足立恒雄先生による「幾何学の公理系」と「数学基礎論」に関する連ツイまとめ

まとめ作者は数学とロジックをつなげようと試みている一介の大学院生です。足立先生のお考えに深い共感を覚えたのでまとめました。数学者と数学基礎論家の相互理解という問題について、より多くの方に知っていただければと思います。 なお、関係する話題ごとにツイートをまとめていますので、時系列ではない部分もあります。ご了承ください。
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発端
足立恒雄 @q_n_adachi

非ユークリッド幾何を勉強するなら小林昭七『ユークリッド幾何から現代幾何へ』(日本評論)がお勧め。リーマン幾何の立場から双曲幾何が論じられていて、とても分かり易い。ユークリッド原論の本格的な理解にも役立つ。将来幾何学を専攻したい高校生や大学1年生には好適である。

2016-02-11 16:47:27
足立恒雄 @q_n_adachi

しかし、一か所わからない所があった。たとえば(双曲幾何の)ポアンカレのモデルにおいてある命題を証明すれば、双曲幾何の公理系からその命題を証明したことになるというのだが、この主張は正しいとしても(数学の世界では正しいとされているのだろうが)、その根拠は自明ではないと私は思う。

2016-02-11 16:54:59
足立恒雄 @q_n_adachi

ある命題を証明したいとき、モデルなら、対象の図形を都合の良い位置へ移せば、実に簡単な命題になる場合がほとんどである。しかし、公理系だけで証明を考えたとき、都合の良い位置へ移すということはできないから、ロバチェフスキーやボヤイは大変な苦労をして直接に証明しているのである。

2016-02-11 16:59:44
足立恒雄 @q_n_adachi

結局のところ、リーマン計量の立場から考えることで、モデルの如何には依らないということが証明できるということであろう。あらゆるモデルで証明できるなら、完全性定理によって、公理系からその命題は証明できることになる。しかし、これでも考え方の素描にすぎないからなあ。

2016-02-11 17:05:52
Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ @kamo_hiroyasu

@q_n_adachi モデルを、モデル理論のモデルではなく、たとえば、ポアンカレ半平面モデルの理論から双曲幾何の理論へのsyntactic interpretationとして構成しておく方法はどうでしょう。

2016-02-12 18:01:15
Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ @kamo_hiroyasu

@q_n_adachi (1)実数体の理論を双曲幾何の理論に埋め込む。(2)うまく座標を入れて、空間全体をたとえばポアンカレ半平面モデルとみなすことができることを、双曲幾何の公理系から証明する。この二つで、モデル上の証明から双曲幾何の公理系からの証明への翻訳ができます。

2016-02-12 18:03:16
足立恒雄 @q_n_adachi

ありがとうございます。少し検討してみます。@kamo_hiroyasu

2016-02-13 07:58:16
足立恒雄 @q_n_adachi

菊池誠さんに教えてもらったのだが、WIKIのTarski's axiomsという記事はとても良い。Tarskiによるユークリッド幾何の公理化が完全に説明されている。この公理化によってユークリッド幾何の初等理論は完全であることが証明される。つまりモデルで成り立つ命題は証明できる。

2016-03-06 10:36:28
足立恒雄 @q_n_adachi

初等理論と言っても普通の幾何の命題はすべてこの範疇に入る。Metamathematische Methoden in der Geometrieという本がこの方面の集大成。非ユークリッド幾何についても完全性が言えるのかどうかはわからないが、この本に書いてある可能性が高い。

2016-03-06 10:42:40
足立恒雄 @q_n_adachi

最近、2階論理のHenkin完全性や(非)ユークリッド幾何の公理化などたくさんのことを勉強した。それもこれもモデルで成り立つことが公理系から証明できるかという問題意識から始まったことである。漫然と勉強するのと違って問題意識を持つと熱中度が違う。面白かった。

2016-03-06 10:47:13
足立恒雄 @q_n_adachi

ある(双曲幾何の著書がある)数学者にモデルで成り立つ命題は公理系から証明できるかと問い合わせたら「そんな古臭いことに関心を持っている人は今はいない」という内容の返信が来た。歴史や数学の基礎、あるいは自分の数学以外は何の関心も持たないらしい。

2016-03-06 10:53:37
足立恒雄 @q_n_adachi

有名だが大した数学者ではないことは歴然としている。こういうタイプの(視野の狭い)数学者が実に多い。数学は偉大な学問だという思い込みがあるので、自分がやっていることはスゴイことなんだと独善的に思い込んでいるのだろう。

