辻田真佐憲さんreichsneetの「これはぬるいというか、問題の本質を確かに逸している。ていうか、そもそも「戦時」には「鎮魂歌」じゃなかったし。」
文筆業。政治と文化芸術の関係について調べています。近刊『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』(講談社現代新書)。連絡先は以下のリンクをご覧ください(リプライは全部見ていません)。
これはぬるいというか、問題の本質を確かに逸している。ていうか、そもそも「戦時」には「鎮魂歌」じゃなかったし。泥酔しているけど、軽くコメントするか。 /「海ゆかば」再び光 戦時の鎮魂歌、動画再生150万回:朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASHDG…
2016-01-02 20:29:25「海ゆかば」は日中戦争の初期に、日本放送協会が国民精神総動員運動に呼応して作った歌。その後、太平洋戦争のさなかに大政翼賛会によって「国民の歌」に指定され、広く歌われるようになった。つまりこの歌は、戦争がなければ成立しなかった、純然たる戦意高揚の動員音楽だった。これ大前提。(A)
2016-01-02 20:31:26で、これとは別に、戦後の日本には、「海ゆかば」について「民族の血が騒ぐ」的な言葉でスピリッチュアルに賛美をするひとたちがいるわけでしょう。「軍歌は芸術」的なひとたち(B)。そして、当たり前だけど、音楽史の研究からすれば、(A)がまともで(B)が電波なのは自明なわけじゃないですか。
2016-01-02 20:33:10さて例の「海ゆかば」合唱の問題はですよ、電波として扱うべき(B)の考えに基くイベントに対して、大フィルのアカウントや信時の孫、つまり(A)の考えに立つべきひとたちが、「感動した」や「いいコンサート」など評価するコメントしている点なわけです。本来は批判的に捉えるべきなのに。
2016-01-02 20:35:58この記事に関して言えば、記者の方は、お孫さんに対して「ああいう風に『海ゆかば』が保守派に利用されていることについてどう思うのか」とか、もっと突っ込んで訊くべきだったのではないですか。だって、この方、素人じゃなくて音楽史の研究者なんですよ。
2016-01-02 20:38:36あと最後に出てくる戸ノ下氏は、このお孫さん(当然ながら祖父の作品に対しては肯定的)と一緒に信時の演奏会とか主催しているわけで、要するにインサイダーのコメントばっかなわけですね。「音楽家の戦争責任」とか、そういうのを足さないと、両論併記にならないし、ぼやけるのも当然だと思いますよ。
2016-01-02 20:40:51ていうか「民族の血が騒ぐ」とか、そもそも両論併記以前に「電波」なわけです。本来はさっくり斬るべきなのに、「感動した」とかそれなりに立場があるひとがコメントし、それがほとんど批判されないところが、今回の最大の問題なわけですよ。インサイダーだから、ぬるい結論になるのも当然だけど。
2016-01-02 20:44:33「電波」は「電波」としてこれからも楽しくやってくれればいいけど、しかし、それは社会のなかでは永遠に「電波」であるべきなんじゃないですか。そこが今回はみ出てしまった。動画サイトのコメントレベルのものが表に出てきてしまった。そここそ問題にしないと。私はそう思うわけです。
2016-01-02 20:47:02