琉球大学教授職員会「安全保障関連法案に反対する」決議を採択

2015年7月28日第55回定期総会
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まついち @matsudayuuichi

新報社会面 ・台船設置1年、市民100人が抗議 ・環境市民団体、埋め立て前提の協議中止を要望 ・琉大教授職員会、安保法案廃案を求める 国旗・国家要請も抗議 pic.twitter.com/aupqiD1oJ2

2015-08-20 07:02:17
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akira @rv777ftv

【8月17日沖縄タイムス見出し】 『安保法廃棄求める』「琉大教授職員会、国旗掲揚・国歌斉唱要請に抗議決議...」って。琉球大学は国立大学でしょ!?沖縄の多くが腐ってきている。 沖縄メディアの扇動は翁長県政になってから本当にヤバイ状態!沖縄の中国化が進む.. 全国に拡散希望!

2015-08-18 17:50:07
BARA @BARANEKO

琉球新報 琉球大・教授職員会 安保法案反対決議 式典での「国旗・国歌」要請抗議 軍学共同にも反対 pic.twitter.com/vXWTfV25RH

2015-08-18 19:44:12
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琉球新報の報道

リンク 琉球新報 安保法廃案求める 琉大教授職員会 琉球大学教授職員会は17日までに、安全保障関連法案に反対する決議と大学の式典での国旗掲揚・国歌斉唱の要請に抗議する決議、軍学共同に反対する決議などを採択した。 安保法案の反対決議は、同法案が戦後7

教授職員会とは

 教授職員会は、「全会員の相互の協力によって、会員の労働条件の維持改善を図り、大学の自治と学問の自由の確保に努め、もって大学本来の使命たる学問の 研究と教育の任務の遂行に寄与することを目的」(本会規約第3条)とする琉球大学教員の労働組合です。

2015.7.28
第55回定期総会が開催されました。
定期総会の場で、以下4件の大会決議が採択されました。
「安全保障関連法案に反対する」
「琉球大学憲章を尊重し、軍学共同に反対する」
「大学の式典での日の丸・『君が代』の使用要請に抗議する」
「大学の基盤的予算を抜本増額し、総合的な教育研究を持続可能にせよ」

出典 琉球大学教授職員会


各決議全文

「安全保障関連法案に反対する」

 安全保障関連法案について、7月15日に衆議院安保法制特別委員会において強行採決が行われ、翌16日には衆議院本会議においても同様に採決がなされた。
 そもそもこの法案は、昨年7月1日に、安倍内閣が、集団的自衛権行使の容認を閣議決定したことに端を発する。これに対して、当会は、昨年8月6日の定期総会において、「集団的自衛権の行使容認に反対する」声明を決議した。同様の声明が各方面でこれまで多数あげられてきたにもかかわらず、安倍内閣は、それらを一顧だにせず、あろうことか、国会審議が始まってさえいない4月の訪米時に、米連邦議会での演説で安保法制の改革を夏までに行うことを約束し、国民主権を蔑ろにした。
 さらに、衆議院憲法審査会で憲法学者3人全員が違憲と述べるなど、安保関連法案に対する違憲の疑いが大きく懸念される中でも、国会審議ではその疑念に対する合理的な説明が全くなされなかった。それにもかかわらず採決が強行されたことは、暴挙というほかない。
 安保関連法案は、戦後、日本が70年にわたって積み上げてきた憲法の平和主義に基づく安全保障政策を大きく転換するものである。したがって、その転換には、内容が憲法に違反することなく、かつその手続において、十分な議論がなされることが必要不可欠である。
 しかるに、今般の状況は、「違憲」の安保関連法案を、与党の数の力だけでおしきったもので、立憲主義を根底から覆すものであり、到底受け入れることはできない。
 国会においては、安保関連法案をすべからく廃案とし、危機に瀕する立憲主義・民主主義を、一日でも早く「取り戻す」ことを強く求めるものである。
以上

