ジャイアンの行動パターンは科学的に正しかった？　暴力的なテレビ番組が子どもに与える影響って何？

イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

川合伸幸「ヒトの本性」（講談社現代新書）。著者の専門は、人間と動物の心理を比べる比較認知科学という分野。そこでの知見をベースに、人間の脳や心の仕組みを解説した本。参考文献には最近出たスティーブン・ピンカー「暴力の人類史」などがある。

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「あれは長いな・・・」と思っていた私に、読みやすくてよかった。子どもが罰として怒鳴られたり叩かれたりすると、罰を加える親の前では大人しくなるが、別のところで暴力的になるという。暴力的な罰は、子供をますます暴力的にする。

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ドラえもんでおなじみの、ジャイアンが悪さをしたら殴ってしかるジャイアンの母ちゃんと、ジャイアンの母ちゃんがいないところでは暴力的なままであり続けるジャイアンは、科学的にも正しい描写だったわけだ。

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川合伸幸「ヒトの本性」。暴力的なテレビ番組は、子どもにどのような影響を与えるのだろうか。このテーマは、表現規制問題と絡んで対立する主張の双方が敏感になっている。

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調査結果からいえば、暴力描写の内容次第。暴力に対する罰や被害を描いた番組は、暴力を増やすことはないが、そうでない番組は暴力的行動を増やす影響が認められた。

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規制反対派が、「暴力的な漫画やアニメ」を非難する言説を鼻で笑うのは、大抵まともに漫画やアニメを吟味していないと思えるからだ。

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子供向けヒーローは、だいたい悪人の暴力を非難し、善人を助けるために分別のある暴力を行使する。「だれでもよかった」という通り魔や、サイコパス的無差別殺人は、子供向けヒーローの暴力とかけ離れている。なのに頭の悪い識者は結びつけることが、笑われてきた。

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しかし暴力描写の質によっては悪影響を与える、というデータが出た以上、「悪質な暴力表現は規制する」という「レベルの高い規制論者」が現れたらどうだろう。

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ちなみに、男女の違いとして、「不公平なものへの罰」に男性は快感を覚えるが、女性は共感を示さないという実験結果があるらしい。これは単なる結果なので、男女の生物的違いなのか、文化的違いなのか分からない。

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少年向けで悪党を暴力でぶちのめすものが腐るほどあるのに対し、少女向けでは少ない。セーラームーンとかプリキュアシリーズくらいが思いつくが、それでも大人しめといえる。

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見出しには「しっぺ返しの連鎖を止めるのは女性？」とあるが、「女性、寛容、慈愛」みたいなイメージも、女性に対するステレオタイプの押し付けとして、フェミニズムに批判されたりしてるけどね。