2
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
◆「イヤーッ!」イフリートが両手を掲げ、巨大な火球を虚空に作り出した。「ヘヘヘヘヘハハハハハ!」デスドレインは身をのけぞらせて笑った。そして応えた。「アン・コク・トン・ジツ!」◆
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
【グラウンド・ゼロ、デス・ヴァレイ・オブ・センジン】#6
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
たちまちデスドレインの周囲の地面から、七つ、いや八つの黒い迸りが生じ、規則性の無い軌道をてんでに描いて空を喰らい、ねじれ合わさり、渦巻き、飛沫を散らして、イフリートに襲いかかった。イフリートは頭上の火球を炸裂させた。炎の塊が四方八方に拡散し、暗黒物質を爆発させた。 1
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
デスドレインは足元からアンコクを間欠泉めいて噴出させ、その勢いで宙に跳ねた。イフリートは掌を突き出す。そこに炎が凝集し、唯一本の灼熱の矢が生み出される。デスドレインは回避に頼らず、アンコクの膜を盾めいて眼前に張り巡らせる。ごく小さい灼熱の矢の密度、恐るべき破壊力を察知したのだ。2
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「来たか」デスドレインは唇を舐めた。「すましてやがるが、そこがまた救えねえ、どうしようもねえカス野郎……お前、なかなかイイよ」爆発で飛び散ったアンコクがデスドレインの眼前の盾に吸い込まれ、大きく育った。「どっちにせよ殺すけどな……」「イヤーッ!」イフリートが灼熱の矢を放った。 3
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
BOOM!BOOM!BOOM!超高密度のカトン・エネルギー塊はアンコクの盾を貫き、なおデスドレインのもとへ届いた。デスドレインは首を傾げるように躱した。左の耳朶が蒸発した。「惜しい」デスドレインは呟いた。KABOOOM!灼熱の矢が爆発した。「惜しい!」デスドレインは再度言った。4
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
デスドレインのすぐ後方で灼熱の矢は球状の爆炎と化したが、守りがコンマ数秒早かった。暗黒物質は背中に盾を生じ、燃え上がる事で本体を防いだ。デスドレインは重ねた盾で矢の勢いを殺して躱し、トラップめいた爆発も防御した。矢が放たれた瞬間からセットプレーを読み取っていたと見るべきだろう。5
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
しかしイフリートはこの時すでに己の周囲に蜻蛉めいた炎塊を生み出し終えていた。「イヤーッ!」イフリートの目が白く光を放つと、蜻蛉たちは一斉にデスドレインめがけ押し寄せた。「ヘヘヘハハハハ!数で来たかよ!」デスドレインの後ろから巨大な黒い波が立ち上がった。「イヤーッ!」 6
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
KRA-TOOOOM!黒い波は蜻蛉の群体を飲み込んだ。たちまち波は燃え盛る炎と化し、飛び散って、周囲の兵舎を焼き焦がした。デスドレインは二重、三重、四重の黒波を作り出し、炎を呑み込もうとした。「悪りぃなあ!あいにく餌が有り余っちまってるンだよなァー!」7
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イイイイヤアアアーッ!」イフリートは失われた右腕から鮮血めいて炎を溢れさせ、黒波を焼き焦がしていく。デスドレインはアンコクを注ぎ続ける。五重!六重!七重!ZGBTOOOM!離れた地点の弾薬施設が爆発した。「イヤーッ!」ストーンコールドがロングシップの背後に着地した。「潮時だ」8
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イヤーッ!」「グワーッ!」ロングシップはリニア・イアイドによってリンボの鎧の接続部を切り裂いた。針の穴に矢を射るが如き、狙いすましたイアイだった。「ア、アアーッ!」苦悶と感嘆の叫びをあげながら、リンボはがっくりと膝をついた。「俺の……命!嗚呼!」鮮血が高く迸った。 9
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ロングシップはカタナを返した。「イヤーッ!」ストーンコールドは跳んだ。ロングシップはこれに続かなかった。代わりに彼は二度目のリニア・イアイを繰り出し、アンコクの触手を切り裂いた。ストーンコールドを捉えようとする死の腕を阻んだのだ。跳びながらストーンコールドは部下を一瞥した。 10
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イヤーッ!」ストーンコールドは崩れゆく兵舎の屋根を蹴り、更に跳んだ。アンコクの支流が渦巻きながらロングシップのもとに降り注いだ。「イヤーッ!」三度目のイアイが切り裂く。四度目を繰り出す前に、アンコクが彼を絡め取った。ストーンコールドは振り返らない。死して屍拾う者なし。11
