大事なのはマスターテープの音ではなく「レコードになった時の音」なのである。製品としての「完パケ」は初版のレコードの音だもんね。
千の風になって。
北海道帯広市 · twilog.org/ynabe39
渡邊 芳之(わたなべ よしゆき、1962年4月22日 - )は日本の心理学者。帯広畜産大学人間科学研究部門(人文社会・体育学分野)教授。博士(心理学・東京国際大学)。 佐藤達哉、尾見康博との共同研究を中心に心理学論、心理学史、人格心理学や血液型性格分類の批判的検討などの分野に論文・著作を持つ。趣味はレコード蒐集。
http://ja.wikipedia.org/wiki/渡邊芳之
渡邊 芳之 -帯広畜産大学-
http://www.obihiro.ac.jp/ichiran/watanabe_yoshiyuki.html
東芝プレスのブルーノートについて外国の人が書いているページをいくつか見る。「初期の東芝プレスの音質はとても優れているので、1980年代プレスのプアな音だけ聴いて東芝プレスを評価してはいけない」と書いてある。
2016-02-27 08:25:12これはビートルズのレコードやエンジェルレーベルのクラシックについても自分がずっと思っていたのと同じことである。60年代オデオンレーベル時代のビートルズ東芝盤はオリジナルとは比較にならないもののそれなりにいい音だ。これが76年以降のアップル旗帯になると明らかにひどい音になる。
2016-02-27 08:28:09クラシックだと50年代-60年代の東芝最初期盤は英仏からメタルマザーを得てプレスしているものが結構あって、これは当然ながらいい音だが、そうでなくても赤盤があった時代の東芝クラシックには立派な音のものが多い。これが70年代後半にはあの独特の硬い歪みっぽい音のものが増える。
2016-02-27 08:33:06この間の大きな変化としては東芝EMIが御殿場に大工場を新設してそれまで川口にあった製造過程をすべてそちらに移したことがある。赤盤がなくなったのもこの時で、赤盤はすべて川口工場製と言われている。
2016-02-27 08:37:01東芝からHAやABナンバーで出ているEMI原盤のフルトヴェングラーのレコードには英国カッティングのものがかなり含まれていて、東芝の盤質が当時から世界一であったことと合わせると、これらの状態のよいものを探すのはオリジナルに近い音を安く入手するチャンスである。
2016-02-27 08:41:06東芝GRナンバーの「世紀の名演奏」シリーズにも英国カッティングやM6マトリクスのフランスカッティングがかなり含まれる。ティボー・コルトーのフランクとフォーレ、カザルストリオの大公なども60年代までのものは輸入原盤である。
2016-02-27 08:45:12工場や装置が変わったということもあるだろうが、輸入原盤でレコードをプレスしてその音を聴いた世代が引退して新しい世代の技術者に交代して行ったのも音の変化の原因かもしれないと思う。
2016-02-27 08:47:13もう定年退職された同僚の先生のお父さんが東芝川口工場で働いておられて、初期のテストプレスを何枚か保管されていたのをいただいた。「南太平洋」のサントラなのだが、輸入原盤を使って何種類もの違ったビニール素材でプレスされている。
2016-02-27 08:50:25当時の東芝の技術者たちはアメリカキャピトルから送られてきた原盤で自分たちなりにいろいろプレスしてみて、おそらくアメリカプレスの音と比較して一番近い音になる方法を選んで製品にしたのだと思う。70年代になって生産が安定するとそういう比較がされなくなったのではないか。
2016-02-27 08:54:27これもいつも言うことだが、東芝のレコードの音が悪かったのは洋楽だけで、邦楽の音は悪くないし、むしろ一貫していい音である。「元の音」を知っている音楽については東芝の技術者たちは最後までちゃんといい音のレコードを作っていたのだ。
2016-02-27 08:57:4070年代には英米仏のレコードは盤質も音質も低下して、東芝技術陣にとってもすでにお手本には見えなかったのだろう。それで自分たちのやり方だけで作るようになったのがあのひどい音のビートルズだったのか。
2016-02-27 08:59:5070年代になると東芝も含め国内各社が「マスターテープそのままの音質」というのを売り物にした新技術を打ち出すのだけれども、これもよくなかったと思う。大事なのはマスターテープの音ではなく「レコードになった時の音」なのである。
2016-02-27 09:05:19これもあくまで推測だが、60年代には東芝の技術者たちが洋楽のレコードを作る時の手本は「本国でプレスされたレコードの音」だったのが、70年代には「マスターテープの音」が到達目標になったのではないか。
2016-02-27 09:07:33そこで「本国からどんなテープが送られてきていたのか」という話になる。それこそビートルズなんてひどいコピーテープが来ていたのを60年代の技術者はなんとかイギリス盤のレコードの音に近づけようと努力したのが、70年代にはテープそのままの音にしたのかもしれない。
2016-02-27 09:10:34@ynabe39 ジョージ・マーチンもジェフ・エメリックも「レコードになったときのことを考えて発音を変え,機材を配置し,アナログテープのダビングを行っていた」と書いていますね.
2016-02-27 09:13:58日本で最初に「マスターテープそのままの音を再現」と言い出したのが新興のCBSソニーで、その結果がワルターコロンビア響のレコードのあのキンキンの音である。
2016-02-27 09:18:08CBSの原盤が日本コロムビアからソニーに移ってからCDで元に近い音が再現されるまでの15年間くらい、日本人はあれがワルターの音だと思っていた。
2016-02-27 09:18:18カッティングマスターの音というのはそれをカッティングしてレコードにしたときにちょうどいい音になるようにイコライズされていたので、本国から送られてきたマスターテープの音自体がいい音とは限らない。
2016-02-27 09:21:35しかし1970年代にはレコード会社の試聴会でまずマスターテープの音を聴かせて、それからレコードの音を聴かせて「どうです同じ音でしょう?これがわが社の新技術です!」というような話がよくあった。邦楽ならそれでいいがカッティングマスターが送られてくる洋楽では問題もあっただろう。
2016-02-27 09:24:45