山本理顕著『権力の空間/空間の権力――個人と国家の<あいだ>を設計せよ』(読書メモ)

まとめました。
地域 山本理顕 都市 バウハウス 人間の条件 ハンナアレント 近代建築運動 集落 建築 地域社会圏
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青山ブックセンター本店 @Aoyama_book
山本理顕さんの新刊『力の空間/空間の権力 個人と国家の〈あいだ〉を設計せよ 』(講談社選書メチエ)が入荷しました。幾多の都市にまなざしを向けてきた建築家による必読の書。 #abcfairA pic.twitter.com/5G2Gg1AyCi
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【第1章】 「閾(しきい)」という空間概念
未発育都市 @mihatsuikutoshi
山本理顕著『権力の空間/空間の権力――個人と国家の<あいだ>を設計せよ』 amazon.co.jp/dp/4062586002 の第1章の前半を読んだ。ハンナ・アレントの本を読み解きながら、古代ギリシアの都市(ポリス)と19世紀後半以降の近代社会の機能的な都市との違いが論じられている。
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アレントによると、古代ギリシアの「都市国家(ポリス)は人々が平等であるように設計されていた」「都市国家(ポリス)の平等は、…ポリスの属性であって、人間の属性ではなかった。…人工的なものであり、人間の努力の産物であり、人工的世界の属性なのであった」とのことです。まぁ、要するに(続く
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続き)人間は「自由であるように設計されたポリスという空間のなかで自由」になった、「政治現象としての自由は、ギリシアの都市国家の出現と時を同じくして生まれた」ということ。そして、第1章の前半では、都市国家(ポリス)の都市や建築計画が具体的にどのようになっていたのかが検証されている。
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そして、筆者は「こうした具体的な建築計画が政治的自由と深く関係していることを古代ギリシアの人びとは良く理解していたのである。アレントが強調するのは、そうした感性が近代社会に住む私たちにいかに欠けているか、ということである」「近代建築運動は…失敗したのである」と結んでいる。終わり。
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山本理顕著『権力の空間/空間の権力――個人と国家の<あいだ>を設計せよ』 amazon.co.jp/dp/4062586002 の第1章の後半を読んだ。筆者も参加していた原広司研究室の「集落調査」について。世界中のどの集落もそれぞれが「強い形、美しい造形力」をもっている、とのことです。
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続き)それは日本の集落もアレントが論じたアテナイの都市国家(ポリス)も同じである。それは「それが一つの「世界」であることの“表現”だった」。だがそれは今日の都市では失われていて、建築の「“外面の現れ”については、私たち建築家は設計の理論を何ひとつ持ちあわせていない」とのことです。
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前ツイに関しては、このまとめも参照。→【再掲】『新建築』2014年12月号(読書メモ) - Togetterまとめ togetter.com/li/754411 山本理顕氏「私たち建築家にシンボルをつくるという発想がない」「近代建築の理論は建築がシンボルになることを禁じてきた」
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書評 集落の教え100 - 本が好き! honzuki.jp/smp/book/statu… 「建築家がライフワークとした集落調査は、空間デザインの教えだけでなく、消えゆく伝統社会と訪れる近代社会の本質的な違いも浮き彫りにする」
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というわけで、今日は終わり。次の第2章は「労働者住宅」です。19世紀後半以降の近代都市化について。1851年にロンドンで開催された第一回万国博覧会から始まる。この博覧会で「労働者住宅」のモデルハウスが初めて展示されて、それは「画期的な住宅だった」とのこと。ぼちぼち読む。(ぼちぼち
【第2章】 「労働者住宅」
未発育都市 @mihatsuikutoshi
山本理顕著『権力の空間/空間の権力――個人と国家の<あいだ>を設計せよ』 amazon.co.jp/dp/4062586002 の第2章「労働者住宅」を読んだ。19世紀後半に初めて登場した「労働者住宅」について。それ以前の建築家の役割は、建築の“外面の現われ”をいかに美しくするか(続く
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続き)ということだったが、「労働者住宅」の登場によって「平面計画・動線計画を中心に建築を考える」というふうに大きく変化した。筆者はフランスに建設されたミュルーズの労働者都市(1855年)やゴダンのファミリステール(1860年)等の実例を挙げて、各々の平面計画を詳細に検証している。
