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NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(これまでのあらすじ:俗にいうキョート・ネオサイタマ戦争は集結し、国交は回復、新幹線も再び開通するに至り、キョート人のクロマは友人のチカマツを訪ねてネオサイタマを訪れた。しかし二人は特別警察ハイデッカーによって逮捕され、強制収容所「アケガ・ターミナル」に送り込まれてしまった)
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(クロマはチカマツから引き離され、既に5日に渡って自我矯正プログラムの洗礼を受け続けていた。理不尽の中で己を守ろうと務める彼に声をかけた者がある。アイザワと名乗ったその男は、苦境下で心を守る「心の王国」について話し、翌日また声をかけるよう伝えるのだった)
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「オマエサン」「俺を止めないで。カラダニキヲツケテネ」……そして、この日四度目の「アナタ」!クロマは「哀」のボタンを押した。成功だ。「アイエエエエ!」誰かが悲鳴を上げた。見ずともわかる。今朝新しく入った「患者」がボタンをうまく押せず、失敗者の立て札が立ってしまったのだろう。 1
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失敗者が危害を加えられることはない。ただ、映画プログラムが終了したのち、四人のスタッフによる「受容面接」を受ける事になる(クロマは既に三度それを経験している)。当然ロクなものではない。「あと2回」クロマは呟いた。スシ室を使うのは夕食時だけだ。その時アイザワとコンタクトが取れる。2
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……「オマエサン」「俺を止めないで。カラダニキヲツケテネ」……そして「アナタ」!クロマは「哀」のボタンを押した。成功だ。彼のニューロンは市庁舎の灰燼と、対峙するニンジャを焼きつけている。彼らのカラテは、クロマに、まだ自分が生きている事を思い出させる。重い瓦礫の下から這い出す。3
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……「オマエサン」「俺を止めないで。カラダニキヲツケテネ」……そして「アナタ」!クロマは「哀」のボタンを押した。成功だ。赤黒のニンジャは信じがたい異形の巨腕をもったニンジャに向かっていく。映画プログラムが終了する。クロマは瞬きし、決然と席を立った。 4
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「まったく腹が減ってしょうがない」クロマは唸った。スシ室。流れてくる皿。タマゴだ。ショーユをかけ、咀嚼した。畜生め。畜生め。シュッ。高速で目の前を通り過ぎるトビッコを掴みとり、咀嚼した。シュッ。サバだ。サバの気分ではない。シュッ。アボカドだ。掴みとり、咀嚼した。「元気か」と声。5
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「元気ですよ」クロマは答え、アイザワを睨んだ。「最低に元気ですよ」「よォーし」アイザワは歯を見せて笑った。「唸りながらスシを食ってるお前に、俺は感じたんだぜ。直感は裏切らねえ」定期的にスシを食べねば退出を命じられてしまう。彼らはスシを食べながら会話を続けた。 6
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「お前の心の王国は何だ?」「秘密です」クロマは呟いた。明かす事でセイシンテキが薄れる事を恐れたのだ。「昨日、そんなに長く耐えなくてもいいって言いましたよね、あなた」クロマは囁いた。「あれどういう意味です。今日これからする話と、関係ありますか」「冴えてきたな」アイザワは頷いた。7
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「俺は耐えるコツを、このクソッタレ矯正施設で編み出したわけじゃねえ」アイザワは言い、鼻の傷を指でなぞった。「だから、入り込む時もそれなりに備えていた。アケガ・ターミナルは作られてから日が浅い。初期は逃げ出す奴もいた」「……」クロマは徐々に飲み込めてきた。 8
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「自分から入ったって言うんですか」「この施設は東棟と西棟に分かれている」アイザワは言った。「こっちは東棟。西なら話は早かった。タネコ=サンは……目当ての奴は西棟なんだ」「た……」思わず声が上ずった。ずっと小さな声で言い直した。「……助けに入ったんですか?」「そういう事さ」 9
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電撃的にイメージが閃いた。「そうか。チカマツ=サンも」クロマは言った。「俺の友人も西なんだ。だから見つからなかった……」アイザワは肩をすくめて見せた。「俺とタネコ=サンは昔コンビを組んでいた。理由はあまり言いたかねえが、久々に会う用が俺に出来た。で、訪ねてみたら、もぬけの殻」10
