「塩酸塩」と「塩化物」ってどう違うの?(あるいは「そもそも『塩(えん)』って何?」)

実はだいぶ前からギモンだったんですが、質問し忘れてたネタ。ほら、水酸化ナトリウムと塩酸で「塩化ナトリウム」、「ナトリウム塩酸塩」とは言わない。けど、医薬品の仲間にはナンチャラ塩酸塩が徒党を組んで。これ、どういうこと?というお話。
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塩酸塩と塩化物は何が違うの?

エ レ キ た ん @空間絶縁 @ElekiTan

@Yakugakutan @Yakutan_note @Dokugakutan これは薬学たんネタだと思うんですが、クスリで「〜塩酸塩」ってよくありますよね?あれ、「〜塩化物」とどう違うんでしょ?

2015-12-10 18:53:39
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

.@ElekiTan 違いますね〜! 〇〇塩酸塩(塩酸〇〇とも)は構造に塩酸(HCl)がまるまる入ったものですが、〇〇塩化物(塩化〇〇とも)は構造に塩素(Cl)がくっつけられたものです!

2015-12-10 22:46:52
エ レ キ た ん @空間絶縁 @ElekiTan

あ、そこ!「塩酸がまるまる入った」が分からない。それを「塩」って言っちゃうのが違和感なんですよね。中学の理科1分野と世界観が違う^^;有機だからって無理やり納得したフリをしてるけど、結局分からない( ; ; ) twitter.com/yakugakutan/st…

2015-12-10 22:54:28
けみかたん(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

@ElekiTan @Yakugakutan 塩化物の方は単純ですね。 塩化物イオンCl-と薬の分子本体(○+とでもしておきます) →○塩化物と呼ぶ。

2015-12-10 23:09:33
けみかたん(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

塩酸塩の場合は塩酸の分子(HCl)と薬の分子本体がセットになっています。この場合薬の分子が塩基になり、HClのお相手をします。大抵の場合薬の分子はアミンですね。この場合の薬の分子を ◆ と書いておきましょう。 ◆・HCl→◆塩酸塩 HClという酸と、◆という塩基で出来ています。

2015-12-10 23:12:29
けみかたん(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

@ElekiTan @Yakugakutan この場合は◆・塩酸塩という塩が出来ているのに水が生成しないのでややこしいのかも。 まとめ 薬本体の相手がCl-→○○塩化物 薬本体の相手がHCl→○○塩酸塩 塩化物の相手は陽イオン、塩酸の相手はイオン化されていない塩基(H+受取可)

2015-12-10 23:15:29
けみかたん(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

@ElekiTan @Yakugakutan 塩酸塩も塩化物も、分子全体では電荷を帯びていないというのもポイントですね。

2015-12-10 23:07:23
元素学たん@元素本発売中! @gensogaku

@chemica_tan @ElekiTan @Yakugakutan その説明だとアニリン塩酸塩とかの説明で詰むくない?アニリンのアンモニウムイオンだって○+と言えるし......

2015-12-10 23:14:46
元素学たん@元素本発売中! @gensogaku

@chemica_tan @ElekiTan @Yakugakutan 「最初から陽性分子のものに塩素イオンがくっついたのが塩化物」 「最初は中性分子だったものに、塩酸に含まれるの水素がくっついて陽イオンになって、そうして生じた陽イオンに塩素イオンがくっついたものが塩酸塩」

2015-12-10 23:19:05
けみかたん(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

@gensogaku @ElekiTan @Yakugakutan アニリン塩酸塩がAnilinium chlorideなのも更に混乱に拍車をかけている感。 アニリン塩酸塩だけど、塩化アニリニウム。 矛盾しているように見えるけど、どちらの見方でも命名自体はできますよ。

2015-12-10 23:24:45
元素学たん@元素本発売中! @gensogaku

@chemica_tan @ElekiTan @Yakugakutan 矛盾はしないでしょうね。おそらく包含関係が、塩化物⊃塩酸塩。だから塩酸塩を塩化物だとして見ることは、たぶん間違いじゃない。

2015-12-10 23:32:56
元素学たん@元素本発売中! @gensogaku

塩酸を中性分子、薬分子も中性分子、と言い切ってしまうと、そりゃあ「それ単なる混合物でしかないのでは」ってなるから、塩酸の水素がH+になって薬分子にくっついて薬分子が全体として陽イオンになって、それにCl-がくっついている、とした方が分かりやすいと思う。

2015-12-10 23:23:47
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

@chemica_tan @ElekiTan 構造を具体的に見るのが早いですかね……?

2015-12-10 23:19:18

構造式で見てしまおう

薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

すみません、拡大して見られないようなのでこちらアニリンです pic.twitter.com/zmA897L64b

2015-12-10 23:42:57
拡大
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

そしてこちらがアニリン塩酸塩(挙げ直し) pic.twitter.com/O1T9PAWkjZ

2015-12-10 23:43:16
拡大
元素学たん@元素本発売中! @gensogaku

見たら一発でわかる。やっぱり絵は大事ね。

2015-12-10 23:38:34
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

で、先程も少し言いましたが、アニリンのNH2のところにHがひとつ増えて、+がついてます これは、塩酸(HCl)由来のH+がひっついたものと考えてください

2015-12-10 23:44:39
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

もともとは+も-もない分子でしたが、H+が一つくっついたので、全体としてNH3+となってしまっていますね そこに、同じく塩酸(HCl)由来のCl-がくっついていますので、結局プラマイゼロになってるんですね こういう化合物を塩酸塩であるといいます

2015-12-10 23:48:56
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

で、このけみかたんの発言について少し解説します twitter.com/chemica_tan/st…

2015-12-10 23:54:10
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

アニリニウムという謎単語が登場していますが、これはアニリンにH+がついて、NH3+になったものの名前です ここにCl-がくっついてますからそういう意味では、塩化アニリニウムともいえるよね ということです

2015-12-10 23:57:04
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

ですから、この元素学たんのツイートのように、塩酸塩というのは塩化物の特殊パターンと取ることも出来るわけですね twitter.com/gensogaku/stat…

2015-12-11 00:02:51
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

では、こちらはどうでしょう 塩化セチルピリジニウムです pic.twitter.com/vRnzfMyjt3

2015-12-11 00:03:58
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