カントとドゥルーズ、進歩と革命 by國分功一郎さん

國分功一郎(lethal_notion)さん深夜のツイート。
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KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

なんか眠れないというか、眠りたくないというか。なんか元気もでないので、ウイスキー飲みながら、youtubeでAAAの「Climax jump」を聞きまくる。

2011-01-21 02:02:35
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

哲学者のジル・ドゥルーズが、喉に痰が絡んだしわがれた声で質問に答える。

2011-01-21 02:08:41
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

革命は常に悪い方向に行くということだ。

2011-01-21 02:09:28
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

相手は一緒に本を出したこともあるクレール・パルネである。彼女は左翼gaucheについて、この老哲学者に問うたのだった。

2011-01-21 02:10:23
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

あなたは左派だと思われている。しかし、あなたはパリでそれなりの家庭に育った、普通にみれば、右派的な家庭に育った。なのになぜあなたは左派的な立場に立つのか?

2011-01-21 02:11:52
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

ジル・ドゥルーズはすこしも体を動かさずに、まるであたかも用意してあったかのように(実際に用意していたのかもしれない)、答える。

2011-01-21 02:12:39
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

左派の政府というものは存在しない。

2011-01-21 02:13:16
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

そう、当然であろう。左派は政権を奪取したとたんに左派ではなくなる。誰でも思いつくことだ。だが、ドゥルーズは左派についての質問にそこから答えたのだった。

2011-01-21 02:14:14
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

ドゥルーズは、自らが、やもすれば熱狂的とも言われかねぬ程度に自らが支持した社会党政権のことを念頭に置いていたのかもしれない。彼は友人のフーコーとは正反対に、ミッテラン政権に絶大な支持を表明していたのだった。

2011-01-21 02:16:25
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

しかしそれはゴーリスムに支配された戦後のフランス社会の逼迫感が生み出した偽物の解放であったようだ。

2011-01-21 02:17:13
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

「La revolution tourne mal 革命は悪い方に向かう」とはこの文脈で口にされた言葉であった。ここには経験論者ドゥルーズの保守性を読み取ってもよいのかもしれない。

2011-01-21 02:19:34
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

しかし、悪い方向に向かわなかった革命があったのかといえばそれは疑わしい。だから、革命について同時代的に判断を下すことなどできない。

2011-01-21 02:20:47
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

しかし、革命だけに「悪い方向」の責任を負わせるのは酷かもしれない。世界史は「悪い方向」に向かうことだらけであるから。

2011-01-21 02:21:51
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

だが「悪い方向」に向かうことが悪いのかを考えてみる必要があるのだ。これは哲学者カントが言ったことである。人類は進歩など望んでいない。しかし、進歩せざるを得ない。

2011-01-21 02:22:55
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

だが「悪い方向」に向かうことが悪いのかを考えてみる必要があるのだ。これは哲学者カントが言ったことである。人類は進歩など望んでいない。しかし、進歩せざるを得ない。

2011-01-21 02:22:55
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

自然は人間に進歩することを強制している。だから、人間は進歩したくなくても進歩せざるを得ない。進歩を望まないとはどういうことか?たとえば男女同権が実現されれば、男性という特権的グループは既得権益を失う。ならば進歩など望むはずがない。

2011-01-21 02:24:52
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

しかしそれでも人類は進歩せざるを得ない。いやいや、否応なく、仕方なく、無理矢理、流されて、進歩していく。

2011-01-21 02:25:23
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

そしてその際、重要であるのは進歩が必ず悲惨な事件を通じて起こるということだとカントは言うのである。

2011-01-21 02:25:48
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

たとえばベトナム戦争について考えてみればよい。あの戦争は10年もやっていたのだ。しかし、イラクでアメリカ軍は10年戦争できただろうか?

2011-01-21 02:26:38
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

アメリカ政府に良心などひとかけらもないだろう。だが、いやいや、否応なく、仕方なく、無理矢理、流されて、彼らも進歩せざるを得ないのだ。ただし、

2011-01-21 02:27:16
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

その進歩の陰でかけがえのない命が失われているのだ。

2011-01-21 02:27:47
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

しかしそれでも、そうした出来事を通じて人類は進歩しているのだ——それがカントの歴史哲学である。

2011-01-21 02:28:25
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

ジル・ドゥルーズはどこまでカントの歴史哲学について考えていたのだろうか? 彼はカントについて書いた本で、その末尾、歴史哲学の話をしながらも結局展開せずに終えている。

2011-01-21 02:30:09