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天然酵母のこと

高円寺と岡山にお店を構える挑戦するパン屋 ナショナルデパートの秀島さんが 天然酵母についての優れた考察をされていたので 初めてトゥギャッターしてみました。 ナショナルデパートのパンはDEAN&DELUCAでも購入できます。
パン 天然酵母 発酵 イースト
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ビデ3.0 @k_room
というわけで、最近「天然酵母」とか「国産小麦」とか言わなくなったよね。というブログを書こうと思ったんだけど、とりあえずブログで断片を書いてあとでまとめるようにしていきます。
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新しく仲間になった主製造のスタッフから、「酵母はどうやってつくるんですか?」という質問があって、後楽園に培地を仕掛けて云々という説明をしたら、「本当だったんですか!?」という反応があったわけだ。レーズンから起こす酵母とかなら聞いたことがあるけど。。。と言っていた。
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レーズンから起こす酵母というのはレーズンであることが大切なのではなくて、レーズンを浸した溶液に含む糖分が酵母の初期培養をするのに簡易だからなんだけど、そこが語られることはあまりなく、レーズンありき、果物ありきで語られることが多い。
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レーズン酵母を継いでいくと徐々に発酵力が緩慢になる理由について。レーズン溶液の糖分を含んだ条件下で培養された酵母はある程度の糖度が無ければ活動が緩慢になる。おこした種を小麦と水だけで継いでいくと培地内の糖が足りなくなって酵母の活動は停止し始める。
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天然酵母を柿から採取しました、とかいう人もいるけど、柿から採取しようが牡蠣から採取しようが基本的には大差がない。ようは培地の糖度なんかの条件で生き残る菌種は決まるし、実際に生地に添加したときの風味や食味の変容は酵母自体の特性ではなくて、種を継ぐときの培地の条件で変わる。
ビデ3.0 @k_room
でも、このあたりを否定するつもりはないです。パンはこの手のオカルトで成り立っている部分も多いので、こういったことで楽しんでいけるならそれはそれでいいと思っています。どういう条件で酵母菌を培養したかを言うよりも、何から酵母菌を採取したかのほうが売り口上としては面白いでしょうから。
ビデ3.0 @k_room
白神こ○まやホ○ノの酵母は厳密に言えば市販のイーストと同じ。あれを天然酵母と謳って販売するのは食品偽装に思えてならない。培地において無添加であるというなら「無添加イースト」と言うのが正しいのではないかと思う。風味が良いという人もいるが、市販の生イーストと同じ香りなのだが。。。
ビデ3.0 @k_room
市販の「天然酵母」は焼くとイーストにほど近い香りがする。「天然酵母なのに普通のパンと同じ甘い香りがする!」というのが手軽に使える天然酵母の良さだが、種々の雑菌を含む培地からパンの膨張に適した菌を優生的に培養しているのだから、これはもう市販の一般的なイーストと何ら変わらない。
ビデ3.0 @k_room
市販の天然酵母の香りは酵母の香りではなくて、培地の米粥や小麦粥であったりが酵素分解したものが酵母菌によって発酵した時の香りであるので、酵母自体に食味を左右する作用があるかのような印象を与えるのは良くないと思う。
ビデ3.0 @k_room
で、市販の天然酵母の問題なところ。種を継いでいくと発酵力(膨張作用)が弱まるので、新たに買い足して加えなければいけない。しかしこれはおかしい。どうして発酵力が弱まるのか。答えは簡単。市販の天然酵母は酵母菌を売っているのではなく、高濃度の糖を含んだ酵母菌の培地を売っているのだから。
ビデ3.0 @k_room
でも、市販の天然酵母は良い結果ももたらした。パンを取り巻く環境を大きく変えた。手作りの主婦も、製パン従事者も「パンの風味」の大切さについて考え始め、生地自体の味について深く考え始めたのだから。難しいことを考えなくても良い風味のものが作られるというのはとっても良いことだと思う。
ビデ3.0 @k_room
で、僕がパンの発酵について考え始めたきっかけについて初めて公に語ることにしよう。
ビデ3.0 @k_room
ここからは閲覧注意。
