平成27年 司法試験 刑法 不良出題趣旨 分析講座
仮に,丙について不法領得の意思を否定した場合には,毀棄罪,具体的には器物損壊罪の成否を論ずることが必要である。 ※不良出題趣旨 「損壊」の解釈をした上で 速やかな原状回復の可能性が期待される場合 果たして 鞄の効用を喪失したと評価できるか否かについて検討されたい
2016-01-12 11:27:50交番に届けるための置き引きは速やかに所有者に返還されるので,原状回復(もとの状態に戻ること)の可能性が高いから,「損壊」にも当たらないともいえ,γ翻って,不法領得の意思ありともいえる。
2016-01-12 11:25:39ⅲ刑務所志願の置き引きの場合,置き引き後直ちに最寄も交番に届けるという事案により,α仮に,その経済的用法に従い,利用し処分する意思(毀棄隠匿罪との区別)がないと考えると しても,β「損壊」(効用喪失説から 物の効用を喪失させる一切の行為)に当たるか否かが問題となり,
2016-01-12 11:25:34ⅱここで不法領得の内容は,α権利者を排除して,他人の物を自己の所有物として(使用窃盗の不可罰性を基礎付ける 自転車を5分間無断借用する行為は重い法定刑のある窃盗罪が想定する行為ではない),その経済的用法に従い,利用し処分する意思(毀棄隠匿罪との区別)である。
2016-01-12 11:24:57Ⅲ窃盗罪と器物損壊罪の区別の基準は,不法領得の意思の存否である。 ⅰ窃盗罪等の領得罪は,器物損壊罪等の毀棄隠匿罪と比べ,法定刑が重いところ,これは,不法領得の意思があるからに他ならない。
2016-01-12 11:24:27不法領得の意思について,その概念を述べるだけでなく,その内容にも踏み込んで論述し,これに丙の意思を当てはめて,丙に不法領得の意思を認めることができるのかを論ずることが肝要である。 ※不良出題趣旨 たとえば・・・として 具体的に示さなければ 学習の指針にならない
2016-01-12 11:07:35不法領得の意思の内容 「権利者を排除して,他人の物を自己の所有物として,その経済的用法に従い,利用し処分する意思」 ※これを覚える しかし 分解する 使用窃盗の不可罰性 権利者を排除して他人の物を自己の所有物として 毀棄隠匿罪との区別 その経済的用法に従い利用し処分する意思
2016-01-12 11:05:47そして,判例(大判大4・5・21刑録21輯663頁)は,不法領得の意思の内容につき,「権利者を排除して,他人の物を自己の所有物として,その経済的用法に従い,利用し処分する意思」と解しているところ(近時の判例として最決平16・11・30刑集58巻8号1005頁がある。), ※優秀
2016-01-12 11:03:53窃盗罪については,判例上,故意とは別個の書かれざる主観的構成要件要素として,不法領得の意思が必要とされている。 ※不良出題趣旨 「書かれざる」だけでは 芸がない 試験会場の受験生に役だたない ここは 条文の達人流に 条文に「痕跡」を残す それが「法定刑」の重さだ
2016-01-12 11:02:22,丙が甲のかばんを持ち去った理由は,これを交番に持ち込んで逮捕してもらおうというものであり,丙には,甲のかばんをその本来の用法に使用する意思はおろか,何らかの用途に使用する意思もなかった。
2016-01-12 11:00:28ⅶ占有離脱物横領罪の客観面については,窃盗という占有奪取行為がある場合,広く領得行為をしたという点で,占有離脱物横領罪の客観面も満たすと考える ⅷしたがって,占有離脱物横領罪が成立する。
2016-01-12 10:59:13,β行為態様は占有奪取の有無の点では重なり合いはないが,領得行為の点で重なり合いがある。 ⅴ法定刑については,軽い罪は占有離脱物横領罪である。 ⅵしたがって,主観 面は満たす。
2016-01-12 10:59:08重なり合いの判断基準は,α保護法益及びβ行為態様となる。 ⅷたとえば,主観的には占有離脱物横領罪の故意で,客観的(結果的)には窃盗の場合,α保護法益は,所有と占有であるところ,占有も究極的には所有を保護するという意味で重なり合いがあり
2016-01-12 10:58:46ⅵしかし,各構成要件間において,重なり合う場合があり,その場合であれば,構成要件理論からも,軽い罪につき,故意を認めることができる。 ⅶ各条文における構成要件の作られ方は,保護法益と行為態様を基軸とするので(法益が同じでも行為態様が異なれば別の構成要件となるという意味),
2016-01-12 10:58:31ⅴ異なる構成要件に跨る錯誤(抽象的事実の錯誤)について,構成要件理論(構成要件を中核に犯罪論を考える考え方 刑法の自由保障機能(刑法は国民の自由な行動を保障するためにある)を背景とする)から,原則として,抽象的事実の錯誤の場合,故意を認めることはできない。
2016-01-12 10:57:58γ事情は,財物の性質・時間的近接性・場所的近接性・被害者の意識等である。 ⅳ被害者に占有がある場合,客観的には窃盗罪となるが,犯人が,主観的に忘れ物と思った場合,抽象的事実の錯誤の問題となる。
2016-01-12 10:57:44Ⅲ窃盗罪と占有離脱物横領罪の区別の基準は,占有の所在である。 ⅰ被害者に占有がある場合は窃盗である。 ⅱ犯人に占有がある場合は横領である。 ⅲ窃盗における占有は,α基準は事実上の支配の有無,β判断の仕方は,支配の事実と支配の意思であって,
2016-01-12 10:57:26※不良出題趣旨 確かに 占有の要件として 占有の事実及び占有の意思 を示さている点は評価する しかし 問いが 罪責なので 犯罪名を示した上で 問題となる 要件を的確にしめされなければならない
2016-01-12 10:38:32問題文には,甲の占有に関する事実が挙げられているが,これらの事実を単に羅列するのではなく,占有の要件(占有の事実及び占有の意思)に即して,必要かつ十分な事実を整理して論ずることが求められる。
2016-01-12 10:35:55⑶ 丙の罪責 丙は,甲が甲のかばんを駅待合室に置いたまま同室を出たのを見て,甲のかばんを持って駅待合室から出た。丙の罪責を論ずるに当たっては,駅待合室内の甲のかばんに甲の占有が及んでいるかどうかを検討する必要がある。
2016-01-12 10:34:01共謀者は,抽象的事実の錯誤における重なり合いの限度論により,窃盗罪の共同正犯となるところ,業務上横領罪は身分犯であるが,窃盗罪は身分犯ではないので,65条は適用されないことになる。
2016-01-12 09:54:34