10周年のSPコンテンツ!
11

①『撰集抄』巻五第十五「西行於高野奥造人事」
西行による反魂の呪法

わたり @wimwim8282
西行(1118~1190)が高野山の山奥で修行中に「反魂の術」を使って人間を造ろうと試みている。(『撰集抄』巻五第十五「西行於高野奥造人事」)
わたり @wimwim8282
友人の西住上人が京へ行ったことで寂しさを覚えた西行は「同じく浮世をいとふ花月の情をわきまへむ友恋しく覚えしかば」ということで、鬼が行うという秘術・人の骨を集め人を造る「反魂の術」をおこなう。
わたり @wimwim8282
完成した人造人間は顔色は良くなく発声はかろうじてできるものの、肝心な心が備わらなかった。処分に困った西行は最終的にその人造人間を山奥に捨てた。(心がないから草木と同じとも思えるが、姿は人間であるから殺人の業を背負うことになるだろうか。と悩んだ末山奥に捨てることにしている)
わたり @wimwim8282
西行はその後に京にのぼり、伏見前中納言師仲(四条大納言公任流の秘術を学んだとされている)のもとを訪ねてこのときの経緯を話している。その際に彼が行った手順の不備を指摘されている。
わたり @wimwim8282
そして、かつて中納言が造った人間のなかには大臣にまで出世した者もいると語っている。しかし、それが誰であるかを明かすと作った者も作られたれた者も消滅してしまうとのこと。
わたり @wimwim8282
中納言によると、西行は反魂の秘術を行うにはまだ日が浅く、また手順においていくつかの間違いがある。しかし、修行によって秘術の奥義を極めれば本物そっくりの人造人間が確実に造れるようになると話した
わたり @wimwim8282
やり方聞いたのに「なんかつまらないような気がしてきちゃった(よしなしと思ひかえして)」って結局作らなかった西行。
わたり @wimwim8282
西行は大徳寺殿から、伏見中納言師仲は四条大納言公任流の秘術を学んだとされている。また、土御門右大臣もこの反魂の秘術を行ったと述べる。こういった鬼の秘術が貴族の間で伝承されていたと設定するところが面白いよね。
わたり @wimwim8282
土御門右大臣の場合は夢の中に翁が現れ「私は死人の一切を管理するものである。お前はなぜ勝手に死人の骨を持っていくのか」と述べた。土御門右大臣はこの秘術を伝え残せば子孫に害が及ぶかもしれないと考え、術を書き記した関係書物をすべて焼き捨てた。

西行のやり方と伏見前中納言師仲の指摘

わたり @wimwim8282
西行のやった方法 広野に出て、人も見ぬ所にて、死人の骨をとり集めて、頭より手足の骨をたがへでつづけ置きて、砒霜(ひさう)と云ふ薬を骨に塗り、いちごとはこべとの葉を揉みあわせて後、藤もしは絲なんどにて骨をかかげて、水にてたびたび洗ひ侍りて、頭とて髪の生ゆべき所にはさいかいの葉→
わたり @wimwim8282
→とむくげの葉とを灰に焼きてつけ侍り。土の上に、畳をしきて、かの骨を伏せて、おもく風もすかぬようにしたためて、二七日置いて後、その所に行きて、沈と香とを焚きて、反魂(はんごん)の秘術を行ひ侍りき
わたり @wimwim8282
伏見前中納言師仲の指摘 香をばたかぬなり。その故は、香は魔縁をさけて聖衆をあつむる徳侍り。しかるに、聖衆生死を深くいみ給ふほどに、心の出くる事難き也。沈と乳とを焚くべきにや侍らん。又、反魂の秘術をおこなふ人も、七日物をば食ふまじき也

手順が細かく決まっていたり、魔縁が嫌う香を焚いてはいけない・術について詳細を他人に明かすと術者も作られた人間も消える、など呪術的要素が強い。

②長谷雄草紙
鬼が作った女。

わたり @wimwim8282
長谷雄草紙(14世紀前半制作とされる)では鬼が作った女が出てくる。これは死人のいい部分を(美人の骨か)集めて作ったもので、決まりをまもって一定期間置いておけば魂が定着する仕組みとなっていた。
わたり @wimwim8282
平安時代の学者・紀長谷雄が朱雀門に棲む鬼と賭け双六をする。負けた鬼は長谷雄のもとに美女を連れてくると、100日間は触れてはならないと言い残し去って行った。しかし、長谷雄は鬼との約束を破り百日待たずに美女と契ってしまった。するとたちまち女の体は水と化して流れ去ってしまった。

異種婚譚でよくある人間側が約束を破ってしまうパターンです。

わたり @wimwim8282
その後、長谷雄の前に件の鬼が現れ、長谷雄の不信を責めて襲い掛かった。長谷雄が北野天神を一心に念じると、天から「哀れな者よ、そこを去れ」との声があり、鬼は消えるように去って行ったという。

北野天満宮は怪異を退散させる力を持っていると信じられていたようです。
渡辺綱の一条戻橋の鬼の逸話では、鬼に掴まれ空中へ飛び上がられたところ、北野天満宮の上で腕を斬ることができたとして灯篭を寄進しています。

わたり @wimwim8282
絵巻では、女をあえて後姿しか描かず、流れるような黒髪でさぞ美しいだろうと思わせるが、その女は急に水になって溶けていく。女は死人のいい部分を集めて作ったもので、それに魂をこめて生身の人間にしようとしていたとされる。100日経てば本当の人間になれるはずであった。

③『列子』
名工・偃師が作った人間のように動く精巧な人形

わたり @wimwim8282
中国の『列子』湯問篇に偃師という名工が周の穆王に自作の素晴らしい出来の人形を見せた。その人形の舞ったり歌ったりする様はあたかも人間のようであったという。 ctext.org/liezi/tang-wen… ここの13番目
わたり @wimwim8282
その人形の体は、革や木片、にかわ、漆、白黒、丹青など多くの素材を集めて精巧に造られていた。内部には内臓として肝・胆・心・肺・ 腎・腸・胃の五臓六腑が、外側には筋骨・関節・皮・毛・歯・髪がそれぞれ似せて造ってあって、人間の体を成していた。
残りを読む(7)

コメント

シュガー市民@黄泉の国のマルキスト @SugarCivil 2016年2月23日
まず中世ヨーロッパを用意します。次にキリスト教を零落させます。ヒューマンの出来上がり。
nekosencho @Neko_Sencho 2016年2月23日
だれか、おいらといっしょに人間作りませんか
枸櫞/Mitz.Kyouka @IJN_Haguro 2016年2月23日
澁澤がこの件について人造人間の形而上学とかなにか書いていたなと思って読み返してみたら、西行は「無益なこと」としか述べていなかったらしいけれど、澁澤はこの話を展開して『未来のイヴ』につなげていた。余談だけれど紀長谷雄のエピソードは全然別のエッセイで澁澤が書いていたが西行のこの件とは結びつけていない。
CD @cleardice 2016年2月23日
話し相手に困ったからそこらの死体から人造人間作ったけど失敗したから捨てたって割と酷い話だよな・・・
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする