『道頓堀よ、泣かせてくれ!』に、尾崎支配人は泣いたのか?
NMBとHKTのドキュメンタリー映画を観たが、予想通り実に対照的な作品だった。AKBグループについて何も知らないプロと内部の素人の鮮やかなコントラスト。これはセットで観てこそ価値がある。AKBファンの多くはHKT作品を面白がりそうだが、私はNMBのドキュメンタリーを高く評価する。
2016-02-01 22:42:29NMBのドキュメンタリー映画は、今迄のAKBグループのドキュメンタリーの中でも、最もオーソドックスで完成度が高いのではないだろうか?AKBのことを何も知らない人に、最初に観てもらうとしたら、この作品が良いのではないかと思う。その分、ファンにとっては物足りない作品でもあるのだろう。
2016-02-01 23:14:44NMBのドキュメンタリー映画は山本彩を縦軸、沖田彩華を横軸にした構成が明確でブレがない。俯瞰的な視点を貫き、贅肉を削ぎ落しているから「型にはまっている」と感じる人もいると思う。でもファンにとってはお馴染み過ぎる”overture”をあれほど新鮮に描けるのは知らないからこそだろう。
2016-02-01 23:32:03NMBのドキュメンタリーでは、須藤凜々花をナビゲーターにして監督が撮り下ろした難波の風景の質感が素晴らしく、意識的に押井守のイメージを引用しているらしいのも興味深い。常に「虚構と現実」「主観と客観」をテーマにして来た押井守を通じて、舩橋監督はアイドルに何を見出そうとしたのだろう?
2016-02-01 23:44:44NMBドキュメンタリー映画の感想としては「一般の観客にも判り易い」という感じのものが多い。確かにそうなのだけれど、単なる「類型的な判り易さ」を超えて「アイドルとは何か?」という本質に触れる、「普遍性」にまで到達している瞬間がある。 pic.twitter.com/i4zaZZQ6Lm
2016-02-04 20:45:51例えば、CD選抜や総選挙での躍進、本店との兼任などを単純に「芸能界的成功」と捉える直線的な解釈に、不満を覚えるファンも多いと思う。しかし、そうした身も蓋もない客観的視点による冷徹さと、舩橋監督が「初めてAKB文化に触れた興奮」が共存していることが、この作品の魅力を創り出している。
2016-02-04 20:58:15NMBドキュメンタリー映画の成功は、外部の観察者ならではの論理的な構成の徹底にある。私は渡辺美優紀さんが贔屓なので、彼女が殆ど描かれないと聞いて「そんなのアリか?」と思ったのだが、完成した作品を観ると正しい判断だと言わざるをえない。しかし、ファンとしては物足りないのも確かなのだ。
2016-02-04 21:13:18渡辺美優紀さんは、NMBのドキュメンタリー映画に、自分が殆ど取り上げられていないことについて「むしろ良かったと思う」とコメントしていましたね。当初は負け惜しみかと思っていましたが、この作品が彼女を描くとしたら間違いなく「古傷に触れる」形になった筈ですから、その気持ちも分かります。
2016-02-05 08:21:37一方、指原莉乃が監督して注目された、HKTのドキュメンタリー「尾崎支配人が泣いた夜」は…
HKTのドキュメンタリー映画は「マイケル・ムーアを手本に」という秋元康のサジェッション通り、指原莉乃によるインタビューや取材が豊富で、彼女でなければ引き出せなかったであろう場面や表情の数々が興味深い。ただ、対象を広げ過ぎたため構成はかなり散漫で、良く言えばそこがリアルで瑞々しい。
2016-02-01 23:54:44映画の中で、指原莉乃さんは何度か「一般の人向けか、コアなファン向けか」について言及しているのだけれど、個人的には、彼女の考える「一般の人向け」の意味が「何だかちょっと方向性が違うのでは?」という違和感を覚えた。(特に武井壮のくだりとか)
2016-02-02 00:16:40ドキュメンタリーやノンフィクションにおいて、内部事情に詳しいのは諸刃の剣になる。もちろん、ディテールが豊かになり鋭い斬り込みが出来るので武器なのだが、俯瞰的な視点を持ちにくい欠点もある。第三者的立場だと冷静で客観的な目で見ることが出来る一方で、浅く類型的になりがちなリスクもある。
