「海ゆかば」は鎮魂歌ではありません
大阪の「海道東征」演奏会が産経新聞主催であったことを書いてないので、誰が・何のためにが皆目わからない、“時代の空気”的なあいまいな記事になっている。:「海ゆかば」再び光 戦時の鎮魂歌、動画再生150万回:朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASHDG…
2016-01-02 18:20:57「海ゆかば」再び光 戦時の鎮魂歌、動画再生150万回
大阪生まれの作曲家、信時(のぶとき)潔が昨年、没後50年を迎え、改めて脚光を浴びている。戦時中、鎮魂歌などとして歌われた「海ゆかば」は代表曲の一つだ。戦争の記憶と結びついた作品とどう向き合い、次世代に引き継ぐか。様々な思いが交錯する。
信時潔が教えていた東京芸術大学。昨年11月28日、没後50年記念の演奏会が開かれた。チケットは完売し、約950人が聴き入った。学生や教授によって75年ぶりに演奏されたのが代表作「海道東征」だ。
1940年、皇紀2600年を祝うために作曲された。神武天皇の建国神話をもとにした「神坐(かみま)しき、蒼空(あをぞら)と共に高く」という北原白秋の詩と、雅楽を模した調べで幕をあける。全8章の交声曲で、演奏時間が約1時間という大作だ。
戦後はその成立背景から演奏の機会に恵まれなかったが、東京芸大は「芸術的価値を広く社会に知ってもらう試みには、大きな意義がある」と説明する。
大阪市でも11月20日にこの曲の演奏会があり、1700人が集まった。大阪フィルハーモニー交響楽団とオペラ歌手らの演奏に兵庫県川西市の男性(68)は「涙が出るのはなぜだろう。日本人として魂があらわれた」と話した。
アンコールは「海ゆかば」。聴衆は起立して合唱し、一人の年配男性が「バンザーイ」と叫んだ。
「海ゆかば」は37年、日本放送協会の委嘱で作られた。大阪放送局が同年10月に初放送し、41年12月8日の日米開戦時にラジオで流れた。真珠湾攻撃の「九軍神」の戦死が42年3月に報道された際や、連合艦隊司令長官・山本五十六の戦死発表、アッツ島玉砕など悲劇的なニュースの際に演奏されるなど、次第に「鎮魂歌」として人びとの心に刻まれていく。学徒出陣では壮行歌として使われた。
キングレコードは「海ゆかばのすべて」を2005年に発売。担当者によると、3千枚売れると「成功」というこのジャンルで1万枚超を売り上げた。
動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿された「海ゆかば」も7年ほどで再生回数が150万を超えた。「副国歌でも良いくらい」「荘厳な曲! 背筋が伸びました!」などの感想が書き込まれている。
大阪府吹田市の会社員岡本力也さん(24)は「良い歌詞で、聞いていると心が落ち着く」。友人とカラオケで歌うという。
■元兵士「嫌な時代の歌」
一方で、複雑な思いはなかなか消えない。
大阪府枚方市の岸上光延さん(86)は予科練で「海ゆかば」を毎日のように歌った。「元気がない」「歌がそろっていない」。そんな理由で上官に木の棒で殴られた。1945年10月に特別陸戦隊として出撃するよう命じられたが、北海道で敗戦を迎えた。「ぼくにとっては嫌な時代。戦後は歌う気にならなかった」
信時は戦後、東京音楽学校の校長への就任要請を受け、固辞した。「『海ゆかば』が結果として若者を戦場へ向かわせたことを悔いた」と解釈する人もいた。孫の信時裕子さんは「事務仕事が好きではなく、校長は向いてないと思っていたようです」と話す。
信時潔は戦後、「簡単に口でしゃべるわけにはいきません」としつつ、「海ゆかば」についてこう語った。
「今も人々に歌われるとすれば、それはあの当時の戦死者とか靖国神社とか、そういったなまなましいイメージをからませて歌われないと思う。少なくともそうあってはならないんです。もしああいう歌が次の世代にも歌われるとすれば、作られた当時の広い意味での実用価値を越えた芸術的価値ですね」(「週刊新潮」62年12月3日号)
信時裕子さんは「いろいろなことに配慮して選んだ言葉だったのでしょう。あの時代に作った歌に簡単に○や×は言えない」と話す。
洋楽文化史研究会の戸ノ下達也さん(52)は指摘する。「音楽には人を鼓舞する魔力がある。戦時期の音楽がどう生まれ、どう歌われたのか、深く考えることが必要だ。70年が経ち、戦争の歴史を刻み込んだ歌をどう受け継ぐか、考える時に来ている」(笠井哲也)
■海ゆかば
海ゆかば 水漬(みづ)く屍(かばね)
山行(やまゆ)かば 草生(くさむ)す屍(かばね)
大君(おほきみ)の辺(へ)にこそ死なめ
かへりみはせじ
※歌詞は万葉の歌人・大伴家持(やかもち)の作
◇
〈信時潔〉 1887年、大阪・中之島にある大阪北教会の牧師の三男として生まれた。オルガンや賛美歌に親しみながら育ち、東京音楽学校(現在の東京芸術大音楽学部)に進学。ドイツ留学で作曲法などを学び、1923年に同校の教授に就いた。教科書の編集にも関わり、「電車ごっこ」や「一番星みつけた」などを作った。東京・開成高校や神戸・灘高校など900曲近い校歌も残している
