黄昏町(九板)三十七日目

前にも言ったような気がしますが、九板ちゃんは背が高い方ではないです。学年平均-10cmくらい。 初日/一日目→http://togetter.com/li/883761 前日/三十六日目→http://togetter.com/li/908650 翌日/三十八日目→http://togetter.com/li/912698
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@hiiragi_r_t_d

【三十七日目】 【魂8/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) #hollytk

2015-12-06 23:11:20
@hiiragi_r_t_d

わたしは、ぼんやりと夕焼け空を眺めながら歩いていた。消えゆく魂の色。昨日のわたしが、生み出した死の色。 「綺麗、なんですよね……」 どんなに醜いものも、美しいものも、消える時は同じ。 この眼をわたしにくれたあの人も、これが見たかったのでしょうか。 01 #hollytk

2015-12-06 23:12:23
@hiiragi_r_t_d

「夕焼け、好きなんですか?」 不意に聞こえた声に振り向くと、民家の屋根に女の子が腰掛けていた。年の頃はわたしと同じか、少し下だろうか。見かけでは分からないが、異形は三つ。両手の指先と髪の中、そして両目。それぞれ爪、耳、目の異形だろう。 「ええ、好きですよ」 02 #hollytk

2015-12-06 23:14:44
@hiiragi_r_t_d

ひらりと宙返りを決めながら、猫のように屋根から飛び降りた少女はぺこりと頭を下げる。 「こんにちは。……戦うつもりはないんです。その、ちょっとお話したいな、なんて」 「ああ、そういう事ならいいですよ」 わたしは額の眼を閉じ、尾から力を抜く。 03 #hollytk

2015-12-06 23:16:24
@hiiragi_r_t_d

少女が胸をなでおろし、軽く息を吐く。 「良かった。せっかく会えた女の子に殺されちゃうかと思いました」 「わたしはそんなに怖いですか?」 「だって、強そうですから」 「……強そう、ですか」 尾が知らず知らずのうちに、ゆらゆらと揺れる。 04 #hollytk

2015-12-06 23:18:21
@hiiragi_r_t_d

「ふふふ、強そうですか、わたし。……実際はそうでもないんですけどね。それで、話ってなんですか?」 「えっと、その……寂しくて……友達にも会えないし。だから、話し相手になってくれませんか?」 「はあ……まあ、いいですよ」 たまには、そういう日があってもいい。 05 #hollytk

2015-12-06 23:20:11
@hiiragi_r_t_d

彼女の話を、わたしはただ聞き続けた。楽しそうな話し声はいつしか沈み、湿り、気付けば彼女はわたしに抱きついて泣きじゃくっていた。 「う……うっぐ……うう……」 「……辛かったですね」 彼女はきっと、この町には向いていないのだろう。 「帰りたいですか?」 07 #hollytk

2015-12-06 23:24:50
@hiiragi_r_t_d

わたしの言葉に、彼女が顔を上げる。 「無理、ですよね」 「いいえ」 「嘘……嘘、ですよ。そんな気休め、言わないでください」 わたしは彼女の頭に手を乗せ、ゆっくりと撫でる。 「わたしにも詳しいことは分かりません。もしかしたら、そんなものはないのかもしれない」 08 #hollytk

2015-12-06 23:27:43
@hiiragi_r_t_d

「でもここで諦めているよりは、確率は高いでしょう?」 「あ……」 「いいですか、鳥居です。橋と鳥居。それを探しなさい」 こくりと頷く彼女の長い髪を軽く梳く。艶のある金髪が揺れ、中から三角の耳が立ち上がった。 09 #hollytk

2015-12-06 23:30:24
@hiiragi_r_t_d

「それから、強くなりなさい。人間から離れるのは、あなたには辛いことかもしれないけれど、必要な事です」 立ち上がろうとしたわたしのスカートの裾を、細い指が掴む。 「あ、あの……連れて行って、もらえませんか」 「無理ですね。あなたの面倒を見る余裕はありません」 10 #hollytk

2015-12-06 23:32:38
@hiiragi_r_t_d

「わたしは人を沢山、沢山殺しました。これからも殺します。なぜなら、それがバケモノだから」 誰を顧みることもなく、誰に顧みられることもなく、一人で生きられる。その自由を求めて。 「人間に戻りたいのなら、わたしと同じ道を歩くのはおすすめしません」 11 #hollytk

2015-12-06 23:34:18
@hiiragi_r_t_d

少女は金色の空を見上げ、泣きそうな顔で微笑んだ。 「……分かりました。一緒には、いられないんですね」 少女の瞳孔が縦に引き伸ばされる。金色の空を写す瞳が、金色に輝く。 「なら、せめて……あなたの力を、分けてもらえますか?辛くなった時に、思い出せるように」 12 #hollytk

2015-12-06 23:36:17
@hiiragi_r_t_d

わたしは頷く。さて、どれを分けてあげようか。 「角で、いいですか?」 あの日、優しい青年から貰った角。彼の心の篭ったこの異形を、彼女にも。 「……はい」 少女は頷き、目を閉じた。 13 #hollytk

2015-12-06 23:38:12
@hiiragi_r_t_d

わたしは少女を抱き締め、その胸に角の切っ先を沈めていく。 「ふっ……くっ、う……」 食いしばった歯の間から苦悶の声を漏らしながら、少女はわたしにすがりつく。まるで、やめないでくれと懇願するように。 「安心してください。ちゃんと殺してあげますから」 14 #hollytk

2015-12-06 23:40:13
@hiiragi_r_t_d

彼女の指から力が抜け、だらりと腕が垂れ下がる。ずるりと落ちる少女の体を、横抱きに抱きとめる。 傷口から流れ出す暖かい鮮血が止まり、彼女の身体が冷たくなるまで、わたしはずっとそうしていた。 15 #hollytk

2015-12-06 23:42:26
@hiiragi_r_t_d

──────── 【三十七日目】 【生存】 【魂+1】 【魂9/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) 16 #hollytk

2015-12-06 23:43:26
@hiiragi_r_t_d

[町]諦めたように笑む少女の瞳孔が、金色の空を見て縦に細くなる。《力1以上の場合、勝敗を選べる。少女を戮すなら【魂+1】力0もしくは少女に戮されるなら【魂-1/『猫目(探索+1、力+1)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk

2015-12-06 23:43:48