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水道の維持に関するあれこれ

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(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

水道事業は公営事業なのだが、公営事業は単に行政が運営する公企業体というだけでなく、たとえば水道の給水契約というのは、私人間の契約ではなく法律により契約が義務付けされている(類似例としてNHKの放送契約も)。つまり、公共事業体は給水の申し込みがあると契約締結の義務が生じる。

2016-01-04 10:36:53
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

なので、どんなに過疎地域でも、水道の供給が逼迫していようと(判例では一部例外を認めた事例もあるが)、給水しなきゃならんのだ。これは戦後、特に都市部において高度経済成長期に行政と不動産デベロッパーとの間で血を血で洗う凄惨な抗争の末確立された概念でもある

2016-01-04 10:39:46
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

高度経済成長期、都市部や郊外で大規模な住宅開発を行うと、行政は多額の投資が必要となった。水道はもとより、道路、学校、ゴミ処理といった行政が義務的に行う必要のあるインフラ投資がかさむからで、大規模開発が発生すると持ち出しが急激に増える。なので、行政は開発の抑制を行いたがった

2016-01-04 10:41:48
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

特に、教育環境の整備なんかだと、大規模開発が発生するといきなり小学校の教室が足りなくなる。学校作っても、開発地域の子供たちが卒業すれば教室が一気に余る。このコストは、不動産屋が払ってくれるわけではないので、開発を抑制する方向に動きたいのだが、当時は開発を抑制する法的根拠が少ない

2016-01-04 10:45:44
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

なので行政指導と契約拒否いう嫌がらせで対抗するしかない。行政指導の根拠は、建築確認申請の不受理・審査の停滞とか、契約拒否でいうと「ゴミ回収の拒否」「「水道契約の拒否」といったいわゆる「ゴミ攻め・水攻め」といったことが行われた。まぁこれも少しずつ法的な縛りがでてきてできなくなったが

2016-01-04 10:48:28
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

各種判例の確立や、行政手続法の制定による標準処理期間(適用除外はたくさんあるが)概念の浸透で、こういった行政の嫌がらせに枠がはめられるようになってきたが、反面行政のインフラ整備は結構つらい状態になってるとこもある。まぁ郊外の大規模団地に廃校になった学校が廃墟になってるってのは一例

2016-01-04 10:52:54
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

廃墟にしときゃいいものはそれで済むが、水道やゴミ処理といった生活に欠かせないインフラの維持はやらにゃならんのだし、一方でそのインフラが構築されてから30年、40年経った今一斉に更新時期を迎えてるという実情もある。

2016-01-04 10:55:13
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

まだ、この水準は苦しいがまだ維持できているほうだと思うのだが、このインフラ支出ができなくなってきたところから、本当の人口減少の実害が発生するのではないかと思う。要するに、インフラの老朽化により人口が流出して、さらにインフラの維持が困難になり、不動産価格が右肩下がりに低下する現象

2016-01-04 10:57:21
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

たとえば、先ほどの朝日の記事にあった「無効率」という言葉。これは、水処理過程で捨てられる水に加えて、水道管本管や支線からの漏水などで最終的にメーターまで届かなかった水の量の率のことで、水道原価に含まれる。無効率を下げるというのが、水道事業経営では重要な管理会計上の指数になる

2016-01-04 11:00:35
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

最近この手の数字に触れてなかったので、まだ全国平均で無効率7%も維持できてるのか、という印象がある。先進国でも10%前後、途上国になると4割とか捨ててるという話はよくあるのだ。「日本の水道インフラは世界一」と言われてるが(何をもってか知らんが)、無効率の低さというのは確かにある

2016-01-04 11:06:48
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

官民の水道インフラの輸出、という話の中で、主に官側の途上国への水道インフラ支援の中核って、だいたいこの無効率を下げるための維持管理ノウハウの移転とか言うのが多いのも、無効率を下げるってのがいかに水道経営で重要なのか、というのを物語ってる

2016-01-04 11:08:26
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

ただ、水道事業ってのはあくまで料金収入を主に、補助金なんかで成り立つ一応は自治体財政からは独立した体系。都市部では、まだ自治体財政がマシなので、一般会計からの繰り入れにも余裕があるし、料金の値上げ余地もある。これが財政破綻した自治体になると一気に苦しくなる

2016-01-04 11:10:57
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

言い換えれば、維持コストが十分にかけられない事業体は、無効率が高くなる傾向にあり、水道料金も高くなる。もちろん、ゴミ処理費や行政の各種手数料も高い傾向となって、生活者の負担に格差が生じる。隣り合ってる自治体でも、このコストの差が生まれて、賃貸住宅の家賃格差が生まれる

2016-01-04 11:13:22
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

ちなみにこの判例、非常に有名な民集登載判例で行政法の教科書にも載ってる話なのだが(志免町マンション給水拒否事件) twitter.com/tsuchie88/stat…

2016-01-04 11:54:29
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

バブル期にマンション開発したら、「水が足りないから給水しない」と拒否したら訴訟になった例。志免町は福岡のベッドタウンで、元々水が足りない地域で拒否事由に該当すると判断した判決。給水契約義務の射程範囲を確立した判例である。

2016-01-04 11:56:37
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

で、このマンション、結局は水道なしで敷地内に井戸掘ってとりあえず販売したらしい。井戸掘りはデベロッパーの持ち出しになっちゃったんだけど、結果的に「水道料金がタダ!」(まあ共益費に入ってるんだろうけど)ってことで、売ってた当初はあんまし問題にならなかったそうだ。バブル期だし

2016-01-04 11:58:38
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

今どうなってるか知らんけど、これ後々考えると怖いよぬ。井戸水って金属分が多いから、配管メンテナンスが大変になるし、ポンプだけじゃなく除鉄槽や除菌機、浄水器とかのコストも馬鹿にならないし。

2016-01-04 12:03:20
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

スエズ本体は、水道事業を中核に公益事業の民営化の波に乗って急激に拡大したわけだけど、スエズやテムズ(現Kemble)なんかは、途上国や公益事業を請け負ってクソ高い契約金で料金を値上げしまくるとか一時かなり問題になった。金がないところからふんだくる商売やな

2016-01-04 12:40:18
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

スエズはGDF(フランスガス公社)と合併して、Engieになったわけだけど、ガス供給だけでなく、電力(原子力にも進出していて、イギリス国内で中国企業と組んで原発建設を推進してる)事業もかなりでかい比重になってる

2016-01-04 12:41:54
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88

Veoliaは名前から連想できるかもしれないが、フランスの巨大複合企業体Vivendiの母体になった会社で、水道だけでなくエネルギー、廃棄物処理、建設なんかにも進出していて、今はVivendiからはスピンアウトした形になってる。ここも最大級の多国籍公益事業企業

2016-01-04 12:45:34