実質賃金はプラスになったのか
またもや実質賃金まで持ち出してきた。民主党政権は最低賃金を無理やり上げたもんだから、かえって雇用が減ったのに。安倍政権では3年目になって、就業者数増加とともに、ついに実質賃金はプラスに転じたじゃないか。
2016-01-08 13:18:48安倍首相「17年ぶりの高い賃上げで景気は確実に回復軌道を歩んでいる」→事実はアベノミクスで実質賃金は激しく下がり続け消費支出は20カ月連続で落ち込みリーマンショックに匹敵する深刻な景気後退局面にある | editor editor.fem.jp/blog/?p=1620
2016-01-08 15:05:11佐々木氏は、厚生労働省の「平成27年10月分結果確報」のページにリンクを張っているが、実際のデータは「時系列第6表 実質賃金指数」にある。
このページを開くと分るが「アベノミクスで実質賃金は下がり続けている」と題しているページの数値は「きまって支給する給与」の数値であり「現金給与総額」ではボーナス月など100を超えているところもあり、何より「前年比」では「0.3%」や「0.4%」など前年からプラスになっている。
「実質賃金がプラスに転じた」のは現金給与総額の前年比の話で、「下がり続けている」としているのは2010年を100とする指数(の内の「きまって支給する給与」)の話で、すれ違っている。
しかし、厚労省の統計のページを見ていながら、「たしかに実質賃金は下がり続けているね」と述べる佐々木氏は、話がすれ違っていることを知りながら、他方の意見を「デマ」と断じたままにしており、その意見を信用すべきではない。
前年度比のグラフで見ると次のようになる。
なお、実質賃金が前年比でプラスになった、と言ってもそれだけで良いわけではない。どちらかと言えば、2014年が消費税率アップの影響で、消費者物価指数が跳ね上がって、その影響で実質賃金指数が下がっていたのが、その影響がなくなったという点が大きいように思う。
その意味では賃金指数と実質賃金指数が2015年は同じような動きをしているが、これは消費者物価指数が上がっていないことを示す。
そこで消費者物価指数の内容も見る必要がある。
図4 電気代指数の動き
図5 ガソリン指数の動き
図6 生鮮食品を除く食料指数
を見ると、エネルギーが下がって、食料品等の物価は上昇していることが分る。
ただ物価の上昇率としてはまだ弱いので、今後の政策が重要になってくるだろう。
あと、有効求人倍率や完全失業率もおさえておく必要があるだろう。