自衛隊と防衛省の「戦前回帰的傾向」について　《山崎雅弘》

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自衛隊トップ、天皇認証要求「国防軍」転換へ防衛省検討（赤旗）bit.ly/1Pcti50「防衛省が自衛隊の最高幹部である統合幕僚長や陸上幕僚長の地位向上策として、任免にあたって天皇による認証が必要とされる『認証官』への格上げを検討」言い逃れしようのない戦前回帰。

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（続き）「防衛省・自衛隊の人事施策のあり方を議論した同文書によると、認証官化は統合幕僚監部と陸上自衛隊が要求。『国家としてその職責に見合う名誉を付与することが必要』などとして、任務拡大に見合う待遇の向上を求めています」「現在、認証の対象となっているのは、国務大臣（首相は除く）や

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（続き）副大臣のほか、内閣官房副長官（政務・事務）、特命全権大使、宮内庁長官、最高裁判事など。統幕長や陸幕長がこれに加われば、閣僚や官僚トップの内閣官房副長官と形式上は同格になり、自衛隊の政府内での権威・発言力が大幅に強まることが予想されます」戦前戦中の反省が完全に消失している。

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昨日紹介した赤旗記事の中で、自衛隊トップ（統合幕僚長や陸上幕僚長）の天皇認証を統合幕僚監部と陸上自衛隊が要求する理由について「国家としてその職責に見合う名誉を付与することが必要」とあるのは、かなり重要な問題だと思う。「天皇認証の有無で『名誉』が増減する」との価値観が示されている。

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戦前戦中の大日本帝国時代の日本軍は「皇軍」つまり「天皇の軍隊」であり、国民は軍隊が守る対象には含まれていなかった。戦後の自衛隊は、憲法上の位置づけが曖昧にされたこともあり、究極的には何を守る組織なのかという定義がない。一般的には「国を守る組織」とされるが、国の定義は明確ではない。

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自衛隊と天皇の関係についても、明確な説明は国民になされていないが、天皇認証がなければ「名誉の点で劣る」という不満を、自衛隊の上層部が抱いているという事実に驚かされた。幹部の天皇認証があろうとなかろうと、自衛隊の名誉は変わらないと思っていたが、現在の幹部はそうは思っていないらしい。

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自衛隊法（bit.ly/22K25R8）第三条は「自衛隊の任務」として「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」とあるが、国民という言葉はない。

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スイスやフランス、イタリアの憲法や国防法では、軍の任務として「住民の保護」や「市民の権利の不可侵」が明記され、軍が守る対象が「主権者である国民」であると明記されている。自衛隊法の言う「国」が何なのかについては数通りの解釈がありうる。 pic.twitter.com/5awkHAPDGN

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第二次大戦時の日本とフランス（1940年）を比較すると、フランスは「国民の生命と生活環境」を究極的な「守る対象」と見なしたが、日本は「（天皇を頂点とする）国家体制」を究極的な「守る対象」と見なして、国民の生命と生活環境は切り捨てた。 pic.twitter.com/rdtmjXYgMU

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本紙「正論」欄執筆メンバーでジャーナリスト、井上和彦氏の講演会「日本が戦ってくれて感謝しています」が１０日、大阪市北区中之島の大阪市中央公会堂大ホールで開かれた（産経）bit.ly/1UNDuEW「東京・靖国神社で計９回開かれた『大東亜戦争を語り継ぐ会』の大阪初

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（続き）開催で、約１２００人で満席となった大聴衆が熱弁に聞き入った」「井上氏は（中略）『真実を伝え続けることで、終戦後の占領下で刷り込まれた『悪しき侵略戦争』というイメージを絶対に払拭しなければならない』と訴えた」井上和彦氏は、産経新聞出版から講演名と同タイトルの本を出している。

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「講演会では『陸自の歌姫』こと陸上自衛隊中部方面音楽隊の鶫（つぐみ）真衣陸士長のミニコンサートも行われ、歌声が会場を彩った」今の陸上自衛隊は「大東亜戦争は侵略ではなかった」という認識なのか。最近の役所は「平和」や「護憲」に拒絶反応を示すが、大東亜戦争を肯定的に語る催しは良いのか。

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2016年1月10日に大阪中之島の中央公会堂で開かれた井上和彦氏の講演会「日本が戦ってくれて感謝しています」で軍歌『海ゆかば』を熱唱する「自衛隊の歌姫」と参加者。塚本幼稚園の園児ではないので「屍」「死」の意味は理解しているはずだが。 pic.twitter.com/0gMPqr4B3s