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それによると、ミュルーズの労働者都市では「1住宅=1家族」で共同性が排除された均質性の高い平面計画になっているのに対して、ゴダンのファミリステールでは共同居住施設が充実した中心性の高い平面計画になっている。興味深いのは、筆者が実際にその両方を訪れてみて(続く
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続き)前者では「家族とは何か」、後者では「共同体とは何か」といった思想を「リアルなものとして実感した」という話。そして、そうした建築空間のあり方を、“活動と言語と思考”の“物化(materialization)”であるとハンナ・アレントは論じた、とのことです。
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「この“物化”というのはアレントにおいて極めて重要な概念である。触知できないものを触知できる「物」に変換する、それが“物化”である」「建築空間を実際に体験することによって、建築空間と共にその思想をリアルなものとして私たちは感じることができるのである」、そして、(続く
未発育都市 @mihatsuikutoshi
続き)「私たち建築家の仕事は“物化”に関わっている。それも深く関わっている」と筆者は述べている。
未発育都市 @mihatsuikutoshi
この話は僕がかつて読んだハイデガーの本(というか、木田元の本です)を連想させる。ハイデガーはプラトンの「イデア」という中心的な概念が「物質」をその表現や実現のための単なる道具(手段)に変えてしまったことを激しく批判していたのですね。(一応、アレントはハイデガーの教え子です。)
未発育都市 @mihatsuikutoshi
よって、筆者はそのような「プラトン的分離」を批判して、「“物化”に先立って“活動と言論と思考”がある」というのは「近代に固有の理解の仕方である」と述べている。おそらくこの後の章では、20世紀の建築家たちの近代建築運動の批判へ話はつながっていくのだと思います。終わり。
【第3章】 「世界」という空間を餌食にする「社会」という空間
未発育都市 @mihatsuikutoshi
山本理顕著『権力の空間/空間の権力――個人と国家の<あいだ>を設計せよ』 amazon.co.jp/dp/4062586002 の第3章を読んだ。第2章「労働者住宅」の続き。19世紀後半以降の近代社会では労働と仕事の区別が失われ、「産業革命は、すべての仕事を労働に置き代えた」とのこと。
未発育都市 @mihatsuikutoshi
では、その労働とは区別される「仕事」とは何か。それは昨日ツイートしたような“物化”に関わる活動のこと。そして、そうした活動によって「世界」はつくられてて、その「世界とはポリスのことである。ポリスの城壁をつくり、神殿をつくり、アゴラをつくり、家と家の境界をつくり、家をつくる。(続く
未発育都市 @mihatsuikutoshi
続き)ポリスという都市のすべてがそうした触知できる「物」としての工作物によってできあがっている」。そして、アレントは「世界は、絶えざる運動の中にあるのではない。むしろ、それが耐久性をもち、相対的な永続性をもっているからこそ、人間はそこに現われ、そこから消えることができる(続く
未発育都市 @mihatsuikutoshi
続き)のである。いいかえれば、世界は、そこに個人が現われる以前に存在し、彼がそこを去ったのちにも生き残る。人間の生と死はこのような世界を前提としているのである。だから人間がその中に生まれ、死んでそこを去るような世界がないとすれば、そこには、変化なき永遠の循環以外になにもなく(続く
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コメント

芝尾幸一郎 @shibacow 2016年2月2日
面白かった。 建築家や設計者と権力っていう話を聞くとこれを思い出す。 【ニュース】若者を排除するはずだった”モスキート音”が若者の巧妙なツールに・・・ http://goo.gl/nZP7L2 面白いのはこのシステムの設計者は「深夜徘徊するな」という言葉ではなく「モスキート音」という環境によって不良の制御を行おうとした、しかし、その意図とは反対に不良がたむろする場所になってしまったという点だ。
芝尾幸一郎 @shibacow 2016年2月2日
設計の話って、うまく行った例しか載っていない。だからあたかも設計者(建築家)は全知全能の神のように市民をコントロールできると思い込む。 でも、現実には庶民は庶民でそれをはぐらかしたり、すかしたりしながら生活を編み出す。 近代建築家がある意図をもって都市を設計したのは事実だろう。 だからと言って庶民がその意図通りに動いたかどうかはこのまとめでは言及がない(実際に近代建築は意図したとおりにうまく機能したか?の言及ってあります?)。
芝尾幸一郎 @shibacow 2016年2月2日
同じ設計者でもオンラインゲームの設計とかwebサービスの設計で最初にユーザーから叩き込まれるのは、「開発者が設計したようにユーザーは行動しない」という思想だ。 言葉での禁止と違い、環境を使ってのユーザーのコントロールは、そんなに上手くいくもんではないなと感じている。
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