「フラジール・ライブズ、シャッタード・ドリームズ」

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ジュセー @shiroboshi2

「フラジール・ライブズ、シャッタード・ドリームズ」 #S57Ninja

2016-02-05 21:59:29
ジュセー @shiroboshi2

廃棄されたネオサイタマの地下鉄、そのホーム。薄暗い中に、微かな光が灯っている。その朧げな光に照らし出される衆人。「「「テッペン!テッペン!テッペン!テッペン!」」」彼らは酒をあおり、口々に叫ぶ。跳ねる。腕を高々と掲げる。1 #S57Ninja

2016-02-05 22:03:43
ジュセー @shiroboshi2

「「「テッペン!テッペン!テッペ、ウオオーッ!」」」沸き立つ群衆!彼らの目線の先には、ホームへ降り立つための廃エスカレーターがある。そこから靴音を高々と響かせ、一人の男が現れた。ボサボサの頭髪、ギラギラとした双眸。彼の鼻から下は襤褸布で覆われている。2 #S57Ninja

2016-02-05 22:08:46
ジュセー @shiroboshi2

男はホームに降り立つと、廃線路上で狂喜する群衆を見渡し、「……」右腕を静かに上にあげる。すると群衆は一斉に静まり返った。「「「……」」」静寂。男はもう一度彼らを見渡し、言った。「ドーモ、お前ら!俺は!ナックルヘッド!です!……テッペン!」3 #S57Ninja

2016-02-05 22:15:21
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ナックルヘッド……まるでニンジャネームみたいだなあ(棒読み) #S57Ninja

2016-02-05 22:16:13
ジュセー @shiroboshi2

ナックルヘッドが言い終えた直後、「「「ワオオーッ!テッペン!テッペン!テッペン!」」」群衆が再び沸き立った!彼らは片手に酒瓶を、もう片方の手にはボンボリを持ち、跳ね躍る。ナックルヘッドは満足そうに頷くと、靴音を響かせながら歩を進め、ベンチに腰掛けた。4 #S57Ninja

2016-02-05 22:21:16
ジュセー @shiroboshi2

彼らは、廃棄されたこの地下鉄のホームに夜な夜な集まっては叫び散らし、呑み明かす。音楽を持ち込みのデッキを用いて流す者もいる。テッペンの下に……ナックルヘッドの下に。「へへ……へっ、へ」ベンチに腰掛けながら、ナックルヘッドは天井を見上げた。5 #S57Ninja

2016-02-05 22:26:55
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

飲み場所提供……? 騒ぐためだけに? #S57Ninja

2016-02-05 22:27:43
ジュセー @shiroboshi2

天井を見上げたまま、彼は口を開いた。「お前らァ!俺のカラテはァ!」「「「実際ヤバイ!」」」「つまり、この俺、ナックルヘッドはァ!」「「「最強!テッペン!テッペン!テッペン!」」」「ウワハハハハ!!」ナックルヘッドは上機嫌そうに髪を撫でる。6 #S57Ninja

2016-02-05 22:30:53
ジュセー @shiroboshi2

「何がアマクダリだァ……へへ、へ……俺らのハコ潰しやがって……」ブツブツと宣いながら、ナックルヘッドは顔を下ろし、今度は深く俯いた。ギラギラとした双眸が、薄汚れた床のタイルを睨みつける。「ヨー、ナックルヘッド。どうだい調子は」「ああ。ああ、実際。アー、イイ」7 #S57Ninja

2016-02-05 22:35:38
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

アマクダリに居場所を追われたのか #S57Ninja

2016-02-05 22:36:05
ジュセー @shiroboshi2

彼に声をかけたのは、如何にも無軌道大学生といった風体の男だ。ナックルヘッドは俯いたまま彼と言葉を交わした。「ドーモ、シナジ=サン……なぁ、スゴイだよな、これ、こいつら……俺のカラテのおかげだぜ、実際」「ワカル、ワカル」シナジは軽く頷き、はにかんだ。8 #S57Ninja

2016-02-05 22:40:23
@hiiragi_r_t_d

ナックルヘッド=サン、彼とは普通に会話するのか……親密な仲なのだろうか #S57NINJA

2016-02-05 22:42:00
ジュセー @shiroboshi2

彼らは他愛の無い言葉を交わし続けた。群衆は叫び続け、歌い続け、踊り続けた。やがて夜が明けた。群衆の大半は廃線路の上で倒れるようにして眠りに落ち、それ以外の者たちはフラフラとした足取りで階段へと向かっていった。ナックルヘッドはボンヤリとその様を見ていた。9 #S57Ninja

2016-02-05 22:44:50
ジュセー @shiroboshi2

「……ア?」彼はふと何かに気づき、傍を見た。誰もいない。「なんだよシナジの奴……もう帰りやがったのかよ……へへ、へ……うッ!」ナックルヘッドは目を見開いた。髪を掻き毟る。彼の細い指先は、小刻みに痙攣していた。「ハァーッ!ハァーッ!ギ、ギヒッ、ギャヒッ」10 #S57Ninja

2016-02-05 22:50:25
ジュセー @shiroboshi2

頭を抱えながら、彼は廃エスカレーターへと向かう。電源の通っていないそれは、ただの階段と違いは無い。しかし、彼は階段ではなくこちらを使う。彼だけが、使う。テッペンは特別だ。そうでなければならない。『テッペンだけ』を、彼は求めて続けている。11 #S57Ninja

2016-02-05 22:55:06
@hiiragi_r_t_d

かなりキてるね……過去に何かあったのか、ソウルの悪影響か #S57NINJA

2016-02-05 22:56:48
ジュセー @shiroboshi2

駅長室前に辿り着くと 彼は震える手で扉を開き、フラフラと室内に入った。ソファーに向かい、倒れ込む。それから彼は何かを探しだし、ソファー周りを慌ただしく荒らした。「ない、ない、ない!……ウウウーッ!」この世の終わりが訪れたかのような顔をするナックルヘッド。12 #S57Ninja

2016-02-05 23:02:03
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