「シリア内戦は、もはやアサド大統領の勝利に終わりつつある」…Conflictwatcherさんがフォーリン・アフェアーズの記事を紹介

内容はほぼタイトルで言い尽くしてます。 何度も「もはや命脈は尽きた」といわれていたはずのアサド王朝ですが、ロシアの介入によって劇的に復活した?@Conflictwatcherさんが外交専門誌の見方を紹介します
52
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

昨日はベッドから動けなかったので1/25のForeign affairs記事「シリアで勝利しつつあるアサド大統領」を訳してみた。 体調不良時の訳なのでいつもよりさらにQuality低いが、何かに役立つかもしれんからメモとして残しておく。では連レスいってみよう。

2016-02-19 09:00:27
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

シリア内戦ではアサドの勝利が近づきつつある。ロシア介入が、戦況を劇的に変えたのだ。米国務長官ケリーや国連はアサドが反政府軍と和平交渉を行い、将来的には彼らにも権力を与えるよう求めるかもしれない。だがアサドはもう、そのような要求は受け入れないだろう。アサドの代理人は「アサドは続

2016-02-19 09:07:55
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

ジュネーブの和平交渉で、反政府軍の話を聞いてやる意思はあるが、交渉する気はない」と述べている。言い換えれば、彼は武力で反政府軍を駆逐する意思を持っているということだ。米がジュネーブの和平会談に参加するのであれば、内戦の戦況を踏まえて、柔軟に対応する必要がある。 戦況は明らかに続

2016-02-19 09:08:39
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

逆転しており、それによってアサドの自信が回復している。3ヶ月前、彼の軍隊は危機に瀕していた。反政府軍はVictory Armyと銘した連合を形成し、団結していた。シリア反政府軍のツートップ、アルカイダ系のヌスラ戦線とサラフィー主義のAhrar al-Shamがその中心にあった。続

2016-02-19 09:09:07
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

2015年の春、彼らはシリア北部の戦略的要衝であるイドリブ、Jisr al-Shughourを相次いで制圧した。この勝利により、多くの民兵がVictory Armyに参加してきた。Jisr al-Shughourから政府軍が駆逐された結果は甚大であった。これによりイドリブは続

2016-02-19 09:09:39
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

反政府軍にとっての安全地帯となり、政府軍の本拠地であるラタキアにも脅威が及ぶこととなった。寄り合い所帯で構成される反政府軍の間で問題となっていたグループ間の不和も、解消されたかに見えた。また、彼らは中東スンニ派からの支援により、優れた装備も保有していた。続

2016-02-19 09:10:33
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

だがアサドにとっての大きなアドバンテージであった、反政府軍を構成する小グループ間の軋轢は、いま再び顕在化している。最近、Victory Army連合から離脱したグループによって20人以上のVictory Army所属のリーダーたちが暗殺された。米が巨額の投資によって作り上げた続

2016-02-19 09:15:01
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

民兵集団は、アサドの手によってではなく、他の反政府軍との仲間割れによって崩壊しつつある。一方、ロシアの優れた戦闘機や攻撃ヘリ、戦車がVictory Armyを潰している。ロシア空軍は1日200ソーティ近くの作戦を行い、その結果アサドと彼の友軍は南北での同時攻勢が可能になった。続

2016-02-19 09:16:24
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

Ahrar al-Shamは1ヶ月前、国連公使Misturaを「アサドの僕」と非難し、彼による和平交渉への誘いも無視していた。だがいまや彼らもジュネーブ和平交渉への参加を表明した。一方ヌスラ戦線側は、和平交渉に参加する勢力を反逆者として非難。この非難は、殺害をほのめかす脅迫を続

2016-02-19 09:17:41
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

伴ったものであり、ヌスラが和平交渉を不安視していることの現れと言える。VictoryArmyは外国人ジハーディストに参加を呼びかけているが、これも彼らの苦境を物語っている。シリア国外から流入するジハーディストの参加を募ることで、(同じく国外ジハーディストによって運営されている)続

2016-02-19 09:18:44
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

ISとの繋がりができてしまうことは明らかであり、これを支持できないVictory Armyのメンバーたちは不満を募らせ、連合から脱退した。 簡潔に言えば、アサドは敵の分断と各個撃破を図っているのだ。 政府軍は苦戦しつつ進撃しており、そのペースも遅い。シリア軍は長きにわたる内戦、続

2016-02-19 09:19:51
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

財政難、汚職で疲弊しているのだ。だが、アサドが負けたり、アラウィー派地域の長に格下げされる事態も、起こりそうもない。 いま大事なのは、アサドがどれだけシリア国内の領土を奪回できるかだ。シリア政府軍はすでに、シリアにいるアラブ人の75%を支配下に置いている。アサドは、残り25%も続

2016-02-19 09:20:29
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

いずれは降伏に追い込めると考えているようだ。だが、それには何年もかかるだろうし、反政府軍のスポンサーであるトルコや湾岸諸国の動向に左右される要素が大きい。シリアにいるクルド人勢力も、アサドに協力するかもしれない。彼らはシリアの人口のうち10%を占め、シリアトルコ国境付近に多い。続

2016-02-19 09:20:50
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

彼らはアサド政権とも他の反政府軍とも小競り合いを起こしているが、トルコから自らを守るための選択肢として、シリアから独立するのではなく、自治区を建設してシリアに留まる路を選ぶかもしれない。アサドの側から見ても、北部国境のクルド人はトルコに対する防壁としての価値があるのだ。続

2016-02-19 09:21:45
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

アサドにとって最も重要な課題は、米への対応であった。ロシアの参戦時、オバマは「シリアを代理戦争の舞台にはしない」と明言した。そして米は実際に、シリア反政府軍への大規模な援助は控えている。 ロシアは米よりも長くシリアと付き合ってきた経験があり、その関係もより深い。続

2016-02-19 09:22:14
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

だが米は完全にシリアをロシアに委ねたわけではなく、ロシアと業務分担してシリア内戦に対応している。米は東部でISを叩き、ロシアは西で他の反政府軍を潰すという形だ。さらに、オバマはシリア情勢がアフガンのように泥沼化して、アサド政権の全土回復は失敗すると考えている。続

2016-02-19 09:23:02
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

失敗が明らかになれば、ロシアは米との交渉に臨まざるを得ないだろう…というのが、彼の考えだ。この考えは正しいのかもしれない。 ロシア側はシリア情勢を交渉によって解決し、アサド政権を維持した形で内戦を治めたいと考えているのは明らかだ。だが、ロシア高官たちは、続

2016-02-19 09:24:11
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

アフガンやイラクとシリアを同一視する意見を否定し、チェチェンとの類似性を強調している。チェチェンでは、ロシアは航空戦力の優位を活かしてグロズヌイの反政府軍を葬った実績がある。かつてレーガンはアフガンやアラブのイスラムゲリラに対空兵器をばら撒いたが、ロシアはシリアの反政府勢力に続

2016-02-19 09:24:34
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

対空兵器を供与しないよう、各国に要求している。米の国内でも、シリアへのオバマ政権のスタンスを巡って論争が起きている。現在の大統領はシリア内戦への積極介入を避けているが、このスタンスを非難する者もいる。シリアに介入しないことでロシアの影響力拡大、ISの台頭、アサド政権の存続、続

2016-02-19 09:25:01
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

同盟国の米国からの離反など、米の国益が損なわれる自体が生じているというのが、彼らの主張だ。だが、これらの主張には説得力がない。米がシリア内戦に消極姿勢を貫いたとしても、イスラエルや湾岸諸国が米から離反する懸念はなさそうだ。ロシアがヒズボラに武器やノウハウを与えていることに続

2016-02-19 09:25:26
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

イスラエルは憤慨しているし、湾岸諸国にしても、プーチンは彼らの敵であるアサドの後援者だ。シリアにおけるロシアの軍事力は東地中海における米の国益を脅かすレベルではないし、シリアの政府にしても、イスラエルやヨルダン、トルコを脅かす力は持っていないのだから、シリア内戦に積極介入する続

2016-02-19 09:25:59
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

必要はないだろう。シリア内戦への米の対応を考える上で、良い比較対象となるのはイラクであろう。バルカンとは状況が違いすぎる。あのときロシアはもっと力がなく、バルカンに積極介入する余裕を持っておらず、西側の援助に依存した状態だった。政権崩壊時のリビアとシリアの現状を比較するのは続

2016-02-19 09:26:25
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

楽観的すぎるし、サウジのイエメン介入はイエメンを崩壊させつつあるので、これも比較対象として不適切だ。シリアに積極介入せず、シリアに 親西側政権を樹立することに失敗し、穏健派の反政府軍が破れた場合に米が被る損失は、推定が困難だ。シリアへの消極姿勢のせいで米の国益が損なわれていると続

2016-02-19 09:27:51
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

する論者は、もし米がもっと介入に積極的であったならば、ロシアは介入のチャンスを失い、穏健派イスラム教徒によって構成されるシリア反政府軍は団結を保ち、ジハーディストたちはシリアから駆逐され、アサド政権は追い詰められていただろう、と主張する。 だがシリアで米が支援していた続

2016-02-19 09:28:16
Conflictwatcher@日米往復生活 @Conflictwatcher

穏健派イスラム勢力は、米の思惑とは裏腹に、ヌスラ戦線のような過激派のジハーディストたちに取り込まれてしまった。だがこれは米の無策のせいではない。現地のイスラム勢力には氏族や村社会の繋がりがあり、その繋がりを断ち切って一つの反政府軍に統合するのは土台無理な話であったし、彼らが続

2016-02-19 09:28:44