http://digital.asahi.com/articles/ASHDG3SMGHDGPTIL006.html
この記事は大阪朝日のみ掲載された模様
http://www.sankei.com/west/news/151120/wst1511200104-n1.html
2015.11.20 21:07更新
誕生から75年、蘇る「建国神話の音色」 大阪で「海道東征コンサート」 雄壮な演奏、格調高き声楽
大正・昭和に活躍し、「海ゆかば」で知られる作曲家の信時潔(のぶとき・きよし)と詩人の北原白秋が、昭和15年に建国神話を題材に作った交声曲「海道東征」を全曲演奏する「戦後70年 信時潔没後50年 交声曲『海道東征』」(産経新聞社主催、滋慶学園グループなど協賛)が20日、大阪市北区のザ・シンフォニーホールで開かれた。(後略)
その映像、編集が入っています。むかし私が聞いた音源(おそらく同じもの)では海行かばは入っていませんでした。 twitter.com/mtcedar1972/st…
2016-01-02 18:05:41twitter.com/t_wak/status/6… 真珠湾攻撃の大本営発表の臨時ニュース冒頭 youtu.be/TgkkMgXWDLE でも流れてたんだよね。
2016-01-02 18:00:51(ただし真珠湾攻撃成功を伝える際は勝戦でも流された)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/海行かば
このWIKIの記述は誤りということになる。
「海行かば」、元は大伴家持が「陸奥で黄金が出たってよヒャッハー」と詠んだ歌の一部だと思うと真面目くさって歌っている右派の方々が滑稽に思えてくるんですが、こんなこと言うから反感を買うのか自分。
2016-01-02 17:49:56これはぬるいというか、問題の本質を確かに逸している。ていうか、そもそも「戦時」には「鎮魂歌」じゃなかったし。泥酔しているけど、軽くコメントするか。 /「海ゆかば」再び光 戦時の鎮魂歌、動画再生150万回:朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASHDG…
2016-01-02 20:29:25「海ゆかば」は日中戦争の初期に、日本放送協会が国民精神総動員運動に呼応して作った歌。その後、太平洋戦争のさなかに大政翼賛会によって「国民の歌」に指定され、広く歌われるようになった。つまりこの歌は、戦争がなければ成立しなかった、純然たる戦意高揚の動員音楽だった。これ大前提。(A)
2016-01-02 20:31:26で、これとは別に、戦後の日本には、「海ゆかば」について「民族の血が騒ぐ」的な言葉でスピリッチュアルに賛美をするひとたちがいるわけでしょう。「軍歌は芸術」的なひとたち(B)。そして、当たり前だけど、音楽史の研究からすれば、(A)がまともで(B)が電波なのは自明なわけじゃないですか。
2016-01-02 20:33:10さて例の「海ゆかば」合唱の問題はですよ、電波として扱うべき(B)の考えに基くイベントに対して、大フィルのアカウントや信時の孫、つまり(A)の考えに立つべきひとたちが、「感動した」や「いいコンサート」など評価するコメントしている点なわけです。本来は批判的に捉えるべきなのに。
2016-01-02 20:35:58この記事に関して言えば、記者の方は、お孫さんに対して「ああいう風に『海ゆかば』が保守派に利用されていることについてどう思うのか」とか、もっと突っ込んで訊くべきだったのではないですか。だって、この方、素人じゃなくて音楽史の研究者なんですよ。
2016-01-02 20:38:36あと最後に出てくる戸ノ下氏は、このお孫さん(当然ながら祖父の作品に対しては肯定的)と一緒に信時の演奏会とか主催しているわけで、要するにインサイダーのコメントばっかなわけですね。「音楽家の戦争責任」とか、そういうのを足さないと、両論併記にならないし、ぼやけるのも当然だと思いますよ。
2016-01-02 20:40:51ていうか「民族の血が騒ぐ」とか、そもそも両論併記以前に「電波」なわけです。本来はさっくり斬るべきなのに、「感動した」とかそれなりに立場があるひとがコメントし、それがほとんど批判されないところが、今回の最大の問題なわけですよ。インサイダーだから、ぬるい結論になるのも当然だけど。
2016-01-02 20:44:33「電波」は「電波」としてこれからも楽しくやってくれればいいけど、しかし、それは社会のなかでは永遠に「電波」であるべきなんじゃないですか。そこが今回はみ出てしまった。動画サイトのコメントレベルのものが表に出てきてしまった。そここそ問題にしないと。私はそう思うわけです。
2016-01-02 20:47:02