ビデ3.0 @k_room
小さいころ、たまに小学校の裏山に独りで行くことがあった。(このときから奇行の兆しがあった)で、側溝に使われるU字型のコンクリートが転がっていて、その中で猫が一匹死んでいた。近くまで行くのが怖かったのでしばらく遠巻きに眺めていた。
ビデ3.0 @k_room
何日かおきに猫の死体を見に学校の裏山に行っていたわけだが、しばらくすると死体のお腹の部分が膨らんでくる。また何日かすると今度はお腹がはじけてしまっている。どす黒い何かがU字型のコンクリにはみ出している。
ビデ3.0 @k_room
いま考えるとちょうどコンクリがカバーして野犬とかに食われなかったんだろうな。
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で、気持ち悪いし怖いし、それからしばらく眠れないし、他人に言ったらいけないのではないかと思ってしばらくは嫌な気持ちだった。なんだけど何ヶ月か経っただろうかまた学校の裏山に行ってみた。
ビデ3.0 @k_room
猫の死体の形自体は無くなっていたんだけど、周囲に黒い粉のようなものが付着していて、周囲に独特の匂いを放っていた。すごく、なんというかいい匂いだった。ちょっと近寄って匂うと、鰹ダシのような匂いで僕の口の中には涎が溜まった。ナンプラーの香りにも似ていた。
ビデ3.0 @k_room
で、30年後の今。パンを焼いている僕にはいろんなことがわかるようになった。猫は死んだあと土に還るための準備を自分で完結しようとしていたんだなと。自分が死んだあと自分を分解する酵素やバクテリヤや様々な菌を持って生きていたんだなと。死んだあと土に還る準備をして生まれてくる生命。
ビデ3.0 @k_room
小麦にもそれは含まれている。小麦は水に濡れると自分を分解してくれる酵素をあらかじめ含んでいる。もし今のように刈り取られて粉にされてパンに焼かれなくても、自然の中で枯れて雨にふられて土に還ることで大地の養分になるように仕様が決められている。多分どこかにいる神様がそうしたんだろう。
ビデ3.0 @k_room
枯れ葉や枯れ木の根が雨にぬれて菌の働きで発酵して熱をもって腐葉土になるように、たとえば小麦も枯れたら自ら内包している酵素によって分解され、空気中に浮遊している菌によって発酵(分解)されて土に戻りやすいかたちに変わっていく。
ビデ3.0 @k_room
さっきの猫の死体の話だけど。今になって思うのは、生きているものが死んだあと、グロテスクな分解が最終段階に進むに連れて美味しくなっていくのではないか。と。動物か植物かという違いはあるけれど、パンもワインもチーズもそうして土に還る自然の流れを人為的に取り出して利用しているんだろうな。
ビデ3.0 @k_room
で、話は戻る。天然酵母という言葉はおかしい。というのが良識あるパン屋さんたちの言葉だ。天然でない酵母は無い。酵母は人の手によってゼロから創りだすことは出来ない。どこかから持ってきて(採取して)増やしていくしか方法がない。だからイーストと天然酵母を言い分けるのはそもそもおかしい。
ビデ3.0 @k_room
小麦も猫も僕たち人間も、枯れたあと、死んだあと土に還るための要素があらかじめ含まれた形でこの世に生まれてくる。僕たちはどこから来たのかはよく分からないけど、どこに行くのかは決められている。僕たちは死んだあと酵素やバクテリアによって分解され土に還るようにプログラムが仕込まれている。
ビデ3.0 @k_room
そうした生命が土に還るプログラムの一部を取り出して僕たちはパンを焼いている。そのことこそが面白い。枯れた小麦が雨に濡れて酵素分解するのをミキサーボウルの箱庭で再現している。大気中の菌が付着して発酵するのを温かいホイロの中で再現しているに過ぎない。根幹の部分は何ら変わらない。
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コメント

サイフォン @siphon_g 2011年1月21日
後半もとても根源的ないい話でしたので追加しました。
亀山鶴子/かめつる-2020.2MAYA展示 @kametsuru55 2011年1月21日
パンが好きですが、酵母の話はとても楽しかった。これでまた違った視点でパンがすきになりました。
ビデ3.0 @k_room 2011年1月22日
こうやってまとめてもらったら、自分にとって大切なことと大切じゃないことといのがうっすら見えてくる。大切じゃないから必要ないとか、大切だから絶対に知っておかなければいけないとか、そういうことではなくて、ただ、なんとなく見えてくる何かということで。
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