向井文雄氏のツイートまとめ(野口旭ケインズ主義2.0批判、松尾匡のBM有効論批判、機能的財政論擁護など

野口旭の「公共事業より減税政策の方が無駄がない」「財政拡張の効果は小さい」といった主張を批判。 松尾匡の量的緩和政策有効論を批判。 グレン・ハバードの財政破綻による大国衰退論を批判。 機能的財政論批判を逆批判。
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mukaifumio @KitaAlps

1 野口旭先生の『世界は危機を克服する ーケインズ主義2.0』の感想は、意外に強引な立論。例えば、減税政策と公共事業の比較(213〜218pあたり)では、減税政策の方がムダがないと結論されるけど、その前に出てくる議論を読むととてもそうは思えない。

2015-03-12 11:42:01
mukaifumio @KitaAlps

2 198〜200pに麻生政権時の定額給付金の効果を検証した内閣府の報告書があるが、この定額給付金を給付型の減税政策ととらえて、紹介しておられる。効果は、給付額の25%しか消費に使われずなかった。残りは貯蓄になった。好況なら企業がそれを借りて設備投資に使われるが、不況では無理。

2015-03-12 11:45:07
mukaifumio @KitaAlps

3 これに対して、公共事業では、政府が業者に発注すれば、業者は、ほぼ100%が労働者の賃金、原材料供給業者への支払、建設機械費用などとして別の企業に支払う。数%の利益も、全額ではないにしてもかなりが経営者に消費される。つまり、公共事業は景気への効果としては減税の4倍の効果がある。

2015-03-12 11:48:24
mukaifumio @KitaAlps

4 以上は、野口先生自身が説明しておられることだ。麻生政権の2兆円の定額給付金は、景気対策としては5千億円の公共事業で足りたのであり、1.5兆円は単に政府の負債を増やしただけだった・・これは、減税政策一般に当てはまる。もっとも国民は、1.5兆円の債権(国に対する)を得たわけだが。

2015-03-12 11:54:01
mukaifumio @KitaAlps

5 つまり、一律の減税は、所得税にしろ、法人税にしろ、少なくとも景気対策という観点では、極めて効率が悪い。それは単に、ムダに政府の負債を増やしてきたのだ。景気対策に減税を使う傾向は、橋本改革後の不況対策頃以後強まってきたが、いたずらに政府の累積債務を増やしてきたといえると思う。

2015-03-12 11:59:04
mukaifumio @KitaAlps

6 だが、なお、その報告では、全家計の平均は25%だが、2人以上の子を持つ世帯では70%が消費に使われたことがわかっている。だから、減税するとすれば、所得税にしろ、法人税にしろ減税は選択的に行われるべきだろう。

2015-03-12 12:00:40
mukaifumio @KitaAlps

7 しかし野口先生は、公共事業ではムダな施設が作られるから「公共事業は減税よりも確実に劣っている」という(217p)。だが、同額の減税の場合、75%分は景気に効果がないのだから、生産設備・人材の遊休化が増加し、失業者の増加で人材の能力の劣化が進む。これほど巨大なムダがあるだろうか

2015-03-12 12:13:32
mukaifumio @KitaAlps

8 もう一つは、「財政緊縮は影響が大きいが、財政拡張の効果は小さい」 から、積極的金融緩和政策と消極的財政政策(緊縮をしないと言う意味の政策)のミックスがよいとされる。これは、緊縮をしないと言う意味ではよい。だが「財政拡張の効果は小さい」の論拠はあやふやにみえる。

2015-03-12 12:30:34
mukaifumio @KitaAlps

9 そもそも十分なレベルの財政出動が行われたかどうかを検証せずに、そんな結論は出せないはずだ。オバマ政権の財政出動も、当初からクルーグマンらから「過少」だという批判があった(結果論ではなく)。過少なら効果がないのも当然だろう。また127pに主要国の財政出動規模を示した図がある。

2015-03-12 12:38:48
mukaifumio @KitaAlps

10 このうち、日米英ユーロ圏の財政出動規模のGDP比は、数%程度(1.4〜5.5%)である。これらの国は2009年の成長率はいずれもマイナスに転落した。これに対して、中国GDP比13.3%)、韓国(9.1%)、オーストラリア(17.4%)は、いずれもプラス成長を維持した。

2015-03-12 12:45:38
mukaifumio @KitaAlps

11 これだけを見れば、財政出動の「規模」が効果を決定していることが明確だ。もっとも、これ自体《通商白書からの引用》は、各国の発表、計画レベルのものであり、何年間の計画かもバラバラだ。だが、こうした図を出す以上は、これを考慮した説明が欲しかったところ。紙幅もあるだろうけど

2015-03-12 12:52:38
mukaifumio @KitaAlps

12 ちなみに、中国は、リーマンSで生じた余剰生産力を活かして、内需拡大のため、2008年に高速鉄道網の大規模な整備に乗り出し、2015年現在、すでに延長は1万5千キロに達した(日本は2千キロ)。もちろん、これだけではなかったから、中国のインフラは急速に日本に近づいている。