2016-03-06 10:56:16
足立恒雄 @q_n_adachi

それじゃ何と言えばいいのかという疑問もあろう。単に「それについては知りません」あるいは「わかりません」と答えれば良いのである。「そんなことは基礎論の人にでも聞いたらどうですか」と書いてあったが、そういう態度が専門家の傲慢というものである。

2016-03-06 20:16:48
足立恒雄 @q_n_adachi

私が時折有名な数学者に向かっていきり立つことがあるのを不思議がっている向きが結構あるらしい。それには簡単な判定条件がある。基礎論やその周辺の学問(哲学や歴史を含む)に対して蔑むような事を書く(偉い)数学者を見ると突然戦闘的になるのである。S氏や今回のF氏が良い例である。

2016-03-07 18:35:12
足立恒雄 @q_n_adachi

計算機を使って数学をやることに対しても以前は軽蔑の念を隠さない数学者が多かった(今は大分様子が違うが)。自分の学問に対して矜持を持つことは良い事だろうが、(何らかの意味で)恵まれない分野に対して理解のない態度を示す、その傲慢振りがとても(同じ学問の仲間として)許せないのである。

2016-03-07 18:39:07
足立恒雄 @q_n_adachi

と書くと正義感が強そうに聞こえるが、それよりは知性の低い(要するに頭の悪い)奴が嫌いなのだという方が正確である。風評被害を流しているとかヘイトスピーチをしているとか、馬鹿は幾らでもいるが、中でも、自分の属しない文化に対して理解が出来ない、偉い学者文化人ほど虫唾の走る連中はいない。

2016-03-07 19:20:56
『幾何学の超数学的手法』第1章
足立恒雄 @q_n_adachi

今日はMetamathematische Methoden in der Geometrieなど数冊を図書館で借りるために早稲田に行く。このドイツ語の本はAmazon.USAで購入したが着くのは3月22日だそうだ。自前で本を買わねばならないのは年金生活者には辛い。

2016-03-07 08:37:52
足立恒雄 @q_n_adachi

幾何では点と直線を扱わねばならないので、公理化は当然高階論理になると思っていたのだが、タルスキはa, bを点とするとき線分ab上に点xがあることをB(axb)という記号で表すことで、直線(線分)の概念を除外することに成功した。たとえば線分abと線分cdが交わるということは、

2016-03-07 16:26:47
足立恒雄 @q_n_adachi

B(axb)かつB(cxd)なる点xが存在することと表現できる。コロンブスの卵だが、なるほどなあと感心する。もう一つ線分abと線分cdの長さが等しいことを表すab≡cdという記号があって、この二つだけで幾何が公理化される。実に簡潔である。平行線公準はどう表現できるか考えてみて。

2016-03-07 16:31:15
足立恒雄 @q_n_adachi

借りてきたタルスキ他の『幾何学の超数学的手法』を実に楽しく読んでいる。予備知識ゼロで読める珍しい本。基礎論の本てこうでなくてはならない。500ページ近いが1週間で読み終えるだろう。

2016-03-08 14:48:25
足立恒雄 @q_n_adachi

95頁なってやっと角の相等性の定義が出てきた。線分ABとBCの成す角が線分DEとEFの成す角と等しいということを結局のところ辺の長さを継ぎ足して三角形ABCとDEFの対応する三辺が相等しくなる(従って合同となる)ことと定義する。この節が終わると平行線公理が登場する。

2016-03-09 13:49:32
足立恒雄 @q_n_adachi

ところで思い出したが角と角度は異なる概念である。角度は60度とかπ/3といった数値で角を表す仕組である。面白いことに日本では(中国でも)明治になるまで角度の概念がなかった(一部の数学者の間では輸入されていたかもしれないが)。江戸の人は30度のことを何と表現したんだろうね。

2016-03-09 13:53:51
足立恒雄 @q_n_adachi

またエウクレイデスの『原論』では、長さ、面積などの数値を表す言葉はない。たとえば円周の長さなどは出てこない。これは2階論理を必要とする概念である。『原論』は(タルスキの)1階述語論理で表現できる「初等幾何」でほとんど尽くされているのかもしれない。そうでないものは何か調べてみよう。

2016-03-09 13:59:10
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