「疾病別に自己負担率変更で、破綻なき財政再建を 公的医療保険改革のコアは給付範囲の哲学の見直し(小黒一正)」についての大野更紗さんのつぶやき(20151214)

省略
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Saori Watanabe @wsary

「重症疾病患者の自己負担率軽減」という政策的発想は時折持ちかけられるトピックだが、実際の実現にはいくつかの大きな臨床的課題がある。 canon-igs.org/column/macroec…

2015-12-14 18:49:50
Saori Watanabe @wsary

↓ まず、現在の難治性疾患研究においても、重症と軽症の判定は主に財政的理由から対象者を選別するために政策運営上の目的のために作成された基準が多く、例えばBarthel Indexを循環器内科的疾患に適用することが必ずしも疾患の本来の重症度判定にはならないが、他の適当な評価法の(続

2015-12-14 18:54:34
Saori Watanabe @wsary

↓ 導入についてアカデミアのコンセンサスが未だ取れない場合「つなぎ」として既存の評価法を暫定採用する事が多い。重症から軽症のグラデーションは必ずしも適当な評価法が存しているわけではなく、安易に医療政策で「重症」概念を運用すれば重症疾患で苦しむ多くの患者を不適切に脅かしかねない。

2015-12-14 18:58:43
Saori Watanabe @wsary

↓また、近年の遺伝性疾患や先天性疾患の研究成果によって、疾患の発現や重症化を遅らせるために、予防的介入治療を要する疾患も増えている。発病と経過の機構は、一般にイメージされているよりはるかに複雑であり、一概な軽症→重症の病態像は必ずしもあてはまらなくなってきている。(続

2015-12-14 19:03:12
Saori Watanabe @wsary

↓ 何より、疾患の全体像を研究によって把握するためには発症前後や軽症時のデータが不可欠である。経済的要因からの受診抑制が起こると難治性疾患患者は容易に重症化が進行する。重症のみ自己負担率を軽減する発想はある意味で自然なのかもしれないが、実像とは離れた政策が出来上がるかもしれない。

2015-12-14 19:16:09
Saori Watanabe @wsary

↓ なんにせよ、たとえコモンデジィーズの範囲のみの話だとしても「疾病ごとに自己負担率をコントロールする」のは、医学的にはタフな作業だろう。

2015-12-14 19:29:40
Saori Watanabe @wsary

財政的理由は今般尤もな理由だが、単純で素朴な発想が複雑な現実に与える影響への考察は慎重であって然るべきだろう。費用を節約することの現実的な重要性は認めるが、公的支出を削減した結果生じるインフォーマルな負担は、減るということはない。生じた負担は誰かが背負うのだ、人知れず。

2015-12-14 19:48:58