@Taxxakaが「appel vol.9」の編集後記を掲載した

2011年1月25日午後9時52分頃、美術家の高橋辰夫が過去に出版した冊子「appel」vol.9の編集後記をTwitter上に掲載した。
0
@Taxxaka

0/さきほど、以前書いたテキストについて、嬉しいリクエストがあったので、順次掲載してみます

2011-01-25 21:51:26
@Taxxaka

[appel vol.9 小田島等的]編集後記  1/本号は、小田島等さんとその作品を特集しているのだが、妙に編集に時間がかかったため、結局appelでの二つの展示「小田島等展」(個展)と「ひとしまおだじまほ展」(しまおまほさんとの二人展)に架かる形でビジュアルが掲載されている。

2011-01-25 21:52:54
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  2/でも、その時間を通してようやく見えてくる小田島等像というものは確実にあり、そういう意味では必要な紆余曲折だった気もするのだ。 さて、小田島等さんだが、一般に優しい人だと言われている(気がする)し、実際そうだ。

2011-01-25 21:53:44
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  3/でもよーく見ると目の奥で何を考えているのか読めないところもあり、ふとそこに気付くとある種の冷静さを瞳の奥に発見したりもする。なにもここで、「そんないい人じゃないですよ!」などと言いたいわけではない。

2011-01-25 21:54:11
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  4/表現者には必ずある種の怖さが備わっていて、実は人柄にも表現にも一見厳しさを欠いた柔和な相貌をもった小田島等さんにもそれがあると言うことだ。

2011-01-25 21:54:56
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  5/ところで現在、80年代的!という言葉がここまで似合う表現(イラストレーション?身ぶり?)をしている人もなかなか見当たらない。でも、ここで言う80年代ってなに?とふと思う。

2011-01-25 21:55:44
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  6/確かに、そのモチーフとしている事物というか、ベースとなっている音楽に80年代的なイメージはある気はする。でもはっぴいえんどのデビューは確か70年代のはずで、シュガー・ベイブを山下達郎が結成したのは73年である。

2011-01-25 21:56:23
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  7/サニーデイ・サービスに至っては95年の結成である。表現の引用元には或いは鈴木英人や、永井博がある気もするが、その源泉は遠くイギリスのPOPアートにもあるようだ。

2011-01-25 21:56:50
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  8/してみると、ここで言う80年代、或いは小田島等を通してみえる80年代的風景は、まったく無根拠な現在のわたしたちがイメージする80年代的な幻想、或いはそう遠くない過去の寂しいノスタルジックなイメージと読み替えた方が良さそうだ。

2011-01-25 21:57:27
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  9/最初に触れた小田島さんの瞳に潜むある冷静さは、そうした「80年代」を遠く幻視する眼差しのことなのか。/失われた80年代的狂騒は、寂しさとノスタルジーをもって蘇る。

2011-01-25 21:58:10
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  10/そう遠くない時代から日本人の心に今も響く残響を聴こうと努め、正視に耐え難いバブルの残滓を、優しさを伴って思い出すには、およそ反対の冷徹な視線が不可欠なのだろう。

2011-01-25 21:58:32
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  11/かつて「あらかじめ失われた世代」という言葉がある時代の文学の形容に使われたが、現在それに相当する言葉は「すべてが顕わになる時代」とでも言えばいいのだろうか(阿部和重?)。

2011-01-25 21:59:04
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記 12/隠蔽とエロスの80年代は、小田島さんの手によって、オープンなポルノグラフィとしてその残骸を開示する。/小田島さんの絵やデザイン、写真はとりもなおさず70年代以後の日本のPOPカルチャーの軌跡を定着したイメージであり、思い出のアーカイヴだ。

2011-01-25 21:59:54
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  13/そこに潜む優しさと冷徹さは、失いかけた記憶をひも解き、アルバムをつまびらかにするかのような繊細な仕草の集積である。それは歴史を欠いた現在の日本で、ある筈の歴史に思いを巡らしそれを刻むささやかな営為の成果である。

2011-01-25 22:00:29
@Taxxaka

[appel vol.9]編集後記  14/だからこそ、私たちはその単純さと感情のなさに心を打たれるのだ。(終わり/2005年2/10発行)

2011-01-25 22:01:20
@Taxxaka

昔書いた文章を読み直すのはとても恥ずかしい。

2011-01-25 22:03:25