2016-02-01 23:08:08ここで、HKTのドキュメンタリーが、まだ公開される前の呟きを振り返って見たいと思います。
HKTのドキュメンタリー映画の監督に指原莉乃さんが起用された時に、私は「映画監督をタレントの箔付けに使うな」と不快感を表明した(私は「映画監督」というモノに思い入れがあるのだ)けれど、指原さんは「皆さんが思うより頑張った」「編集にも関与した」と話しているので、心して観たいと思う。
2016-01-21 20:22:47@hirosi5_40 高橋栄樹監督は、指原莉乃さんについて「彼女とはクリエイティブの話ができる」と言っていましたね、撮影の時の微妙な照明の違いなんかを見抜く、と。
2016-01-21 20:52:15@sentaisaku そうですね。 私は、この問題については保守的な考えの持ち主なので、秋元康氏の考えた指原莉乃の「起用」そのものについては、今でも良く思っていないのです。AKBうんぬんではなく、日本映画全体に蔓延する風潮の一端として、好きではありません。
2016-01-21 21:06:26@sentaisaku 私は、指原莉乃さんが「映画監督になりたい」と全く思っていなかった人であることに、どうしても拘ったりしてしまうのですが、結果オーライで考えるなら、面白い作品になっている可能性はあると思います。特に、今回の場合はフィクションではなくドキュメンタリーなので。
2016-01-21 21:26:49@sentaisaku ドキュメンタリーは、現実をどう切り取るかの「視線」が勝負ですからね。その意味で、NMBのドキュメンタリーを、何も知らない「外部のプロ」が手掛けて、同時公開のHKTの方は「内部の素人」である指原さんが手掛けるというのは、興味深いプロデュース手法ではあります。
2016-01-21 21:47:41第31話「もう一人の面会人」 指原莉乃には役者の素質があると思うが未だ演技に目覚めてはいない。フィクションという枠組みを信じ切れない人なのだろう。だからドラマの人物になり切れず「お芝居」になってしまう。そういう所もたけしに似ている。 pic.twitter.com/QmeVR5fJtL
2016-01-28 22:30:10@uw_susu なぜ、たけしの名前を出したのかというと、指原莉乃を「AKBにおけるたけし」みたいな人だと思っているので。これは、必ずしも完全な褒め言葉じゃないのですが、長くなるのでいずれ書きます。 ところでアンタッチャブルになっているけれど、たけしって演技の出来ない人ですよね。
2016-01-28 22:35:14@uw_susu たけしが出演した映画は初期からずっと観ているけれど、結局「戦場のメリークリスマス」の演技がベストだと思う。それ以外は、自分の作品に出演している時も、映画の中に入り込めず、居心地悪そうにしている。しかし演技の不器用さは、彼の監督としての才能と表裏一体なのだと思う。
2016-01-28 22:45:37@uw_susu たけしの映画作家としての独自性は、暴力描写を始めとする「描写」や「語り口」からそれまでのワザトラシサを排除して、新たなリアリティを見せたことであり、「存在自体がポストモダン」みたいな人なので「役という虚構」に入りこめないのだ。指原莉乃という人にもそんな所がある。
2016-01-28 23:03:44そして、実際に観てみると...
HKTのドキュメンタリー映画で興味深かったのは、指原莉乃自身が編集で試行錯誤しているシーンを映すシネマヴェリテ的な構成があったこと。おそらく指原莉乃さんはシネマヴェリテなんて知らないで、無意識でやっているのだと思うけれど、これは、私の「指原莉乃=たけし」説を裏付けている気がする。
2016-02-02 00:24:16ファンは「今まで見たことのない光景や表情」を喜ぶので、HKTのドキュメンタリーの方に満足感を覚えるのではないかと思う。指原莉乃さんが言う通り基本的には「ファンしか観に来ない」のだから、「興行」を考えるなら、普遍性の高いNMB作品よりも、HKT作品の戦略の方が正しいのかもしれない。
2016-02-02 00:55:49