2015-03-12 13:04:40
mukaifumio @KitaAlps

13 中国は、それとともに生産拡大を続け、財政再建だ何だとしたり顔でいってる日本や他の先進諸国を尻目に成長を続けた。まあ、中国の場合、これだけの規模の財政出動があれば、ほどほどの金融緩和でよかったのに、金融緩和のやりすぎで、ムダな高層マンションなどを造りすぎてバブルになっている。

2015-03-12 13:10:26
mukaifumio @KitaAlps

14 なお、206pに経企庁の政府支出乗数の表を示しておられる。89年公表の1年目が低いのは土地への流出?、96年公表の1.3はバランスシート不況で波及が切断と思う。ちなみに拙著やbit.ly/1yBlUxkなどは1.0を前提とした議論。もちろん高ければなおよい

2015-03-12 13:58:39
mukaifumio @KitaAlps

松尾匡先生の『この経済政策が民主主義を救う』amzn.to/1WQCeTp 安倍さん批判者も安倍支持者も読んで欲しい本。冒頭、安倍さんへの危惧の思いが強い本だけど、リフレ派の松尾先生が提案するのが財政政策なので(財政出動だが、公共投資ではない)、お薦め。

2016-01-29 11:13:02
mukaifumio @KitaAlps

2 国民は、安倍さんに3分の2はやりたくはないけど野党に政権は渡したくない=コンセンサス。野党に政権を渡したくない理由は、経済政策の軽視+おかしいこと。これは同意。ホントにこりごりというのが実感。最近も民主・維新で大緊縮案を出してるし(多分、これで責任政党のつもりなんだろうけど)

2016-01-29 11:23:03
mukaifumio @KitaAlps

3 松尾先生の思いとは違って、まともな野党はない?ので先は長い。しかし、最近は、もっぱら金融依存・異次元緩和依存のアベノミクスも行き詰まりの感があるので、改めて財政政策を含めた議論が始まって欲しいと思う。その意味で、松尾先生の本はおすすめ。

2016-01-29 11:27:38
mukaifumio @KitaAlps

4 松尾先生の本は同意する点も多いが、ひっかかる主な点が2点。一つは、大恐慌時の量的緩和政策の効果について。グラフで日銀の量的緩和時のグラフとの比較してることからも、大恐慌からの回復が量的緩和によってなされたという印象づけになってる pic.twitter.com/N7LQ2OgWP1

2016-01-29 11:38:36
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mukaifumio @KitaAlps

5 だが、無理がある。当時のマネタリーベースは、米国の名目GDPの伸びと連動している。第2次大戦の軍需生産で、米国の名目GDPは、1932年に比較して1945年には3.8倍の規模に拡大している。MBの増加はそれに受動的に追随したもの pic.twitter.com/GNHr6nZ9ZP

2016-01-29 11:53:46
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mukaifumio @KitaAlps

6 ここで、当時の名目GDP成長率を見ると、1939年の7.1%、40年の10.0%に対して1941年25%、42年27.8%と、41年を境に、成長率が急上昇している。これに対して、松尾先生のグラフでマネタリーベースの伸びが加速したのは1943年であり、明らかにMBは遅行している

2016-01-29 12:03:43
mukaifumio @KitaAlps

7 では、この名目GDP成長率の急速な成長は何によって実現したのだろうか。それはこの連邦政府歳出のグラフで明らかだろう。連邦政府歳出は、1945会計年度には1932会計年度と比較して21倍に拡大した。内容はもちろん、軍需生産だった。 pic.twitter.com/oVvNxTo7X0

2016-01-29 12:15:48
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mukaifumio @KitaAlps

8 財政出動に対する批判の一つとして、効果は出動時だけで、打切ると効果が持続しないというのがある。これは一面では正しい。では、当時の米国のように軍需で急拡大した米国経済は、戦後、元の水準に戻ったのだろうか。そうではない。拡大した生産水準をベースに持続的に成長していったのだ。

2016-01-29 12:26:23
mukaifumio @KitaAlps

9 かくして軍需生産で失業率は急低下した。以上のグラフは、最初の松尾先生のグラフを除いて、いずれも拙著『日本国債のパラドックスと・・』で使ったもの。・・だから大恐慌からの脱出時の金融政策は、全体を通してみると概ね受動的だったと考える pic.twitter.com/s9KmI58e3i

2016-01-29 12:34:49
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mukaifumio @KitaAlps

10 もう一つひっかかる点は、現在の日本で、生産年齢人口の減少などを背景に長期の成長率0〜1%経済を想定する点(今の大不況からの回復期はもっと高いと考えておられるが)。第2次大戦時、米国は徴兵による労働力不足下で、名目GDPをあれだけ伸ばしている(実は、女性や高齢者が働いた)。

2016-01-29 13:02:05
mukaifumio @KitaAlps

11 こうした米国の例を見れば、(長期でも)低成長を想定する理由はないようにも思う。では、当時の米国のGDP拡大を可能にしたのは何かといえば、単純に政府による「需要」創出である(軍需)。それによって生産が拡大したことで供給力も増加した。需要が成長を規定している部分があると思う。

2016-01-29 13:11:18