インテリジェンスとは何か

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桐島 / 相良 @krsmnry

これから「インテリジェンス」という言葉の定義についてつぶやきます。

2011-01-24 22:03:40
桐島 / 相良 @krsmnry

ただし、今回はそれなりに長いので、何人かリムーブする人間が出るのも止むを得ない、という覚悟の元つぶやきます。 まぁ、テキトーに聞き流してください。

2011-01-24 22:05:52
桐島 / 相良 @krsmnry

軍事に関心があり勉強している人間(いわゆる軍事マニア)に対する世間の目は冷たいものです。 右翼からは左翼、左翼からは右翼呼ばわりされ、軍事に興味がある、などと言うだけで、軍国主義者だの平和の敵だのと中傷されることすらあります。

2011-01-24 22:09:15
桐島 / 相良 @krsmnry

インテリジェンス(学)に対しても、同種の偏見があります。 インテリジェンスに興味がある、などと言おうものなら「スパイになりたいのか」などと見当違いな反応を返されてしまいます。

2011-01-24 22:11:21
桐島 / 相良 @krsmnry

さて、ネット上の議論に於いて重要なことは、情報ソースの提示と言葉の定義です。 インテリジェンスに対する誤解は、この「インテリジェンス」という言葉の定義に対する誤解ではないかと思うのです。

2011-01-24 22:13:44
桐島 / 相良 @krsmnry

はじめに断わっておきますが、今の所、この「インテリジェンス(intelligence)」にあたる(少なくとも大部分の人間に支持される形での)日本語訳は存在しません。

2011-01-24 22:16:13
桐島 / 相良 @krsmnry

「諜報」という言葉を充てることもありますが、「諜報」という表現では、 インテリジェンス(intelligence)の全てを表すことはできません。 故に、一般的には「インテリジェンス」とカタカナで書かれています。

2011-01-24 22:20:50
桐島 / 相良 @krsmnry

intelligence を直訳した場合は、知性とか情報となりますが、インテリジェンス(学)的には不正確です。 そもそもそれ以前の問題として、日本語では、 information と intelligence の区分が曖昧なのです。

2011-01-24 22:23:50
桐島 / 相良 @krsmnry

information は「生の情報・データ」を指し、intelligence は「生の情報・データを自分の役に立つような形に加工(分析・評価・整理)した情報・データ」を指します。

2011-01-24 22:26:48
桐島 / 相良 @krsmnry

information と intelligence の違いはともかく、「インテリジェンス」とカタカナ書きした場合は「国家による情報活動」を意味していることが多いです(ビジネス・インテリジェンスなどもありますので、絶対的な定義ではありません)。

2011-01-24 22:30:48
桐島 / 相良 @krsmnry

とはいえ「国家による情報活動」では、あまりにも大雑把です。 そこで現代のインテリジェンス学でも通用する、元・CIA分析官の Sherman Kent による「インテリジェンス」という言葉の定義を紹介します。

2011-01-24 22:33:48
桐島 / 相良 @krsmnry

米・中央情報局(CIA)が形を整えたのは1947年ですが、Sherman Kent はそれ以前から米国の情報活動に携わっていました。

2011-01-24 22:37:33
桐島 / 相良 @krsmnry

Sherman Kent は、第二次世界大戦前後に設置された戦略事務局(OSS)にて、情報分析の責任者を務めていました。

2011-01-24 22:41:25
桐島 / 相良 @krsmnry

そんな中、米国の情報史に於いて大きな意味を持つ事件が発生します。 日本軍による真珠湾攻撃です。

2011-01-24 22:42:47
桐島 / 相良 @krsmnry

(当時)米国は情報後進国(語弊がありますが)でした。 現代の日本と同じく官僚組織間の縄張り争いが激しく、各組織間での情報共有がなされず、その結果、事前の断片情報があったにも関わらず、日本軍による奇襲を許してしまいます。

2011-01-24 22:46:28
桐島 / 相良 @krsmnry

Sherman Kent はこの東西冷戦時代にあって、2度と米国は真珠湾のような奇襲を受けてはならない、という強い危機感を持ちました。

2011-01-24 22:50:09
桐島 / 相良 @krsmnry

その危機感の元、『アメリカの世界政策のための戦略インテリジェンス(Strategic Intelligence for American World Policy )』という書物を上梓しました。

2011-01-24 22:53:24
桐島 / 相良 @krsmnry

こちらがその『アメリカの世界政策のための戦略インテリジェンス』(http://www.amazon.co.jp/Strategic-Intelligence-American-World-Policy/dp/0691021600

2011-01-24 22:54:48
桐島 / 相良 @krsmnry

『アメリカの世界政策のための戦略インテリジェンス』は、今ではインテリジェンス学の古典とされています。 Sherman Kent はこの書物の中で「インテリジェンス」という言葉を次の3つの意味に分類しています。

2011-01-24 22:57:28
桐島 / 相良 @krsmnry

①政治(政策決定)に利用する為に加工(分析・評価)された情報 ②情報の収集・分析・評価を行なう専門の組織 ③情報の収集・分析・活用等の一連のプロセス

2011-01-24 22:59:48
桐島 / 相良 @krsmnry

①は知識・情報としてのインテリジェンス、②は組織としてのインテリジェンス、③は情報活動としてのインテリジェンス、とも言い換えられますね。

2011-01-24 23:01:24
桐島 / 相良 @krsmnry

これだけでは分かりにくいと思いますので、補足説明をしますね。

2011-01-24 23:02:55
桐島 / 相良 @krsmnry

まず、②の「情報の収集・分析・評価を行なう専門の組織」は、普通にCIAなどの情報組織そのものを表しているだけですので、特に説明は不要かと思います。

2011-01-24 23:05:06
桐島 / 相良 @krsmnry

①の「政治(政策決定)に利用する為に加工(分析・評価)された情報」については、先ほどの intelligence の定義を思い出して頂ければ理解できると思います。

2011-01-24 23:08:22
桐島 / 相良 @krsmnry

生の情報・データ(information)を政治(政策決定)の役に立つような形に加工(分析・評価・整理)した情報・データ、という風になります。

2011-01-24 23:10:30