知識と狂気の申し子 ー会合の頁ー

リエットさん(@rsr28083)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回は深海側の尻尾付きのお話。 彼女の思惑やいかに──? ぜひお楽しみくださいませ! 続きを読む
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はじめに

リエット @rsr28083

こんばんはです。ただいまより #落ちぬい二次 投下始めます。本作は #不知火に落ち度はない の二次創作であり、オフィシャルではありません。意見・批評などは #落ちぬい タグでお願い致します。 今夜、尻尾つき暫定…動きます。

2016-01-12 20:49:30

本編

リエット @rsr28083

知識と狂気の申し子 -会合の頁- #落ちぬい二次

2016-01-12 20:51:25
リエット @rsr28083

そこは、天と地の境界も分からないほどの透き通った青で満ちた世界だった。 雲も岩もない無限に続く空と海だけの世界に、ただ南西の熱風が吹きとおっていく。 平和な世界だ……この澄み渡る蒼海に船を浮かべ、心行くままに遊覧していきたい。 目にした人はそんな考えを抱くだろう。 #落ちぬい二次

2016-01-12 20:52:15
リエット @rsr28083

しかし、その考えは止めておいたほうがいい。 あの日から、海はもう人間が立ち入っていい場所ではなくなったのだ。 この世界の海はもはや……彼女たちの温床なのだ…… 青々とした海面に、一点の黒点が浮かんだ。 照りつける日光を受けて黒光りし、クラゲのように揺れ動いている #落ちぬい二次

2016-01-12 20:53:31
リエット @rsr28083

しばらくした後、その物体は勢い良く海面から「立ち上がった」 「ふぅぅ~…気持ちいいねえ!」 海面から現れたのは、一人の白い肌をした少女だった。 #落ちぬい二次

2016-01-12 20:54:59
リエット @rsr28083

白髪の頭には黒色の甲殻を被り、およそ生物のものとは思えない赤い瞳を光らせ、 海水に濡れた黒のレインコートの後ろからは、不気味な魚類の頭部をした尻尾が楽しそうに揺れていた。 彼女は深海棲艦という、人間たちから海を奪った存在の一人だ。 #落ちぬい二次

2016-01-12 20:55:37
リエット @rsr28083

特別な名前は無かったのだが最近になってサウスダコタという名前を持つようになった 「追っ手らしき人影も無し!いやぁ思い付きでやってみたけど、なかなか上手くいったんじゃないかしら?」 不気味な外見からは想像つかない陽気な顔で、サウスダコタは頭に乗っけた甲殻を脱いだ #落ちぬい二次

2016-01-12 20:56:51
リエット @rsr28083

その甲殻は、海を潜る潜水艦型深海棲艦の艤装だった。 彼女、サウスダコタは深海棲艦きっての猛将、それゆえに彼女の損失を恐れた深海棲艦の指導者・女王によって、しばらく南方の廃船の中へ押し込められていた。 #落ちぬい二次

2016-01-12 20:57:46
リエット @rsr28083

さらに、敵である艦娘たちの勢いづいた進撃を受けて、今度は本拠地、女王の膝元へと繋がれることとなった。 深海棲艦としては稀な知的欲求と大きな好奇心を持つサウスダコタはさすがに不満を示した。 #落ちぬい二次

2016-01-12 20:59:06
リエット @rsr28083

何とか女王や彼女の腹心である空母ヨークタウンの目を盗んで外に出れないか、と考え付いたのが、これ。 部下である潜水艦から装備一式を脱がして自分に装着、潜水の力をもって脱走するというすごく奇抜なものだった。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:00:16
リエット @rsr28083

今頃サウスダコタが押し込められていた場所には、剥き身になった部下の潜水艦が浜に打ち上げられたクラゲのように横たわっていることだろう。 こうして、晴れて本拠地から脱出し、自由に行動できるようになったサウスダコタの目的はと言うと…… ドオォーンッ! #落ちぬい二次

2016-01-12 21:00:55
リエット @rsr28083

ふと、海上に重い爆発音が鳴り響く。 サウスダコタは、すぐに音がした方向に顔を向け笑顔をさらに輝かせた。 「来たわね……そこにいるのね、艦娘!」 嬉々とした表情で、サウスダコタは海面を蹴り、青い水平線の彼方へと駆け出した。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:01:26
リエット @rsr28083

少しの時間海上を走り続けたサウスダコタは視界に自分が期待していた光景を捕らえることに成功した。 平らな青い世界に立ち上る幾つもの黒煙。その中に五つの人影がお互い大きく感覚を空けて立っている。 深海棲艦の敵にして、サウスダコタが会合を夢見ていた艦娘だった。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:03:03
リエット @rsr28083

「見つけた……見つけた!あれが!」 かつてまで感情の揺れ幅が無きに等しかった彼女の胸中に、喜びが生まれ、全身に反響していく。 拾ったラジオの電波や部下の潜水艦に撮らせた写真でしかその存在を知れなかった艦娘というモノに、やっと出会えたのだ。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:04:02
リエット @rsr28083

自分が訳もなく殺してきた人間たちが生み出し、多くの同胞を海底に沈め、女王が自分を前線から離し、隠すほどに恐れた存在。 空虚すぎる自分の心を埋め続けるために恐ろしく好奇心が強くなったサウスダコタには、艦娘たちから得たいものが山ほどあった。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:05:14
リエット @rsr28083

故に何から求めたらよいのか分からず、しばらく彼女らの小さな影を眺め続ける。 すると、こちらに向かって数十の小さな物体が飛来してくるのが見えた。 航空機か?その姿をよく見ようとサウスダコタは目を凝らすと、飛来物は何かを海面に落とし、反転していく。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:06:22
リエット @rsr28083

サウスダコタはぼうっとそれを眺めていたが、数秒たって足元が大きく盛り上がり破裂。 彼女は後ろへ少し飛ばされるがすぐに体勢を整え、爆発した海面を見て、その発生原因を考えた。 「……魚雷?」 ゆっくりと、彼女は推測の答えを呟いた。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:07:20
リエット @rsr28083

今のは数十年前の大戦の時代、海戦で使われた兵器・魚雷の爆発によるもの。 つまり飛来してきたのは艦攻だ。 自分は遠くの艦娘に攻撃を受けたのだ。 サウスダコタは艦娘たちが立つ場所を見る 立ち上る黒煙の元には同胞とおぼしき物体が浮かび、艦娘たちは皆、艦装を握っていた #落ちぬい二次

2016-01-12 21:08:06
リエット @rsr28083

向こうの艦娘たちは先程まで戦闘をしていたのだ。 彼女の同胞でこの海域を任されていた深海棲艦と。 そして、艦娘たちはついさっき同胞を倒し勝利したが、そんなときに不穏な影が一つ、そう遠くない距離に現れた。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:09:01
リエット @rsr28083

艦娘たちは敵方の増援が駆けつけた、あるいは戦っていた艦隊の残りと判断し、まず航空攻撃をしかけてきたのだ。 生まれて初めての艦娘の攻撃。 艦娘たちは自分を敵と判断した。 それらの事実を理解したサウスダコタは…… 笑みをこぼした。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:09:48
リエット @rsr28083

見たい、艦娘の戦いを…… 知りたい、艦娘の殺意を…… その欲求はたちまちサウスダコタを強い渇望に誘い、一刻も早く満たそうと、彼女は艦娘たちに向かって駆け出した。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:10:34
リエット @rsr28083

サウスダコタが駆け出すのを見た艦娘たちが迎撃体勢に入ったのは一瞬だった。 空母艦娘は先程よりも多くの艦載機を飛ばし、砲を装備する艦娘は無策に、しかし猛烈なスピードで迫ってくるサウスダコタに果敢に砲を撃ち続けた。 かなり訓練が行き届いている。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:11:34
リエット @rsr28083

そんな苛烈な攻撃に向かって、サウスダコタは喜んで飛び込んだ。 回避行動はとったりするも、ほとんどの攻撃を彼女は受けた。 彼女の戦闘経験といったら人間が乗った的同然の艦艇のみ。 いや、それは実際戦闘とも呼べない、単なる虐殺だ。 #落ちぬい二次

2016-01-12 21:12:31
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