケルのスラグの組成のコンテンツに SiO2 が ○○% 入ってる、という分析値が出ているからと言っても、それは石英であることはほとんどないのです。石英は融点が高く、それが多く入っているとスラグの流動性が下がりますしね。他の成分がみんな融かしてしまうのです。
山猫だぶ @fluor_doublet
ちなみに、フェロニッケルのスラグの組成だと、頑火輝石(エンスタタイト)がかなりメジャーな、安定相になってきます。ゆっくり冷やせばこれが結晶化してくるでしょう。あとはカンラン石かな。シリカ分は通常の岩石の組成から考えるとかなり少なめです。
山猫だぶ @fluor_doublet
なお、今はスラグの大部分は、融けてメルトになっている状態で水に放り込みます。こうすると体積収縮でバキバキに割れ、数ミリ大の粒になります。だから「グリーンサンド」というのですが。粒径分布を考えると、重量比率で一番大きいのは数ミリ大でしょうね。
山猫だぶ @fluor_doublet
そして一番大事なこと。地殻で一番多い元素は酸素、二番目はケイ素です。ですので、シリカ、具体的には石英は、ほとんどの岩石に含まれています。そこら辺にある砂を取って分析すれば、数割は石英ですし、海砂なんかは5割6割は当たり前、9割以上が石英なところもあります。
山猫だぶ @fluor_doublet
地球上のすべての生物はシリカ(正確には石英)の上に生きていると言っても過言ではありません。そのぐらい石英って多いのです。
山猫だぶ @fluor_doublet
以上のことから、フェロニッケルのスラグの組成に SiO2 が入ってる、石英は労働安全衛生法の通知対象物質に入ってる、だからフェロニッケルスラグは危ないんだ、という三段論法は、いろいろな点で間違いなのです。
山猫だぶ @fluor_doublet
普通の窓ガラス(ソーダガラス)も、SiO2 ○○%, Na2O ○○%, CaO ○○%, B2O3 ○○% みたいな表現で書きますよ。でも、石英が入っているわけではないのです。
山猫だぶ @fluor_doublet
こんなかんじで、わかりますかね。
山猫だぶ @fluor_doublet
シリカが怖いってのは(粒度にもよるけど)、dihydrogen monoxide (DHMO) が怖いってるのと、わりと似てるんですよね。
山猫だぶ @fluor_doublet
自分の足元を見た方がいいです。
山猫だぶ @fluor_doublet
シリカが危険で避けたくても、シリカのお世話にならずに暮らせないんですよ。そんなところは地上にはほとんどありません。だって今あなたが触っているスマホのタッチパネル、それがまさにシリカなんですもの。
山猫だぶ @fluor_doublet
もう絶版になってしまいましたが。「シリカと私」を読んではいかがでしょう。/シリカと私 (Chemistry in action series) ガイ・B.アレグザンダー amazon.co.jp/dp/4807912305/… @amazonJPさんから
山猫だぶ @fluor_doublet
ああ、フェロニッケルスラグの組成と冷却速度による相の違いが出てますね。 jstage.jst.go.jp/article/shigen…
山猫だぶ @fluor_doublet
コンクリ骨材利用だと非晶質(ガラス、アモルファス)が嫌われるんですが、ゆっくり徐冷すると頑火輝石の結晶化と同時にクリストバライトやカンラン石が分化してくる、という話です。
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コメント

Haruhiko K. @haru_kam 2015-12-06 15:02:24
まとめを更新しました。
Haruhiko K. @haru_kam 2015-12-08 17:42:48
まとめを更新しました。
Haruhiko K. @haru_kam 2015-12-10 10:25:15
まとめを更新しました。
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