グラウンド・ゼロ、デス・ヴァレイ・オブ・センジン #6

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

01000010100100禁10011100101禁0101禁11禁禁禁010010「タカギ・ガンドー!」ガンドーは転がりながら闇の中に着地した。彼は己の前に立ちはだかった存在がアキラノ・ハンカバであると、すぐに気づいた。彼は49マグナムを向けた。「お呼びじゃねえぞ」24

2015-12-30 00:32:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それはお前のためにならぬ」アキラノは厳かに言った。ガンドーは睨んだ。「図々しいクソ野郎が。どのツラさげて来やがった」「この対話はニューロン速度で為されている!とはいえ悠長な会話を行う時間が無いのは確かだ。よいか。私は今、お前に流し込んだカブキの門を通して発信している」25

2015-12-30 00:37:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺のトロイだな。ナメやがって」「奴は……デスドレインは我が軛(くびき)を脱した。もはや直接奴に働きかけるは至難……いや……不可能といってもよい。予測不可能なケオス要因が奴に反抗の機会を与え、奴は目的を達成し……」「予測不可能な出来事を認めやがれッてんだよ、お前らは」 26

2015-12-30 00:42:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アキラノは無念そうに首を振った。「共和国は……元老院は複雑怪奇な巨獣也。だが今はハンセイの時間ではない。よいか、我が力の使役はカブキの門を持つ者に限られる。ゆえに今、お前に働きかけている。お前はデスドレインと繋がった」「そうだ。奴をやる。そこをどけ」「力を貸そう」 27

2015-12-30 00:45:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」「前線の兵士を喰らい尽くしたアンコクトンが制御なしに解き放たれれば壮絶なカタストロフを生み出す」「わかってるじゃねえか」「それは私も本意ではない。故に力を貸す」ガンドーは電子の49マグナムをホルスターに戻し、歩き出した。アキラノの姿は粒子状に拡散し、彼に吸い込まれた。28

2015-12-30 00:51:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らの対話は客観的にはニューロンを電気が駆ける反射の速度で為され、1秒も経過しておらぬだろう。ガンドーは待合室めいた闇を走りぬけ010010010100101111ひび割れた大地に落下した。彼は見渡した。頭上には黄金の立方体が輝く。他にはなにもない。 29

2015-12-30 00:56:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

足元の感触は不快に柔らかい。ガンドーはどうやら死体を踏んで歩いている。あの怪物が殺めたものたちの印象の記憶か。それはいかにもおぼつかず、無価値な砂に似ていた。ガンドーは前を見た。彼は円形の閉鎖空間に立っていた。デスドレインは目の前。木の椅子に腰掛け、ダラリと両手を垂らし。30

2015-12-30 01:03:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前は俺じゃねえな」デスドレインは瞬間的に察した。「ナメた真似してくれたじゃねえか。だいぶ不快だぜ、テメェ」「ドーモ。ディテクティヴです」「ドーモ。タカギ・ガンドー=サン。デスドレインです」デスドレインは立ち上がった。「何しに来た?」「決まってるじゃねえか」 31

2015-12-30 01:05:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

49マグナムを向けながら、ガンドーはひやりとする感触を覚えた。こいつはタカギ・ガンドーと呼んだ。名前を読み取ったのか?デスドレインは耳を掻いた。「……だろうな。それじゃあ、遊ぼうぜ。そうだなァ」彼はガンドーを見つめ、ニヤリと笑った。「手始めにテメェの大切なものをヤッちまうか」32

2015-12-30 01:08:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【グラウンド・ゼロ、デス・ヴァレイ・オブ・センジン】#6 後半

2016-01-05 21:40:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

足元の感触は不快に柔らかい。ガンドーはどうやら死体を踏んで歩いている。あの怪物が殺めたものたちの印象の記憶か。それはいかにもおぼつかず、無価値な砂に似ていた。ガンドーは前を見た。彼は円形の閉鎖空間に立っていた。デスドレインは目の前。木の椅子に腰掛け、ダラリと両手を垂らし。30

2016-01-05 21:40:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前は俺じゃねえな」デスドレインは瞬間的に察した。「ナメた真似してくれたじゃねえか。だいぶ不快だぜ、テメェ」「ドーモ。ディテクティヴです」「ドーモ。タカギ・ガンドー=サン。デスドレインです」デスドレインは立ち上がった。「何しに来た?」「決まってるじゃねえか」 31

