- tasobussharima1
- 791
- 2
- 0
- 0
「がんばるのよ……がんばるのよ、ガラシャ」 少女は、どこか壊れていたのだと思う。 「どうしてみんな、徳を積むのかしら」 この街ではごく当たり前だったそのことが、少女には理解出来なかったのだから。 少女は家を抜け出し、夜の野山を往く。月の光だけが、彼女を見下ろしていた。
2016-01-22 21:04:05徳エネルギーを利用してることを理解してないとは考えにくい。すると理解できないのは「どのみち解脱するのに何故生きる?」ということだろうか。 #徳パンク
2016-01-22 21:07:39「徳を積んで、終わりの日を待って……そんなの、『死んでいるのと同じじゃない』」 だから。彼女は、家を出た。街の『かみさま』が、解脱(しあわせ)を運んでくる前に。それを待ちわびる家族を置いて。 だからきっと、少女はどこか壊れていたのだろう。 月の光が、一瞬、陰る。
2016-01-22 21:08:06やや極論な気もするが、確かに解脱のために生きるというのは死ぬために生きてるようなもんで、生物として間違ってる感がある。でも生物的な欲求を捨てるのが徳という価値観だろうし、考えるとわかんなくなる #徳パンク
2016-01-22 21:11:03それは、雲ではなく。二人の不徳者の機械の眼(ドローン)だった。それを少女は知る由もない。 少女は徳の意味を理解できなかったが、不徳な人間ではなかった。両親の言いつけを守っていたし、困った人には手を差し伸べていた。だからこの時も、彼女は街を出ていこうとした訳ではなかった。
2016-01-22 21:12:06解脱を「しあわせ」と解釈しておきながら解脱に向けて待つ日々を「死んでいるのと同じ」と言うか。なるほどガンジー達とこの街、どちらから見ても歪だな #徳パンク
2016-01-22 21:12:06徳を持ちながらも、解脱を拒否し「生きる」事を選べるとしたら、それはどれほど凄い人間なんだ? #徳パンク
2016-01-22 21:13:49なるほど、宗教の意義が逆転しているのか。人は死んだらどうなるっていう疑問が解決された世界では、かえって人生の意義が分からなくなってしまうということもあるか #徳パンク
2016-01-22 21:14:19……ただ。自分が居なくなったら、家族が心配するだろうかという悪戯心。『かみさま』が動いている様子を、見てみようという好奇心。そして……皆が信じている物を疑う、思春期特有の反発心。それとほんの僅かの勇気。それらがないまぜになったものが、彼女の行動の理由の全てだった。
2016-01-22 21:16:04だから、彼女は気付けなかった。今日という日の夜が、特別な晩であることに。 少女は谷の底を歩き続ける。その先に、何が待っているのかを知らぬまま。 --------
2016-01-22 21:20:03ガンジー達の来訪と作戦のことを指しているのか、それともそれ以外に何かある特別な夜だったのか…… #徳パンク
2016-01-22 21:23:16巨大な地響きが、夜の静けさの中に木霊する。 「……かかった!かかりやがった!!」 ガンジーは思わずハンドルから手を離し、拳を握る。 「やったぞ!」 得度兵器の威容は、視界から消え失せた。少し遅れて、道の周辺の木々から、塒を荒らされた野鳥が飛び立つ。
2016-01-22 21:24:01