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ストーンコールドは今や全力疾走に入っている。その彼の横を真正面から通過した存在がある。アマクダリの者ではなく、カブキコムのニンジャでもない。彼は空気を彫刻したかのような透明の獣の影を感じ、その背にある男と少女を視認した。稲妻めいて、彼らは瞬時にすれ違った。 12
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
デスドレインは傷口から黒い血を流し、真っ黒に染まった目を見開いて、イフリートのもとにアンコクを集束させてゆく。と同時に、まるでそれ自体が意思を持ったような動きで、蚯蚓めいて死と破壊のあわいをのたうちまわる支流もまた、ある。いまだ息のある負傷兵を喰らい、力を宿主に還元する。13
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
デスドレインは笑いながら叫び続けていた。カブキコムによる処置は、彼のニューロンを侵す「咎」の漢字の呪いを押し流し、最終的に消滅させた。脳には爆弾を仕込まれたが、それはアンコクの餌とした。今、彼は自由だった。いつぶりの自由だろう。黄金立方体が頭上でゆっくりと自転していた。14
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
自由?……ガイオン……ショージャノ……カネノコエ。ショッギョ・ムッジョノ・ヒビキアリ。オゴレルモノ……ヒサシカラズ。タダハルノヨ、ユメゴトシ。「あああ」デスドレインは呻いた。ニューロンの声は己のものか。彼が作った神のものか。彼が作った?神?「ああああ……」 15
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「やめてェ!」デスドレインは女の叫びの聞こえてきた方向を見やった。黒い潮に浮かぶ、あれはカブキコム施設の残骸か。屋上部に女がよろめきながら立ち、デスドレインを見ていた。「正気に戻って!貴方はそんなことをするために生まれてきたのではないでしょう!」ミコシは泣いていた。 16
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「お前」「私のデスドレイン!ともにキョート共和国の未来を創り、私達の未来を創るのよ……まだやり直せる……本当に……アバーッ!」アンコクがカブキコム施設屋上を洗い、ミコシを押し潰した。デスドレインはイフリートに集中した。アンコクの集積の奥底が赤橙色に染まる。まだ息がある。17
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「イイイイイヤアアアーッ!」吠えるような叫びが聞こえた。SPLAAASH!アンコクが燃えながら爆ぜ破れ、イフリートが飛び出した。全身に白熱する炎を纏い、その身を爛れさせながら、カブキコムの戦士はデスドレインのワン・インチ間合いに食らいついた。「イヤーッ!」 18
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「アアアアア!」デスドレインはイフリートを迎え撃った。炎のカラテが胴体を貫いた。「アアアアアア!」体内から暗黒物質が溢れ出す。イフリートは己の皮膚を、肉を、脳を焼き、内なるカトンによって、自分もろとも敵を……「くッだらねェー!」デスドレインが嘲り、イフリートを呑み込んだ。19
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
黒い波濤の只中、デスドレインは立ち尽くしていた。彼は目を閉じ、開いた。「あン?」「イヤーッ!」アズールはクナイ・ダートを投擲した。一つは黒い触手が絡めとった。一つは胸部に突き刺さった。「なンだ?」「お前を」黒いマントがひるがえった。アズールは49マグナムを両手で支えた。20
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
その時既にガンドーは透明の獣の背から飛び、己の首にLANケーブルを挿しこんでいた。(アイツめ……俺の銃の片一方、回収してやがったのか。だが撃てるのか?肩をやられちまうぞ)雑念を押しやり、彼は己のタスクに意識を集中させた。BLAMN!アズールがデスドレインを撃った。21
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「グワーッ!」デスドレインの左上部が吹き飛んだ。「……テメェ……アズール」アズールは反動で獣の背から転げ落ちそうになった。銃は零れ落ち、獣はデスドレインを旋回するように架けた。黒い海の上を。彼女は叫んだ。「なんだよ!その顔は!」「何してやがる」「ケリをつけて、私は先に行く!」22
NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「ンな事ほざきに……ヘヘヘヘ……こンなくだらねェ場所までご苦労なこッたなァ」デスドレインは首を傾げて目を細めた。ガンドーが背後に落下し、暗黒物質に巻き込まれながら、LANケーブルの一端を、デスドレインの耳の後ろ……カブキコムによって増設された生体LANジャックに……直結した。23
残りを読む(68)

コメント

オスツ🍣 @alohakun 2016年1月6日
グラウンド・ゼロ、デス・ヴァレイ・オブ・センジン #1 http://togetter.com/li/897166
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする