科学的検証が患者の汚名を払拭する ~「パーソナリティ障害の現実」を読む~
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「こころの科学」185号特別企画「パーソナリティ障害の現実」を読んでいるが、DSM-5になって、そしてICD-11に向けてパーソナリティ障害の診断がドラスティックに変化するのを目の当たりにしてワクワクというかドキドキしている。→
2016-01-14 10:52:40→特に林直樹先生「パーソナリティ障害とはどのような病気なのか」、井上弘寿先生「最近提案されたディメンジョナルなパーソナリティ障害モデル」の2本は読み応えがあった。代替DSM-5モデルについてようやく少し理解できた。(昨年某学会のワークショップで聴いたときは理解しきれなかった)。
2016-01-14 10:52:54→この代替DSM-5モデルを使いこなせるようになれば、これは単なる診断ではなくパーソナリティについてある程度包括的なアセスメントができるようになるわけで、画期的かもしれない。ワークショップや研修会があったらぜひ参加してみたい。→
2016-01-14 10:53:06→またお二人の先生も書いていたが、このモデルはパーソナリティ障害に対するスティグマを払拭するという意味でも非常に意味があると思う。治療者側が患者にパーソナリティ障害のレッテル貼りをして「だから治りようがない」と言い切る人がいるが、そういう風潮も変わっていくことだろう。→
2016-01-14 10:53:19→スキーマ療法の提唱者ジェフリー・ヤング先生もDSM-IVのパーソナリティ障害の診断基準についてはずっと批判していた。「これでは当事者の傷つきがまるでわからない」「いわゆる“問題行動”をあげつらっているだけだ」と。→
2016-01-14 10:53:33→それにしても林先生の紹介するKruegerの内在化要因と外在化要因という高次要因から併存精神障害を見るという考え方、それに基づく構造方程式モデルによる図は新鮮だけど「そうかもね」と妙に納得できる。林先生の文章を引用:この図には、新しい精神障害観が示されているといえる。→
2016-01-14 10:53:43→このような広い視点から見るなら、精神障害同士の個々の併存を疾病論的に問題にするのはすでに木を見て森を見ずの振る舞いであり、併存している精神障害の全体を一つの病態と捉えて対応することが必要となっていると考えるべきである。(p.14)→
2016-01-14 10:53:55→さらに林先生は、パーソナリティ障害に併存する精神障害への治療が優先して行われるのが現状だが、先生らの研究によればうつや不安の問題よりも先にパーソナリティ障害に対するアプローチを開始することが望ましいとのこと。→
2016-01-14 10:54:05→この見解には衝撃を受けた。でも各障害の発生のプロセスを考えるとそれはそれでそうなのかも。パーソナリティ障害が先行してその後たとえばうつ病などが発症し、それが遷延化するうちにさらに依存症が併発する、という流れは確実にあるのだから。
2016-01-14 10:54:17◆注◆逆に、双極2型障害がこじれてパーソナリティ障害のラベルを貼られ、疾病への対応がなされない場合もあるので、この問題は双方向的に大いに警戒すべきことと思います。 (このツイートの問題についての言及です:twitter.com/emiemi14/statu…/通知お邪魔します。)
2016-01-14 12:41:36.@emiemi14 あと伊藤さんは勘違いなさらないとは思いますが、言葉が足りないので補足を。引用ツイ「このツイートの問題」とあるのはツイートで取り上げられている問題、という意味で「このツイートに問題がある」という意図ではありません。(読まれたTLの皆様に説明兼用お邪魔しました)
2016-01-14 12:50:03「こころの科学」185号。他にも衝撃を受けた研究がある。備忘録的に書き残しておく。木村先生ら「境界性パーソナリティ障害の生物学的研究はいま」という論文で紹介されたもの。ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25906795 →
2016-01-14 10:54:29→この研究についての解説文を以下に引用:これまでの研究の疼痛刺激は、倫理上、実際に自傷行為を行うわけにはいかず、疼痛を想起させる視覚的な刺激や熱刺激などのNSSI(非自殺自傷)を想定した刺激が使用されていた。→
2016-01-14 10:54:39→しかし2015年、いくつかの倫理的問題を乗り越えて、実際に外科メスにより皮膚切開して出血させ、脳機能の変化を観察する臨床研究結果が発表された。21名のBPD患者と17名の健常者に皮膚切開を施行し、脳機能について検討した。→
2016-01-14 10:54:49→皮膚切開に対し、BPD患者は、嫌悪感が薄れ、扁桃体の活性化が低下し、前頭葉との機能的関連性が回復し、正常化した。(p.28)※引用以上。結果には驚かないが、この研究の手続きには非常に興味がある。あとで元論文にあたってみよう。
2016-01-14 10:55:01◆補足◆前々から言われていた現象の科学的検証ですね。以前、自傷についてのまとめを作った時、収録ツイートでも言及されていたことが、実験によってより詳細に確認された…仮説ではなくなった、というのは非常に大きいと思います。(お借りします:twitter.com/emiemi14/statu…)
2016-01-14 12:45:30.@emiemi14 言及を拾ってくださってありがとうございます。いま、外科的な実験を経て自傷の効能が実証されたことについての衝撃を引用ツイートさせていただきました。凄いことがわかりましたね。この研究は、パーソナリティ障害者の尊厳の回復に繋がると思います。
2016-01-14 12:47:11そうなるといいですね。それにしても人の身体と心は本当に複雑なものだと痛感します。治療でも研究でも良し悪しの判断は保留して「何が起きているのか」を丁寧に見ていくことの重要性を改めて感じました。 twitter.com/CookDrake/stat…
2016-01-14 12:52:55.@emiemi14 貴重なツイート群、ありがとうございました。パーソナリティ障害が本人の気の持ちようのように言われて苦しんできた友人たちの名誉回復がなされたような気持ちです。実際にはまだ始まったばかり、なのですが、私にとってはそれくらい衝撃的でした。
2016-01-14 12:55:30@emiemi14 すみません、ちょっと今、かなり興奮しています。もしよければ、この一群のツイートをトゥギャッターでまとめさせて頂けませんか?まとまった形で残しておきたいですし、より多くの人に知ってもらえればと思います。
2016-01-14 12:58:20