【忍殺二次創作】ザ・エクスプロージョン・オブ・トゥウェルヴ・ニンジャ・ヘッズ#1【本編のみ】

とんぼがえり @lilivid

【ザ・エクスプロージョン・オフ・トゥエルヴ・ニンジャ・ヘッズ】#tmbnj

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1:テイストレス・ソルジャー・ラックス・ザ・フラワー・ナレッジ　#tmbnj

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夜闇に冷たい重金属酸性雨の降り注ぐカモミ・ストリート。 中心部にあるカモミ商店街はおしなべてシャッターを下ろし、隔離地域めいて喧騒がない。ただ、通りを照らすライトだけが煌々としている。風雨は勿論のこと、ハック＆スラッシュからも身を守る当然の措置であった。1 #tmbnj

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その一角、日中は最も賑わいを見せるエリアから少し外れた地に「チュリオミ・ハナ」の屋号を掲げたフラワーショップあり。看板には商売繁盛を祈願するモチヤッコめいたユルキャラ・イコンが象られ、「愛でて良し」「匂い良し」「弔って良し」のミンチョ体アオリもハイセンスだ。2 #tmbnj

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チュリオミ・ハナの店主であるアザハナ・チュリオミは、深夜の店内で独り帳簿を付けていた。そこには1年前までの赤字が嘘のように、景気のいい数字が並ぶ。だが、商人としてこれ以上ない成果にもアザハナは表情は浮かない。薬物タバコをふかし、呟く。「戦争特需ってやつかねえ」3 #tmbnj

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キョートとネオサイタマの戦端が開かれたあの日から、チュリオミ・ハナの営業成績は上昇の一途を辿った。不思議に思われるかもしれないが、戦場に行くのはマケグミだけという訳ではない。カチグミの中には、華々しい送別会をもって子息を送り出す者もいる。無論、裏があっての事だ。4 #tmbnj

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例えば、無能な長男に家督を継がせたくないコケシ問屋。例えば、放蕩者の三男の浪費癖に辟易している名家。例えば、息子が不貞の子である事を知ってしまった上級サラリマン。彼らは皆、名誉あるイサオシを見せよと子を戦場に送り出す。捨て去るように。放逐するように。5 #tmbnj

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せめてもの餞か、それとも罪悪感か。子を戦地に送り出す前夜のパーティーや、その送迎車はまるでスカーヴァティーめいて飾り立てられる。そして、彼らが戦死した時の花はそれを優に3倍は上回る。もはや故人の、いやさ遺族の表情さえ見えなくなるほどだ。6 #tmbnj

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「オットット」センチメントになりすぎたか。出納帳の記入欄を一列間違えてしまったアザハナは、慌ててミスを塗りつぶし、修正を行う。 その時、雨音に紛れてシャッターが軋む音をアザハナは聞き逃さなかった。ぼんやりと帳簿を見ていた花屋店長の装いは既に無く、その目つきは鋭い。7 #tmbnj

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ガチャリとシャッターが二度目の音を立てる。今度の軋み音は更に大きい。(((電子鍵に守られた防弾二重シャッターを前に諦めないとは見上げた野郎だ。生憎だが、そいつにゃ結構なカネを掛けてあるぜ）））アザハナは薬物タバコを灰皿に吐き捨て、通報ボタンに手を伸ばす。瞬間！8 #tmbnj

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STAAAAAANN！信じがたいことに二重シャッターはまるでフスマめいて上方へとこじ開けられた！まるで大瀑布が逆流したかのような暴威！「アイエエエエ！？」アザハナは思わず絶叫。通報ボタンから指が滑る。シャッターの向こうに居たのはレインコートを着込んだ男が、一人！9 #tmbnj

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「オイ」と、左手を軽く掲げたレインコートの男はフードの奥からサイバネ義眼でアザハナを睨みつけ「イヤーッ！」BLAM！アザハナは密かにカウンターから取り出していた防犯用ソードオフショットガンで射撃！「いや、待、グワーッ！」レインコートの怪物に着弾！ガキンと金属音。10 #tmbnj

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(((やはり重サイバネ！あのシャッターをこじ開けるオバケだ。殺される前に殺すほか無し！)))マッポの到着を待っていては死あるのみ。迅速さが売りのハイデッカーでさえ間に合うまい。アザハナは覚悟を決めると、流れるような動作で防犯用ソードオフショットガンを再装填。11 #tmbnj

