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ひなた @hinatakobo
@kujira_binder わーい、見返しと遊び紙の関係というか、文庫とかって見た目には見返しってないぽいけど、実際の所製本的には、どんなんなってるのかなぁ? と。こういう風になってるから「見返し」なんだってのが知りたいんです、先生!
くじらのおっさん @kujira_binder
と、いうわけで、どこにでもいるおっさんによる知ったように適当に盛った「見返し」の話です。
くじらのおっさん @kujira_binder
見返しとは何かというところで説明すると、表紙のすぐ裏、表2-3部分に貼ってある紙と、それと対になる形でくっついてるペラの紙という、本の最初と最後にある2要素1パーツの部分が「見返し」です。パーツ名称は表紙に貼ってある部分が「力紙(チカラかみ)」でペラの紙を「遊び紙」と言います
くじらのおっさん @kujira_binder
見返しには2つの効果があって、1つは装飾であり、もう1つは補強であります。ですが実はそのどちらの意味もある本来の「見返し」というのは、製本においては「カガリ綴じ上製本」だけだったりします。特に並製本においては装飾用途のみで使われる部材です
くじらのおっさん @kujira_binder
解りやすい図説が、業界でも有名な木元省美堂さんのサイトにあるので、この図で見返しについて説明しましょう kimoto-sbd.co.jp/products/postp…
くじらのおっさん @kujira_binder
なぜ、上製本のしかもカガリ綴じで「見返し」が見返したり得るのか、というと見返しの構造と上製本のつくり方によります。表紙に貼られた紙と遊び紙はそれぞれがペラではなく、二つ折り……つまり見返しはチカラ紙と遊び紙は同じ1枚の紙で構成されています
くじらのおっさん @kujira_binder
上製本の「糸カガリ」はノドを糸で縫い、本文を一つにまとめてあるので、見返しと本文を一体化させるためには一緒に縫う必要があり、ノドは中綴じなどと同じような「袋」である必要があります。そのため二つ折りをするわけですが、これは見返しが装飾ではなく「補強」のためにあることに関係します
くじらのおっさん @kujira_binder
糸で縫い上げまとめた本文はニカワやエマルジョンで背固めをし1つの塊にして糸と糊で強度をつけ、さらに寒冷紗(ガーゼみたいなの)を背に巻き糊付けをして補強し、表紙は芯紙に紙を貼ったものを本文と貼って作るわけですが、この状態では表2-3には芯紙が見えていて、お世辞にも綺麗ではありません
くじらのおっさん @kujira_binder
その上、背固めをしてるとはいえエマルジョンを塗っただけの背は剥がせるメモ帳と同じ状態で弱く、糸だけで本文を固定しているのと同じ、寒冷紗もあるけども表紙とも背の部分だけで貼り合わせているだけなので、ハードカバーという名には不十分な状態です
くじらのおっさん @kujira_binder
そこで見返しが本文と表紙の橋渡しの役割をするわけです。表紙の表2-3に全面ベタ貼りした見返しは表紙と一つになり、糸とノリで本文とつながることで背だけにかかる力を表紙全体にもっていく、なので「力紙」であり、本を開けば見返しが本文を吊る形になる上製本の要ともいえる重要な部材となります
くじらのおっさん @kujira_binder
二つ折りの見返しの外側に寒冷紗を貼り、それをベタ貼りすることで芯紙も隠れ寒冷紗も見返しと共に強度をつけて本文を支える、これが「装飾」であり「補強」であるというどちらも欠けられない要素という部分になります
くじらのおっさん @kujira_binder
アジロ上製本の場合は寒冷紗を隠す役割が強くなります。これは糊が基本強度を持つので遊び紙部分が無くても本文第1折へ力紙貼り込みしても強度担保が同じになるためです
くじらのおっさん @kujira_binder
並製本の場合は、背だけで本文を支える構造のため、見返しで吊る必要もなく「小口糊」という方式で背と表紙の間に見返しを貼らないエリアもあることから単純装飾であるのも解るかと思います。ただし並製でも手帳などのカガリ並製になるような本ではベタ貼りにすることで強度に貢献します
くじらのおっさん @kujira_binder
以上の構造から、「見返し」は前後に必要であり、前後にあって初めて見返したり得るワケで、色紙などを使い装飾にすることでペラの紙も余計なパーツではなく、表紙から本の世界への遷移空間としての道となるわけです。表紙という景色を開くと本の世界への道があり「扉」がある、という装丁の流れですね
くじらのおっさん @kujira_binder
同人誌における「遊び紙」はこうした見返しの装飾効果部分を使ったパーツであり第一ページの「総扉」としての要素もあり、コストの面からも前のみに使われるようになった……のかどうかは知りませんが、そういう部分であるわけです
くじらのおっさん @kujira_binder
出版においては見返しは装飾として並製小口貼りであっても前後を1つとして扱うため「見返し」は「見返し」で「力紙と遊び紙」のようなパーツ単位で呼称しないため、並製本会社では「遊び紙」という用語そのものがありません
くじらのおっさん @kujira_binder
装飾として見返しに印刷をすることもあるので「前見返し」「後ろ見返し」とパーツ呼称をする場合もありますが、単独ペラの紙を入れようと「遊び紙」と言っても大体の営業は「????」という顔をするでしょう
くじらのおっさん @kujira_binder
文庫本になぜ見返しがないのか、という点については以上のように、並製本では強度担保にならないので、低コスト性を追求している文庫という形態に装飾コストを付加することは発想に逆行してしまうから、ということになります
くじらのおっさん @kujira_binder
歴史的経緯から見れば漫画同人誌は複数人で書く同人雑誌が元になるので、雑誌に見返しというパーツはないことや、「遊び紙印刷」というオプションから見ても、「見返し」という概念というよりは「総扉」としての意味合いの方が強いのではないかと思います
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