もしドラ、もしイノの文章について

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岩崎夏海 @huckleberry2008

なぜ文章が稚拙と思われるのか?まあ指示語が多いことと文末が「た」「だ」で終わらせてることが最大の理由と思います。しかしこれらは、もちろん意図してしているこです。その理由はリーダビリティを高めること。

2015-12-28 15:41:38
岩崎夏海 @huckleberry2008

そもそも、ドラッカーの言葉はなかなか頭に入ってきにくいところがあり、それを通訳するのがもしドラ、もしイノの役目なので、読みやすいことと理解しやすいことは、何より求められるのです。

2015-12-28 15:42:42
岩崎夏海 @huckleberry2008

指示語が多いのは、主語を省略できる日本語の特徴の一つをあえて捨てたからです。主語は、省略もできますが、その分理解に難がでる可能性が高い。「あれ、これ誰のことを話してるんだっけ?」と一瞬だけ躓いてしまう可能性が高くなります。

2015-12-28 15:44:22
岩崎夏海 @huckleberry2008

もしドラ、もしイノは、淀みなく読んでもらうことが最重要課題の一つなので、この躓きは避けたかった。だから指示語が増えたのです。

2015-12-28 15:45:15
岩崎夏海 @huckleberry2008

で、それに伴って文体を整えようとすると、「た」や「だ」で締めてリズムを整えるのが大変よろしい。ぼくはそれを英米文学の翻訳文体から学びました。英語は主語を省略しないので、必然的に指示語が増え、それに伴って文体も構成されます。

2015-12-28 15:46:59
岩崎夏海 @huckleberry2008

だから、例えば岩波少年文庫やハヤカワミステリなどで英米文学の翻訳体に慣れている方は、ちっとも読みにくさを感じない。ところが近年は英米文学の古い翻訳がほとんど読まれない。逆にラノベや日本人作家の新しい口語体みたいな文体に慣れている方が多い。だから違和感を感じられた。

2015-12-28 15:53:19
岩崎夏海 @huckleberry2008

そういう文体でも書けるのですが、それを採用しなかったのは、古びるのか早いからです。生物な分、歳月を経ると古く感じてしまう。

2015-12-28 15:54:11
岩崎夏海 @huckleberry2008

これは、日本語の特徴で、文体が古びやすい。その中で、最も古びにくく、またリーダビリティが高いのが、英米文学の翻訳体なのです。もしドラ、もしイノは、ある種の教科書として、長い歳月にわたって読まれる可能性が高かった。だからああいう文体になっていて、実際6年経っても文体は古びていない

2015-12-28 15:58:51
岩崎夏海 @huckleberry2008

あとこの前、「ストーリーがない」という人がいましたが、意味が分かりませんでした。「ストーリーが面白くない」ということなのかも知れませんが、言葉のディテールを疎かにする人とは話し合いにならないんですよね。言葉が通じない。だから、そういう人の悪評価は素直に受け取りにくい。

2015-12-28 16:00:55
岩崎夏海 @huckleberry2008

もちろん、そういう方にも伝えるのがぼくの役目だし、伝わらなかったのは不徳の致すところですが、しかし誤解に関しては、今後も折にふれて解いていきたいと考えております。

2015-12-28 16:01:56