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「イヤーッ！」BLAM！2射目の狙いも狂いなし！クソの掃き溜めのような湾岸警備隊時代に僅かな感謝を捧げ、アザハナは三度、弾丸を装填。更に右手は護身用殺人マグナムを構えており、過剰防衛殺人重点の構え！だが、銃口の先に敵影は無く。 そっと、首筋を掴まれた。「オイ」12 #tmbnj

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死の気配がアザハナの背筋をくすぐるようになぞった。 視界の端にはフスマめいてこじ開けられた防弾シャッター。店の天井は人体を受け止めるにはやや硬い。もはや懐の剪定バサミで敵の眼窩を貫きダイレクト脳破壊するしか手は無い。狙いを定めるため目を敵に向ける。「……あ？」13 #tmbnj

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素っ頓狂な声。アザハナは思わず銃を取り落とす。レインコートの男は嘆息し、やれやれと手を離した。そして両手を合わせ、オジギ。「ドーモ、アザハナ＝サン。ブレイクタイムです。ゴキゲンヨ！」「ファックオフ」薬指をケジメされた左手で、アザハナはキツネサインを返した。 14 #tmbnj

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「おい、色男。言いたい事は山ほどあるが、とりあえずシャッターを弁償しろ」ジロジロとブレイクタイムを名乗った男を睨めつけながら、アザハナは告げる。頭頂部に大きな傷の残るボンズヘヤ－に、大型のサイバネ左腕、左目の白いサイバネ義眼はいずれもアザハナの記憶と一致しない。15 #tmbnj

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ブレイクタイムとアザハナは旧知の仲であった。湾岸警備隊時代には長くバディを組み、上手く訓練をこなしていた。少なくとも、ブレイクタイムがニンジャとなるまでは。16 #tmbnj

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ニンジャ？そう、ブレイクタイムはニンジャなのだ。硝煙の晴れた電灯の下で見れば、レインコートの下はタクティカルベストめいたニンジャ装束、そして顎をカバーするメンポ。ブレイクタイムは表情をシリアスに固めて、告げる。「シャッターの弁償だが……今はカネがない」17 #tmbnj

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「ファックオフ。いよいよ何なんだお前は」アザハナは再びキツネサインだ。「花を売って欲しい」と、ブレイクタイム。「ファッキンファックオフ」もうキツネサインを出す気力も失せ、アザハナはソファーに身を投げ出した。「ああ、ブッダ、とりあえずこいつをジゴクに送ってくれ」18 #tmbnj

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「待て待て、アザハナ＝サン。本当に花が必要なんだ。それも、大急ぎでだ。今は確かにカネは無いが、明日になれば必ず払う。俺は万難を排してでも友の門出を祝わなきゃならんのだ」「ニンジャだろ、花ぐらいｙ盗んでこいよ」アザハナはあしらう。だが、ブレイクタイムは食い下がる。19 #tmbnj

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「盗んだ花じゃダメなんだ。祝いの花がいる。俺に学が無いのはお前も知ってるだろ？俺じゃ分からねえんだ。時間もない。頼む、アザハナ＝サン。この通りだ」手を合わせ、膝をつき、頭を深く深く下げたブレイクタイムはさながらシラスでカイシャクを待つ罪人めいた姿勢だ。20 #tmbnj

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「名前は」短い沈黙の後、アザハナは身体を起こし、ボソリと呟くように聞いた。「え、俺はブレイクタイムです」「違う！バカ！送り先の名前だ。相手の名前、花を贈る目的、どっちも揃わなきゃちゃんとした花なんて贈れねえぞ」顔を上げた男の顔は明るい。「アザハナ＝サン！」21 #tmbnj

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「ハッ、てめえにシャッターだけでなく、商品まで根こそぎぶっ壊されたら堪らないからな。急いでんだろ？ほら、相手の名前を教えろ」アザハナは剪定バサミを右手に構え、商品ケースの中の花達を値踏みする。夜も遅い。少ししおれ始めた花もあるが、選べば十分に使えるものばかりだ。22 #tmbnj

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「送り先はエクスプローラー＝サンだ」「門出の祝いって事は、出世か？」とアザハナ。既に贈答用の包装紙やリボン、カゴは整えられ、手元にある。「いや、旅に出るんだ。今日はカザグルマで、エニウェイ＝サンと二人でそれを祝う」「カザグルマって、高級ウナギ鍋屋か？」23 #tmbnj