2016-01-05 21:42:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

49マグナムを向けながら、ガンドーはひやりとする感触を覚えた。こいつはタカギ・ガンドーと呼んだ。名前を読み取ったのか?デスドレインは耳を掻いた。「……だろうな。それじゃあ、遊ぼうぜ。そうだなァ」彼はガンドーを見つめ、ニヤリと笑った。「手始めにテメェの大切なものをヤッちまうか」32

2016-01-05 21:44:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!ガンドーは引き金を引いた。デスドレインは椅子にかけたまま、両手をだらりと垂らしたままで、銃弾を止めた。影と思えた足元の黒い染みはアンコクトン・ジツであり、その触手が49口径銃を遮ったのだ。「俺の事好き放題できると思ってたか?悪りィなあ、だんだん慣れてきてるぜ、俺は」33

2016-01-05 21:47:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーは電子の唾を飲んだ。(プランAはダメだな)コトダマ空間におけるイクサはコトダマ空間認識者が非認識者に対して圧倒的優位に立つ。ニューロン速度で繰り出されるあらゆる論理攻撃に、緩慢なタッチタイピング次元で対抗することはできない。だがデスドレインは既に認識者だった。34

2016-01-05 21:50:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

敵のニューロンとLANケーブルを直結し、ローカルコトダマ空間内でのイクサに引きずり込み、脳を破壊して倒す。キョート城において極めて強力なニンジャを倒した必殺の奇襲手段。カラテカにしてハッカーでもあるタカギ・ガンドーにとって奥の手の中の奥の手だ。しかし一方的勝利は遠のいた。35

2016-01-05 22:00:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「慣れてきてる?言うじゃねえか」BLAM!BLAM!撃ち込みながらガンドーは笑った。「どっこい俺は死ぬほどやり込んでるぜ」「ヘヘヘヘ!」デスドレインが目を見開き、笑い返した。岩窟には蜘蛛の巣じみて暗黒物質が糸引き、デスドレインを護った。壁に「反省房」の漢字。情景の変化だ。36

2016-01-05 22:04:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「懐かしいじゃねえか」デスドレインは呟いた。二人を囲む岩壁、ずっと頭上で小さく切り取られた空には黄金の立方体が輝く。BLAM!BLAM!BLAM!ガンドーは撃ち続ける。暗黒物質は銃弾を絡めとりながら旋回し、ガンドーを襲った。「イヤーッ!」ガンドーは銃撃の反動で回し蹴りを放つ。37

2016-01-05 22:09:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」デスドレインは電子ピストルカラテ蹴りに対応しきれず、側頭部に踵を食らった。椅子には錆びた鎖が繋がれており、邪悪なニンジャはそれごと転倒した。「いってェー!ヘヘヘヘ!」彼は地面を流れてきた黒い液体を舐めた。「クソ野郎……もっと教えてくれよ……下手くそだからよォ」38

2016-01-05 22:14:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!BLAM!BLAM!ガンドーは撃ち続ける。デスドレインはアンコクに守らせながら這いずった。「ハァ……テメェはよォ……どこで会ったっけなァ。探偵さんよォ。タカギ・ガンドー=サン…なあ……いたよなァ、あのふざけた城だ……アア……あのクソ野郎……ニンジャスレイヤーだ……」39

2016-01-05 22:16:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!BLAM!デスドレインの身体が黒く爆ぜる。アンコクの皮膜だ。「お互い恨みつらみもねェ仲じゃねェか……なンでそんなひでェ事ができるんだ?ヘヘヘヘ!」SPLASHH!ガンドーの背後の壁が割れ、黒い奔流が迸る!「グワーッ!」SPLASSH!足元から黒い奔流が噴き出す!40

2016-01-05 22:22:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」デスドレインは寝たまま片腕を伸ばし、暗黒物質を飛ばして、囚われたガンドーにトドメの一撃を放った。裂かれたロングコートが01電子分解するさまを訝しんだ彼の側頭部に、上着を脱ぎ捨て瞬間的に移動したガンドーの電子カイシャク・ストンピングが振り下ろされた。「イヤーッ!」41

2016-01-05 22:25:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!」デスドレインの黒い頭部が飛び散った。ガンドーはザンシンすらせず、そのまま真横へ49マグナムを向けて撃った。BLAMN!「グワーッ!」アンコクを身代わりにカイシャクを逃れアンブッシュしようとしていたデスドレインの胸部が銃撃を受けて爆ぜた。「惜しい!ヘヘヘハハハ!」42

2016-01-05 22:28:16