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nikko81 @nikko81_fsi
『甲陽軍鑑の史料論~武田信玄の国家思想』読了。(黒田日出男先生)これは甲陽軍鑑と武田信玄公に興味のある方にぜひ一読をお薦めしたい本。研究としてはとっかかりで議論の余地も多分に含むだろうが、論旨も明快で新たな視野が開ける一冊。一般人には高い本ではあるが、読んで魅力余りある。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 第一章『甲陽軍鑑』の研究史。予め平山先生の甲陽軍鑑の講演を聴いていたので、よい復習に。arcadia.cocolog-nifty.com/nikko81_fsi/20… 思えばこの本のタイトルを伺ったのもこちらの講演で名前が上がったからだった。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 研究者なら当たり前だろうが、なかなか素人に研究史を整理するのは難しい。非常にありがたい章。甲陽軍鑑なんて嘘だらけでしょとしか知らないなら、ここだけでも一読の価値がある。甲陽軍鑑の誤謬論がひとつの研究テーマになりうるくらい奥が深い。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 第二章は、桶狭間の戦いと『甲陽軍鑑』。信長公記だけではなく甲陽軍鑑から情報を補足することで、有益な議論ができる一例を示したもの。肝心の桶狭間をよく知らないので興味深く読むだけだが、ぜひ実際に地形を見てこられた方ならより良い批評ができるだろうな。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 第三章は少し趣向を変えた、戦国合戦を時間という視点から論じたもの。ここも研究史から始まる有り難さ。時間認識と合戦の常識が語られる。ただ、河越夜戦は夜じゃなかった?みたいな話を聴いたのがうる覚えのため関連付けできず。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 第四章は『甲陽軍鑑』の古文書学。引用されているなかで偽文書とされる定説への反論。明らかな誤りに対し甲陽軍鑑の文書引用原則を見いだすくだりが面白い。このあたりになると意見を言えるためのバックボーンがないと俄にyesもnoも言えないが…だからこその可能性。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 第五章、戦国の使者と外交。正直ここはツラかった。最初の甲陽軍鑑の口述的性格や外交の研究史は有り難い。がその後は外交を研究するに読むべき項が原文で羅列されてありツラい…が、註記で丸島先生の『戦国大名の「外交」』平山先生の『山本勘助』に推薦の言。読もう。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi そして、第六章…武田信玄の国家思想。今まで取り上げられなかったのは、見落とされていた末書にあった。甲陽軍鑑の研究が進んだが故に光があたった内容。軍学中心の末書の末尾近くで、従来の刊行されている甲陽軍鑑では省かれていた内容。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 軍学中心なこともあり、史料的にも参照されず、また小幡が軍学テキストとして用いるにも徳川幕府の御政道に意見する内容で避けられたのでは、との推察。しかし実に後の徳川幕府に近しい点も多々。テレビでやっていた六十六ヶ国の配分の話もある。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 飢饉対策としての米の備蓄や農民に対する認識(経済や秩序の根幹とする一方で不甲斐ない者達との格下感)という下りにも江戸時代的な感覚を感じる。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi そして全国統一後に東国を基盤にした国家構想を持っていたと説く。軍事行動には絵図から地形を読み説くことを肝心とし、実に四十ヶ国に迫る各地の絵図を収集。国家思想もこの中で育まれる。末書上巻には具体例で国持の居城に相応しい例とその条件が記される。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi そして甲相対立が実は必然であり、氏政が謙信に泣きを入れているように、信玄本人が健在なら北条を飲み込み西へは行かず東に大国を築くつもりだったと。しかし病の悪化で北条を潰す時間が自分にないことを悟り、氏康の死を契機に北条と和睦し織田徳川と対決する道へ…
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi あくまで甲陽軍鑑を読み繋いだ結果というだけでもちろん異論噴出だろうが、素人目には魅力的な仮説には思えた。そもそも末書の研究がそれほど進んでいないことを考えると、新しい何かが判るのではとの期待ももてる。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi このくだりになって、これが最初の甲陽軍鑑の史料的な価値を論じている点が活きてくる。年号の正しさにはそもそも眼中がなく、思想を伝えようとした語りだったなら、全く荒唐無稽でなくここで語られることが何かの真実を知る入り口かもしれないと信じさせる凄みが出てくる。
nikko81 @nikko81_fsi
@nikko81_fsi 単純に『ほしのや』を訪れただけだとその居城としての良さは全くわからなったが、このテキストと例示されている場所の地形図を読み説くと、信玄が何に価値を見いだして、『ほしのや』を最上としたか解るかもしれない…しっかり準備して星谷再訪せねば。
nikko81 @nikko81_fsi
てことで、一冊6000円もしますがめちゃおもろかった。研究が進みますように、甲陽軍鑑。

コメント

Hoehoe @baisetusai 2016年2月2日
軍鑑は「海津城」という視座から眺めた武田家なのではないかな、というのが感想
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