- tasobussharima1
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黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
「大僧正、壱参空海と肆捌空海が戻りました」 間接照明の淡い人工の光で照らされた大伽藍。最奥には剥き出しの石壁に巨大な曼荼羅が刻まれ、手前にはソクシンブツが鎮座している。 いや、ソクシンブツではない。半ばミイラ化した肉体からは幾つものコードやケーブルが伸び、生命維持装置へと繋がる。
2016-02-23 21:04:04
したい(with 緑のスライム)
@shitaingman
番号付けされる空海たちと、無理やり?生き永らえさせられているミイラたち・・・何たる冒涜的な光景か #徳パンク
2016-02-23 21:05:31
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
二人の『空海』の前に居るこのミイラじみた老人こそが、『大僧正』。奥羽岩窟寺院都市の長にして、その中枢たる教団の支配者。 彼が何時から生きているのか。何時からここにおり、何時からこの姿のままなのか。それを知る者は、少なくともこの都市にはもう一人も居ない。
2016-02-23 21:08:02
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
ただ確かなのは、遥か昔より彼はこの場所で機械に繋がれながら瞑想を続けている、という事実のみだ。 仄暗く冷たい部屋は静寂に包まれ、最奥の曼荼羅だけが青い徳エネルギーの光をたたえ仄かに瞬く。この部屋そのものが巨大な徳ジェネレータの機能を持っているのだ。 『……大儀、である』
2016-02-23 21:12:05
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
大僧正ミイラの喉元から、機械合成音が響いた。 「我等は仏敵の退散に成功致しました。都市の入り口の秘密も、保たれたかと」 肆捌空海は頭を垂れ、報告を告げる。大僧正の頭が、微かに頷く動作をしたような気がした。青い曼荼羅模様が瞬く。 「……それでは、失礼致します」
2016-02-23 21:16:04
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
『……星が、落ちた』 だが、報告を終え、退室せんとする二人へ大僧正は再び語りかける。再び平伏する空海達。 「星、でございますか」 『それを、探すがよい』 「星とは一体どのような……」 だが、その問に答える声はない。頭を上げると、ミイラの表情が微かに微笑んでいるような気がした。
2016-02-23 21:20:02