2015年7月28日
琉球大学教授職員会第55回定期総会


「琉球大学憲章を尊重し、軍学共同に反対する」

 本学は琉球大学憲章において、「『自由平等,寛容平和』に満ちた社会の形成者を育成」「学問の自由を尊重」「世界に向けて成果を発信」「健全な研究体制の維持・発展」「社会に『開かれた大学』」「持続可能な地域社会の発展に寄与する責任」などをうたっている。その上で、とくに「平和への貢献」の章を設けて、
沖縄は,アジア諸国間の平和と友好の架け橋として「万国津梁」を担った歴史と沖縄戦において「鉄の暴風」と呼ばれる激戦地とされた歴史を有する。また,戦後の長い米軍統治を経て日本に復帰した現在も,沖縄には広大な米軍基地が存在する。このような沖縄の歴史と現状を踏まえ,琉球大学は,国際平和の構築に貢献する。琉球大学は,倫理・人道を尊重し,この憲章に掲げる教育,研究,社会貢献,大学運営における目的,理念に基づき,平和に寄与する。と規定している。
 この背景には、米軍統治下で開学した本学が、原爆展を開催したり、灯火管制に従わなかったり、軍用地の取り上げに抗議したりした学生達を退学処分とした痛苦の歴史もある。
私たちは、こうした琉球大学憲章の規定と精神を尊重することの重要性を、改めて確認する。
 大学の本質と琉球大学憲章とに照らして、軍事研究・軍学共同が本学の理念に合致しないことは明らかである。Dualuse技術の開発・研究も含めた軍学共同を、いま政府は推進しているが、本学はこれに與するべきでない。
 特に、防衛省は「装備品への適用面から着目される大学、独立行政法人の研究機関や企業等における独創的な研究を発掘し、将来有望な研究を育成するため」として、本年度から競争的資金制度である「安全保障技術研究推進制度」の公募を開始した。琉球大学として本制度に参加協力すべきでない。
 また、西普天間の跡地利用(OHMIC事業)に関して、2014年6月12日付で、自由民主党政務調査会、沖縄振興調査会、西普天間基地跡地振興に関するWT名で提言が発表されている。
 この提言では、米国サンディエゴ海軍医学研究センターと琉球大学医学部・医学部附属病院との協力共同など、露骨な軍学共同が推進されており、看過できない。医学は人間の命と尊厳を守る最も平和的たるべき科学であり、琉球大学医学部・医学部附属病院の移転事業には軍との共同協力は一切持ち込まれるべきではない。
以上

2015年7月28日
琉球大学教授職員会第55回定期総会


「大学の式典での日の丸・『君が代』の使用要請に抗議する」

 下村文科大臣は、去る6月16日に本学を含む国立大学長に対し、大学の式典での日の丸・「君が代」の使用を要請した。
 そもそも、この要請は、各大学が自治的・自律的に行ってきた教育・運営活動に関する行
政の介入であり、容認できない。政府・文科省は上記要請を撤回すべきである。
 この要請に大学が対応するにあたり、大学自治の原則に照らし、また、日の丸・「君が代」の使われてきた歴史と憲法19条・23条をふまえ、学生教職員・大学関係者の思想信条を考慮し、さらに、法令において国旗国歌の使用を強制されていないことに鑑みるならば、日の丸の掲揚や「君が代」の演奏・斉唱を行うことは適切でない。これは、大学としての良識が問われる問題である。
 一方で、大学構内や大学行事の会場等において、大学が日の丸掲揚や「君が代」演奏・斉唱を行うことは、少なくとも一部の学生教職員や国民に強い苦痛をもたらすものである。思想信条の自由、学問の自由を享受して、教育研究診療の発展に尽力しようとする教職員にとって、これは、人権や労働環境に関わる重大問題でもある。
 このように、日の丸・「君が代」の使用問題は、大学の良識に関わる問題と、人権や労働条件に関わる問題という2つの性質を有する。この問題について、文科省の指示や、学長や役員会等のトップダウンにより、大学が一方的な決定を行うことは許されない。
 大学の教職員、留学生を含む学生、関係者はそれぞれ多様な思想信条をもち、多様な出身国・地域の歴史・政治状況におかれている。このことを考慮し、それら多様な人びとの人権を尊重しあい、誰もがのびのびと教育研究診療等の活動ができる大学をつくっていくことこそが必要である。本会は、琉球大学教員の労働組合として、それに貢献する決意である。
以上

2015年7月28日
琉球大学教授職員会第55回定期総会


「大学の基盤的予算を抜本増額し、総合的な教育研究を持続可能にせよ」

 人文・社会・自然科学、純粋科学・応用科学は、いずれも価値があり、相互に連関しており、それらの研究教育が総合的に推進されてこそ学問は継承発展できる。
 諸科学の継承発展と次世代の育成を担う大学の研究教育は、最低限の基盤的経費が確保され、学問の自由や教員学生の地位が保障されなくては、推進できない。
 また、文科大臣が6月8日「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」の通知で、国立大学に、特に教員養成系および人文社会科学系学部・大学院の廃止や転換を求めたことは全くの誤りである。自然科学の技術研究・人材育成に特化して産業移転による短期的な「儲け」を期待する姑息な政策では、科学・学問に未来はない。さらに、学問研究や大学運営に対し政府が不当な支配・財政誘導を行っていることは容認できない。
 各分野の卓越した研究教育機関が日本や世界のどこかにあればよいというものではなく、一個人の成長・一地域社会の発展にも総合的な学問が必須なのであって、国民の手の届くところに総合科学の教育研究の場があることが絶対に必要である。そこに、琉球列島唯一の総合大学たる琉球大学とその教員である私たちの存在意義がある。
 しかし、日本の高等教育問題は深刻化する一方であり、琉球大学は研究教育の存続の危機というべき事態に陥っている。
 2016年度には、国立大学法人は第三期中期計画期間に入る。政府は、国立大学法人の主要な資金源である運営費交付金の配分ルールを変更し、教育研究活動の基盤となる一般運営費交付金を大幅削減して、「改革」プロジェクトに経費を重点配分する方針である。しかし、一般運営費交付金の総額は、国立大学法人化した 2004年の 9,785億円から、2014年度には 9,130億円と、すでに大幅に減額されており、琉球大学を含めてほとんどの国立大学法人は、いまや「手足を食っている」状態にある。いま運営費交付金を削減したら、もはや国立大学は、高等教育研究機関の体をなさなくなる。
 GDP対比で日本の高等教育予算は、近年一貫して OECD諸国最下位レベルにある。私たちは、高等教育予算の大幅増額、とりわけ競争的資金でなく基盤的経費を大幅増額することを要求する。琉球大学の教育研究を担う教員集団として、特に予算の抜本増額により次のことを実現するよう政府に強く求める。

一、学生・院生が家計の状況に左右されずに、安心して入進学し、在学中学業に専念でき、卒業・修了後経済的に困窮する不安を持たずに学べるよう、相当額を支給する給付制奨学金制度を導入すること。
一、若手の研究者が、任期付きで不安定な雇用・研究教育条件の職を転々とするような現状を改め、諸分野の学問の継承発展を保障するために、地方大学が任期なしで相当数の若手研究者を教員に採用できるよう、必要十分な人件費・研究教育費を保障すること。
一、共通教育をはじめ大学教育の相当部分が、永年雇用でなく給与も低い、専用の研究室がないなど劣悪な雇用条件・研究教育条件に置かれている非常勤講師に依存している。
この現状を抜本的に改善するための、労働法・学教法上の規制や財源措置を行うこと。
一、教員養成系、人文・社会科学系の学部・大学院を切り捨てる上記文科大臣通知を撤回するとともに、政府が大学運営への不当な介入支配・財政誘導を行うことをやめること。
一、琉球大学では、大学図書館が教育研究用の書籍・雑誌の継続購入もできなくなり、月あたりの研究教育費の配分額が1万円を割る(理系のある分野の実例)ほど貧困化している。これは一法人では対処の余地がなく、もっぱら国の責任である。基本的な教育研究が成り立つよう大学への配分予算を底上げすること。
一、琉球大学では、労働法規に基づき締結された労使協定(36協定)で定めた休日・時間外労働の上限を超えて働いている職員が百人を超えるほどになった。労使協定が有名無実化し、横行する長時間残業を改善する有効策が打ち出されなかったため、昨年度から労使協定を締結できない異常事態に陥った。心身の健康を損ね、雇用環境をも悪化させる違法な長時間労働を解消できるだけの人員・予算を保障すること。
一、日本の高等教育・研究の「持続可能性」を確保するという視点に、政策の基本を転換すること。地方大学の切り捨てを止め、琉球大学をはじめ、各地の大学がその地域の科学・学問への要求に応えて地域の知的拠点としての役割を発揮し続けられるようにすること。
一、私立大学にたいする私学助成金(一般補助)も抜本増額するなど、設置形態を問わず困難に直面している日本の大学の底上げを図ること。
以上

2015年7月28日
琉球大学教授職員会第55回定期総会