「率先垂範」しないリーダーとは?

人の上に立つなら率先垂範すべき、とよく言われる。教育者だったり技術的に先輩だったりするなら率先垂範も必要かも知れないが、リーダーが下手に率先垂範すると部下はリーダー以下の才能しか発揮しなくなる。リーダーに恥をかかせないために。
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shinshinohara @ShinShinohara

「この人についていったら得をしそう」というリーダーがいる。こういうリーダーのいる集団は勢いがあり、急速に大きくなる。リーダーばかりが目立って、その他大勢はちっぽけな存在に見える。そんな軽い扱いでもその集団から離れないのは、得をすると考えるから。逆にいえば、損だとみんな離れる。

2016-02-25 18:12:06
shinshinohara @ShinShinohara

「この人と一緒なら楽しそう」というリーダーがいる。このリーダーの周りには、ユニークな才能を示す人が多い。少々の苦難があっても、みんなでわいわい楽しみながら乗り越えてしまう。メンバーの多くが異能を発揮し、集団が示す能力も柔軟で多様。

2016-02-25 18:14:31
shinshinohara @ShinShinohara

最初のリーダーは項羽タイプ。リーダー自身に大変な能力があり、部下の多くが愚かに見えてしまう。愚か者扱いされても仕方ない、と思えるほど、卓抜した才能をリーダーが持っている。バカにされても集団を離れないのは、利益があると思うから。利益がないと見限られた時、みなが立ち去ってしまう。

2016-02-25 18:16:11
shinshinohara @ShinShinohara

後者のリーダーは劉邦タイプ。リーダーをバカにしたりできる自由な空気がある。実際、リーダーに大した能力はない。でも憎めない。なんだかそばにいたい。そばに居続けるために、みんなが異能を発揮する。一人一人が育ち、部下の能力が高くなる。なのにリーダーはリーダーのまま、愛される。

2016-02-25 18:19:21
shinshinohara @ShinShinohara

横山光輝「三国志」を読んだとき、不思議に思った。それまでに読んだ漫画のヒーローはみな、賢く強くかっこいい。劉備玄徳はそうしたヒーローと比べパッとしない。のに張飛、関羽、趙雲、孔明などの英雄がひしめく。リーダーってなんだろう?ということを考えさせられた。

2016-02-25 18:59:20
shinshinohara @ShinShinohara

劉備玄徳の圧倒的な力、それは承認欲求を満たす力なのかもしれない。自分の存在価値を認めてくれる。この人がいれば自分はこの世に生きていてよいのだと思える。そうした承認欲求を満たしてくれる稀有な存在だったのでは。劉邦もそうだったのかもしれない。

2016-02-25 19:03:46
shinshinohara @ShinShinohara

この人といっしょにいるためには、もっと強くならなければ。もっと賢くならなければ。もっと活躍しなければ。そうして部下が自発的に動くような環境を提供する。その能力に、劉備玄徳や劉邦は長けていたのかもしれない。だから二人は、どれだけ戦に負け続けても復活を繰り返すことができたのだろう。

2016-02-25 19:06:08
shinshinohara @ShinShinohara

率先垂範という言葉がある。リーダーが見本を見せると部下がついてくる、という風に解釈されている。しかし劉備玄徳が張飛、関羽、趙雲に武術の見本を見せられるだろうか?孔明に智謀の見本を見せられるだろうか?リーダーが率先垂範を始めたら、部下は一歩引いた能力しか示せなくなる。

2016-02-25 19:17:15
shinshinohara @ShinShinohara

なぜなら、一所懸命率先垂範をやっている上司よりも優れたパフォーマンスを部下が見せたら、上司に恥をかかせることになりかねないから。率先垂範はうっかりすると、「リーダーよりも低いレベルで、能力を抑えて働こう」という動機を与えかねない。上司の下手ゴルフにつきあうようなもの。

2016-02-25 19:19:53
shinshinohara @ShinShinohara

さしたる能力がないリーダーは、率先垂範のやり方は残念ながら取らない方がよい。大した能力がないことが赤裸々になるだけで、部下にも自分にとっても悲惨なことになる。それよりも、部下の優れたところを認め、そのパフォーマンスを引き出すことに専心したほうがよい。

2016-02-25 19:25:05
shinshinohara @ShinShinohara

人間は馬のように速く走れない。しかし人間は馬を操れる。優れた御者は、馬のパフォーマンスを最大限に引き出せるだろう。人間はゾウのような怪力を持っていない。しかしゾウ使いになれる。優れたゾウ使いなら、野生のゾウには決してできないパフォーマンスを引き出すことも可能だろう。

2016-02-25 19:28:18
shinshinohara @ShinShinohara

馬に率先垂範する御者がいるだろうか?ゾウに率先垂範するゾウ使いがいるだろうか?違う。馬やゾウに人間が張り合ったって仕方ない。大切なのは、その高い能力を認め、伸ばしてやること。パフォーマンス向上が嬉しくなるような環境を整えること。率先垂範は必ずしも必要ない。

2016-02-25 19:30:37
shinshinohara @ShinShinohara

ある種の率先垂範は必要。それは何か。部下の頑張りを全身全霊で承認すること。呉起は部下の膿を自ら口で吸った。感激した部下は「この将軍のためなら」と命がけで戦った。率先垂範とは、能力で部下と張り合うことではない。部下の能力発揮をどうやったら最大化できるかに意を砕くことなのだ。

2016-02-25 19:34:23
shinshinohara @ShinShinohara

率先垂範は山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」にだいぶ影響を受けている。この言葉は、何らかの技術を教授する場合(教育・指導)には全くその通りなのだけれども、リーダーと部下の関係に当てはめるのはちょっと違うように思う。

2016-02-25 19:37:39
shinshinohara @ShinShinohara

リーダーは必ずしも部下より優れているわけではない。というより、部下はリーダーよりも何かしら優れた能力を持っていると考えるのが普通。ならば、集団のパフォーマンスを上げるには、率先垂範という言葉の表面上の意味にあまりとらわれない方がよい。

2016-02-25 19:39:37