不知火に落ち度はない 43(不知火)

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はじめに

※ この話は艦これ二次創作的な何かのネタ帳じみたものです。
独自設定がちらほら混じってるので、適当にご笑覧ください。

今回は不知火回。ヒロイン力を発揮して大活躍です。
ぬいは正ヒロイン。大事なことですね。

感想はハッシュタグ #落ちぬい か コメントまでいただけますと喜びます。

本編

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火。おまた」 「さほど待っては居ませんが」 そう言って軍用車の中、助手席に座る不知火。 服装はいつもの制服にコートが一枚。 久々に見る不知火のよそ行きの服装である。 いわゆるワーキングドーベルマンというやつだ。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 13:58:40
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「訓練の方はいいのか?」 「今日は元々非番の予定でしたので。それに司令の頼みですし」 「ありがと。あとでご飯おごっちゃる。リクエストは?」 ねえならラーメン屋ってところだけどさ。最近白味噌ラーメン食べたくなってんだよな。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:00:18
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「それではレストランに早速予約を」 「ちょいまち、それドレスコード付き?」 「ご褒美としては当然では?」 さすがプチドーベルマン。自分の得た権利は遠慮無く使う女である。 あれよあれよと言う間にスマホでさくさく予約完了しておられる。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:02:19
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「俺、このカッコでいい?」 「ええ。ネクタイを締めれば充分でしょう」 そうだね。俺今日アロハじゃないし。 「到着時にゃ、ネクタイ頼む」 「いい加減ご自分で結ばれてはどうでしょうか」 そう言うなって。 慣れてねえのバレバレで、ヨレヨレになんだからさ。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:03:51
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火のドレスコードどうなん?」 「帰りに買えば問題ありませんから」 すっと取り出すクレジットカードの色はゴールド。 ステイタスカードをこうもスマートに出すあたり実に不知火である。 俺が女子なら一発惚れみたいなそつのなさだよな、こいつ。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:08:14
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「んじゃ、適宜意見を頼むな不知火」 「不知火にお任せ下さい」 そうして車のエンジンをかけ出発進行。 向かう先は──大本営会議である。 流れるラジオのBGMはMISIAの『Everything』。 なんでこんな時にと思う、空気を読まない選曲だった。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:14:09

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

大本営会議はつつがなく進行した。 新種の深海棲艦のレポートとか。 海外における艦娘の運用状況とか。 中でもホットワードは島風型のロードテスト状況報告。 エンチャントフィールドの形状操作により、平均40ノット以上を維持してるとのこと。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:17:15
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火は島風型についてどう思った?」 「正直、かなりピーキーな設計の艤装です。オーバーロードで最大速度80ノットを出せるとのことですが──」 「やっぱ、お前もそう思ったか」 島風型の発想は、従来の艤装概念をひっくり返してたからな。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:20:50
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

エンチャントフィールドを、『防御』ではなく『速度』に回すというあの発想。 元来砲撃を防ぐのに使うフィールドを、空気抵抗の削減に使うとか。 「あれなら物理的に攻撃が当たる可能性は低いでしょうが」 「その分掠っただけで大穴が開く防御力だかんな」 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:24:51
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「それに80ノット出るのは数秒だけだしな」 「魚雷、砲撃の回避にはきわめて有効です」 ただ、不知火は同じ隊に所属したくはありません──と。 そう付け加えるプチドーベルマン。 「理由は?」 「速力も、戦術も従来駆逐艦と違いすぎます」 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:29:47
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「続けてくれ」 「島風の場合、単体速度で集団をかき回す運用方法が適しています」 正解。つまりあいつはトリックスターってわけだ。 「不知火のような統率が重視される駆逐隊においては、その速度も運用方法も邪魔になります」 よろしい。100点である。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:34:48
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「もし合同作戦の際はどう組む?」 「彼女一人に先陣を切って貰います。支援砲撃はしません」 彼女のフィールドはそれほど脆いものですから、と不知火は付け加えた。 そう、それも正解。 不知火の装甲も薄いわけじゃないが、それと比較してもガラス並に脆いのだ。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:40:02
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「突出した場合どうなると思う?」 「5分ぐらいは持つでしょう。ですが機銃でも簡単にフィールドに穴が開くので、包囲されればそれまでです」 「その後再形成できなきゃ、速度が発揮出ずに撃沈される可能性が高いと」 「はい。速度特化は完全状態でのみですから」 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:44:13
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「扱いが難しいよなー。やっぱ」 「特に司令の戦術とは噛み合いません。少数精鋭による『彼女をメインとした艦隊』を常に運用する必要があるかと」 「現実的じゃねえな」 「そうです。交代員が居ない状況は避けるべきかと」 概ねそういうわけである。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:46:28
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ただ、彼女の存在については、充分に意義があると考えます」 「おう。島風のエンジンパーツのことだろ」 「はい。そこから派生する技術の数々は、艦娘の能力底上げに充分貢献すると思われます」 ──ただ、一つ、不幸があるとしたら。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:49:03
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「彼女はロードテストだけでその艦命を終えることになりそうです」 「実験機だもんな。実戦にはとても出せねえよ」 ピーキーな設計。 特別なパーツ。 あらゆる負荷が、実戦に運用できないと証明されてる。 飛び抜けた性能と裏腹の、致命的な欠陥であった。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:52:20
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「さて。んじゃ会議に戻るか」 「ティータイムはお終いですね」 紅茶を傾けながら不知火が言う。 「最近コーヒーじゃねえんだな」 「知りませんでしたか?」 おう、何を? 「不知火は元々紅茶派ですが」 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 14:57:45
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「え。マジで?」 「司令が珈琲派なので、合わせていただけです」 マジか。 コーヒー入れるの上手いと思ってたけど、あれって俺の好みに合わせてたの? 「秘書艦の仕事上必要と感じましたし。実際眠気覚ましには珈琲が向いてます」 ですが、と不知火は続け。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 15:01:11
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「味わって飲むなら、紅茶の方が不知火は好きです。苦くないので」 「お子様め」 結局そこに起源があるのか。 まだまだお子様舌であると言わざるを得ない。 砂糖とミルクたっぷりだもんなその紅茶。 「大人の条件が苦みなら、胃薬をどうぞ」 かわいげもない。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 15:04:20
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「まあいいや。じゃ、とっとと会議済ませてメシ行こうぜ」 「了解です、司令」 領収書を持って席を立ち──。 そこで俺にかかる声。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 15:08:41
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あのぉ。兵頭大佐ですよね」 「あ、はい。そっすけど」 振り返ると、そこには俺の御同業──同じく海軍提督の格好をした中年が俺を見上げていた。 #不知火に落ち度はない

2016-02-04 15:13:26
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