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幹部候補生学校／知覧研修（防衛省公式）bit.ly/1NdbRj2「◎正しい歴史認識をもつこと　　現在の学校の歴史教育は、史実、特に大東亜戦争に至った経緯や戦後の占領政策等を故意に削除するか、正しく伝えていない面が多く、隣国に過度に配慮した自虐的史観に覆われてい

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（続き）るため、多くの若者達が日本民族の伝統や文化に誇りを持ち難い状況を呈している」これが『正論』や『WiLL』でなく「防衛省公式サイト」の自衛隊幹部候補生向けの説明だというのがすごい。「こうした境地（知覧特攻勇士の英霊が発するメッセージ）に候補生とともに純粋に共鳴し、武人として

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（続き）のあるべき姿を真摯に語り継ぐためには、教育者たるべき者は、常日頃から、武人の本質を見つめ、常在戦場たる緊張感を保持し、真摯に職務を遂行してしていなければならない」特攻で死んだ兵士の心情への感情移入は強いが、人間の命を粗末に扱った陸海軍指導部の非人道性には一切目を向けない。

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防衛省公式サイトの「現在の日本の平和と繁栄が、戦争で散華された方々の尊い犠牲の上に成り立っていることへの深い感謝の念を持たなければならない」という認識の誤謬については、『戦前回帰』でも書いた。特攻等の非人道的な行為の延長線上に「戦後の平和と繁栄がある」というのは全く事実とは違う。

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特攻（兵器も含む）や玉砕の非人道性、国家による自国民の命の切り捨てへの批判は「特攻隊員や戦没軍人の誹謗中傷」とは全く異質だが、両者を意図的に混同して、前者が後者であるように見せかける詭弁は、ネット上でも絶えない。しかし「防衛省公式サイト」が、堂々とそれをしている事実に驚かされる。

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知覧研修を受ける自衛隊員は、特攻開始直後の1944年12月の政府情報局『週報』で、大本営海軍報道部が特攻について書いた、醜悪な嘘と指導部の責任回避についても知っておくべきだろう。国がどんな物語を創って自国軍人の命を捨てるかを学べる。 pic.twitter.com/Ujr7NRo6B5

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布施祐仁『経済的徴兵制』によれば、自衛隊に「死生観教育」が導入されたのは国連PKOに陸上自衛隊が参加した1990年代半ばで、知覧の特攻基地での幹部研修は1996年に一度行った後、2002年から続いているという。特攻を是認する死生観。 pic.twitter.com/YGXaloYpq9

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非人道的な国家体制の国に生まれた若者が「国のため」に献身奉仕する行動は、非人道的な体制の延命に貢献することになる。北朝鮮の「愛国的な軍人」は、自国民でなく、いわゆる「金王朝の支配体制」を延命させる行動で「愛国的態度」と評価される。こういう錯覚は古今東西、あらゆる国で繰り返された。

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制度としての特攻や玉砕、それを命じた国家体制の非人道性を批判することは、非人道的な国家体制の国に生まれて「国のため」に献身奉仕した若者を批判することを全く意味しないが、この違いが理解できない、または理解させたくない人間は、前者が後者であるかのように論理をすり替えて激しく攻撃する。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

現在の自衛隊幹部が「旧日本軍と同質の死生観」を心に抱いているなら、必然的にフィリピン戦や沖縄戦のような事態が国内・海外で再発する可能性も否定できなくなる。ことさら強調したくはないが、市民の生死に関わる問題なので無視できない。可愛い女の子のイラストや「歌姫」の宣伝では誤魔化せない。

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「国のため」という、普遍的な正義に見える漠然とした言葉に、多くの人はなんとなく黙ってしまうが、「国」と「国家体制」の違いを理解しなければ、国家体制への献身奉仕を「国のため」とすり替える詭弁に騙され続ける。自衛隊員は特に、この違いを認識して、自分の行動を考える必要があるように思う。

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船員予備自衛官化「事実上の徴用」海員組合が反発（毎日）bit.ly/1nudzHO「防衛省は『強制はしない』としているが、現場の声を代弁する全日本海員組合が『見えない圧力がかかる』と批判の声を上げた」「同省は今年度中にも民間フェリー２隻を選定し、平時はフェリーだ