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「ああ……」クロマは察した。アイザワは続けた。「それが一ヶ月前だな。やがて俺はアケガの実態を掴んだ。色々あったが、脱走者とコンタクトを取り、必要な情報は調べあげた。わかるだろ」彼はタイピングのエア仕草をしてみせた。「カタギ仕事には戻ってたが、まだまだ冴えてるンだ、俺はよ」11
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「大体わかりました」クロマは言った。ヤングスターめいて、彼はクールに振る舞おうとした。「条件があります」「ホ!話が早え。俺が何を頼むかわかったのか?」「一人じゃ身動き取れないっていう事なんでしょう」「俺が見込んだだけの事はある。首に穴開けろよ」「チカマツ=サンも脱走させます」12
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「ああ。お前のダチか。そうだな」アイザワは頷いた。「いいぜ。いや、どのみち、このクソ施設はひっくり返してやるつもりでいたが……その時お互いにはぐれねえでいたほうが、そりゃいいだろうよ」アイザワは一度言葉を切り、「わかってるだろうが、ここを逃げりゃ、お尋ね者だぜ」13
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「そしたらクニに帰りますよ!知ったこっちゃない」クロマは冗談めかして言った。「そして二度と戻るもんか」「違いねえ」「……外に仲間が居るって事ですか?」「おカミがこんなふざけた真似を堂々やってりゃ、キツネサイン突きつける奴は生まれるさ」アイザワは言った。 14
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「タネコ=サンは俺より冴えてる。西棟へ渡り、奴とコンタクトを取り、両側で同時にシステムをいじる」アイザワは手振りをまじえた。「そうして、ターミナルを守ってるヤミヨ共を止める。ヤミヨ?ロボニンジャさ。ネオサイタマはそういう場所になっちまってるんだよ、キョートのお友達……」15
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「両側って言いました?同時に?」「わかってきたな」アイザワは指差した。「俺はニンポなんか使えねえ。ブンシン・ジツ?ハッ!つまり、俺が東のUNIXシステムをヤってる間に、西に行く奴が必要。そういう事。なのにここの連中と来たら……イキのいい奴見つけるまでに10日もかかったぞ」16
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「……」クロマは目を伏せた。そして目を上げ、頷いた。彼が想像する「戦士の目」でアイザワを睨んだ。「よし。飲め」アイザワはチャの湯呑みを差し出した。クロマは受け取り、飲んだ。「UNIXをカマした後は?」「外の奴らが仕掛ける」アイザワは握った手を開いて見せた。「フットルースだ!」17
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係官が近づいてきた。彼らはそそくさと退出した。「今日で11日。遅すぎるくらいだ」「外の奴らってのは?」「被害者の会」アイザワは呟いた。「……なんてェ名前じゃ、締まらねえだろ」「教えてください」「ローニン・リーグ」アイザワは言った。クロマも繰り返した。「……ローニン・リーグ」 18
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……「ローニン・リーグ?ヘッ」ヘヴィレインはせせら笑い、パンチシートをデスクに叩きつけた。「名前だけはいっちょまえッてわけですか……ナメやがって」「確かにな」ストーンコールドは腕を組んで壁にもたれ、彼を目で追った。「だが侮るな。何事も」 19
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「侮っちゃいない。ただムカつくんですよ」ヘヴィレインは低く言った。そして部屋の角で後手に椅子に拘束され、うなだれた若者にスリケンを投擲した。スリケンは若者の眉間に深々と突き刺さったが、悲鳴は上がらなかった。既に死んでいるからだ。「変わるだの……そういう絵空事が」「感傷的だな」20
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「でしょう。物事なんてのは過去の反復だ。変わりはしない」ヘヴィレインが肩をすくめてみせた。「感傷的だと言ったのはお前の事だ、ヘヴィレイン=サン」ストーンコールドが言った。「別に構わんがな……」「歯ごたえの無いガキでした」死体の髪を掴んで揺する。「いや、命がけで仲間を守ったか」21
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彼らはこの拷問でローニン・リーグの全てを掴む事はできなかった。しかしながら、アケガ・ターミナルのコトダマ認識者を解放する計画については把握した。だいそれた真似をする。だが連中にとってサイオー・ホースというべきか……アケガはアルゴス監視網のエアポケットでもある。22
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2016年2月7日
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