1)10年以上ぶりに図書館問題のことを思い出して今さらのこと(自分的には)をツイートしてしまったわけだが、改めて思ったことがある。――読書(注:文芸書を読むことを指していて実用書やお勉強の本は除く)って、なんかみんな「人としてするべきもの」って思ってない?
2011-01-28 00:15:462)ぼくは子供の頃から娯楽小説ばっかり読んでて、中学の時は「本ばっかり読んでないで勉強しろ!」と大事な本を親に捨てられそうになったことがある。
2011-01-28 00:16:433)もちろん自分が読んでいる本がただの娯楽に過ぎないことは分かっていて、それで賢くなるものだとか、成長する上で何か大切なものだと思っていたわけではない。読みたいから読んでた、ただそれだけだ。
2011-01-28 00:17:254)名作と言われるような「文学」はほとんど読まなかったので、おかげで今でも難しそうな本は敬遠するし、もちろん書けない。まだしも子供の頃って難しい本でも我慢して読んだものだが、今は余計無理。
2011-01-28 00:17:575)「読書」がその内容を問わず褒められるべき習慣みたいに言われるようになったのはマンガやテレビが「俗悪」なものとして悪役を担うようになってからの話だ。そしてテレビゲームが登場して以降、マンガ・アニメは今や日本文化の代表みたいに言われ(外貨獲得の手段として?)悪役度を下げている。
2011-01-28 00:20:296)「ゲーム」が脳に悪影響があるとかないとかいう議論の時にいつも思うのが、「ゲームって言っても色々あるじゃん。格闘?シューティング?落ちもの?RPG?どれの話をしてるの?」ということだ。それぞれのジャンル、演出によって受け手に与える影響は違うに決まっているのに。
2011-01-28 00:21:257)「ゲーム」と同様、「マンガ」も「本」もひとくくりにして語られすぎだ。それらは単なるメディアの名称に過ぎないし、たとえ同じ作品であってもすべての受け手に対し同じ影響を与えるわけではない。そんなのは当たり前のことのはずだ。
2011-01-28 00:22:058)「日本語を読めない」「文章読解力が低い」まま大人になるのはもちろん問題だ。最低限の国語教育はなされるべきだ。でも「本好き」になるかどうかは本人の勝手。サッカーが好きになったり絵が好きになったりするのと同じ。お上や親が押しつけるもんじゃないし、かえって嫌いになったりもしそう。
2011-01-28 00:22:559)中学時代、昼飯代を切り詰めてでも欲しい本は買った。好きな本はもちろん何度も読んだ。本屋で一冊長編を立ち読みすることもあった。ぼくの周りにいる小説家ってみんなそんな感じだし、マンガ家の場合はもちろんそれがマンガに置き換わるはずだ。
2011-01-28 00:23:2910)そのうち小説を書きたいと思うようになり、今はたまたまそれで食べているのだから無駄にはなっていないけれど、世間の人は子供を小説家にしようと思って本を読ませるわけじゃないよね?「感性」を養って欲しいから?「知識」や「多様な視点」をたくさん身につけて欲しいから?
2011-01-28 00:24:1611)そう思うんだったら、「これを読ませたい」という本を厳選して与えるべきだろうし、何も小説じゃなくてもマンガや絵や音楽やスポーツや時にはゲームでさえ、あらゆるメディア、体験を通じて伝えていくべきことのはず。「小説を読むこと」が他のどれかに比べて優れている保証なんてまったくない。
2011-01-28 00:25:5112)そしてまた、「若者の活字離れ」みたいなことも言われて久しいけれど、思うに今ほどタダで大量の文字を読むことができる時代はないだろう。もちろん、ネットのことだ。ニュース、掲示板、ブログ、そしてツイッター……。名作だって青空文庫で読めるし、外国語にだって大量にアクセスできる。
2011-01-28 00:26:2613)多分、読む人間は大量の文字を読んでいるはずだし、書くトレーニングも行なっているんじゃないだろうか。「活字離れ」「本離れ」なんて心配する必要はない。出版不況は当事者たちにとっては憂うべきことだが、それは「車離れ」だって「ゲーム離れ」だって同じ。各業界人が心配すればいいこと。
2011-01-28 00:26:5814)図書館にはもちろん意義がある。少部数の学術書、高価な画集、全集、その他本屋で手に入りにくい本を揃えて分類してくれていて、それを必要とする人が必要とするときに提供できることが最重要。たとえ利用者数、貸し出し数が多くなかろうと、有能な科学者や歴史家が少しでも出ればそれでいい。
2011-01-28 00:30:3715)大衆文学、娯楽小説も読書の習慣を身につけるためにある程度置いたっていい。――しかし「読書の習慣」って、せいぜい高校生までくらいの話じゃないの? なんで、家庭を持って子供までいるような立派な大人にまで税金で娯楽を提供しなきゃいけないの?
2011-01-28 00:32:1016)もちろん、収入格差、地域格差の是正という機能もある。なら、貧困家庭用のパスを発行して優遇してもいいし、書店のない地域(うちがそうだ)こそ内容を充実させる必要があるはず。大都市圏では書店と競合しないよう貸し出しは最小限でいい。
2011-01-28 00:32:5417)「図書館で借りても気に入った本は買います」「家が狭くて置き場所がない」という発言をよく見るが、だったらまず買って、気に入らなかったら捨てるか古本屋に売ればいい話。図書館に寄付したっていい。立ち読みだってできるわけだし、長年読んでりゃある程度眼力くらい養えるはず。
2011-01-28 00:35:0818)ぼくは子供の頃、面白そうだと思って読んだのにつまらなかった時、自分を慰める方法を編み出していた。「もし読まなかったら、この後一生『あの本面白いのかな』と思って生きることになる。つまらないことが分かったからもう気にしないですむ」と。金返せとか時間返せとはまず思わなくなった。
2011-01-28 00:36:1019)それに、面白い面白くないとは別に、どんな本だって(ゲームだって映画だって……)読み方を変えれば色んなことが読み取れるものだ。将来物語を作ろうとか文章を書こうとか思う人なら、なぜ自分はこれをつまらないと思うのかと分析すれば色んなことが分かるはず。
2011-01-28 00:36:5420)連投失礼しました。まとめて書いてからアップしようと思ったらこんなに長くなってしまった。とにかく結局言いたいのは、「今までそうだったからって本だけはタダで借りられて当たり前」とか思うのは大間違いだってこと。そういうのを「既得権益」というんだよ。(終わり)
2011-01-28 00:37:20